保険契約記録の管理、使用権・満期更新契約の交渉権の帰属先




花子
このような問題を正直なところ、いままで考えてもみたことがなかったのですが、これらの問題を議論することによって、どのような本質的な問題につながっていくことになるのか。この辺のところから、太郎さんにはじっくりとそしてやさしく説明していただくことにしたいと思います。


太郎
結論から先に言いますと、保険会社と代理店委託契約を結んでいる各代理店は対等な位置関係に立っておらず、代理店が保険会社に従属しているという位置関係にあることは紛れもない事実であり、代理店が、保険会社からの強い従属性から脱却し対等な位置関係に立つためには、保険契約記録の使用権や満期更新契約交渉権が代理店に帰属する代理店固有の財産として法律上保護されるべき権利であることを確立することが不可欠の前提条件になるということです。


花子
そうすると、現時点では、太郎さんのおっしゃった保険契約記録情報を独占的に使用する権利や顧客との間で満期更新契約交渉を独占的に行う権利といったものは、本来、代理店固有の権利ではなくて保険引受け保険会社に帰属しているということなのですね。


太郎
そのとおりです。
ですから、例えば代理店との間の委託契約を解除した場合、保険会社は当然のごとく担当代理店の変更を顧客に通知し契約の続行を求めるのは、保険契約記録使用権や満期更新契約交渉権が保険会社の権利であることを当然の前提としているからです。


花子
そう言われれば確かにそうですね。
委託契約を解除した代理店の承認を求めたうえで、新たな代理店に既存契約を引き継ぐなどという話は聞いたことがありませんものね。


太郎
代理店の日々の営業努力によって獲得された顧客情報等がいかなる合理的理由があって保険会社の所有情報となるのか、といった議論がわが国の保険業界においては不思議なことにほとんど問題提起すらもなされずに今日に至っているわけです。よく考えてみたら実に不可思議なことだと思います。

問題となるこの点を、別冊ジュリストNO.138「損害保険判例百選」<第ニ版>85頁は、端的に以下のように記述しています。
「損害保険代理店は、契約成立の手数料収入を事業目的とするが、保険は目に見えない商品であって高度の商品知識が要求されるのに、販売商品が一般に各社同一であることから、その顧客層をつくることは必ずしも容易ではなく、経営基盤を固めるには通常相当の期間を必要とする。そこでは長年の営業活動によって形成された顧客層の存在が契約の更改・継続の事実的可能性とあいまって、代理店の財産を組成している。代理店にとって代理店契約を解除されることは、このような財産的利益を失うことであり、しかも委託会社は代理店の営業活動の成果を実際上将来にわたって無償で利用することになる。……そのため諸外国では、あるいは保険代理店に得意先リストとしての満期表の所有権を認め、あるいは解約された代理店一般
又は保険代理店に、法律上又は契約上、賠償請求権又は償金請求権を認める……。」(古瀬村邦夫・近畿大学教授)


花子
確かに代理店の不断の営業努力によって獲得された顧客が、代理店委託契約が解除されることによって保険会社に帰属するということになると、代理店としては気軽に委託契約を解除することはできなくなるということですね。顧客は代理店にとって最重要生活基盤ですからね。


太郎
まさにそこなんです。問題の核心となるべき点は…。
株式会社ヒックスジャパン・代表取締役社長である久保泰造氏は、その著書の中でその核心を見事にこう指摘しています。

「代理店が保険契約に関する記録文書を独占的に使用管理し、満期契約の更新権を有することが代理店の財産(権利)としてうたわれるということは、顧客(保険契約者)は保険会社に帰属するのではなく代理店に帰属するということである。……日本では保険契約者は保険会社の顧客であると考えられているから、保険会社が保険契約に関する記録文書を使用することを禁ずることはできない。たとい代理店が自己の営業努力によって獲得した顧客であっても、保険会社はそれを自己の顧客として維持しようとする。
そのため代理店契約が解除されると、保険会社は代理店契約を解除したことや他の代理店がその取引を引き継ぐ旨の通知を当該顧客に発することを禁ずることができない。そのため、代理店は自己の営業努力で獲得した顧客を失うことの経済的な損失を恐れて、取引保険会社を変更したいような事情が生じても、その変更はいたって困難を伴うため、その会社との取引を継続せざるを得ない。日本においては、代理店のこのような経済的に弱い立場すなわち「満期所有権」が認められていないことが保険会社への従属性を形成する最大の要因となっているとも考えられる。」(「損害保険代理店委託契約の解除告知」20〜21頁)

花子
「満期所有権」。あまり聞きなれない業界言葉ですが…。


太郎
久保氏はこの著書の中で、この「満期所有権」に関して次のように記述しています。

「代理店は代理店契約に基づき保険会社を代理して委任事務を処理する関係にあるところから、代理店が自己のノウハウや営業努力によって獲得した顧客であっても本人である保険会社に帰属する。したがってある保険会社との取引が解消されると、代理店が自己の営業努力によって築き上げた財産的価値をその保険会社は無償で取得することになる。
ところがアメリカでは保険契約に関する記録文書の使用・管理および満期契約の更新は代理店の独占的な権利として代理店に帰属するということが代理店契約で規定されている。これがいわゆる「満期所有権」である
「満期所有権」とは、Ownership of Expirations を日本語訳したものであって、日本法における所有権とは別個の概念である。「満期所有権」は日本とアメリカのエ-ジェンシ-・システム(筆者注ー代理店制度)の最大の相違点ともいえる。この「満期所有権」の存在によってもアメリカの代理店は独立性が保障されている反面日本の代理店にはこれがなされていないため従属性が決定的なものとなる。」(同18頁)

また、「保険代理店による保険契約締結と『保険契約記録の使用権及び更新契約交渉権』」というタイトルでネット上に試論として公開している大阪弁護士会所属、服部廣志弁護士(ハンドル名 「弁護士 五右衛門」)は、その試論の中でこう述べています。

3 この満期所有権という概念の中身を検討してみると、端的にいうと、『保険契約を更新するための既存契約関係記録の使用の利益とこれを使用して保険契約者に更新契約締結の交渉をする利益』を指称しているようである。

4 このような利益について、日本の法律は独立した権利として法定、保護していないのみならず、このような利益を保護すべき権利として肯定したとしても、これを『所有権概念』に包含させることは、既存の日本法における所有権概念との関係が想定しにくいものと言える。
なぜなら、日本法における所有権概念はいわゆる物権と構成された物に対する直接的支配をその内容とものとされ、契約相手方など他の人に対する請求権である債権と峻別して構成されているからであり、保険業界で使われているいわゆる満期所有権といわれるものの実態は後記のとおり『保険契約を更新するための既存契約関係記録の使用の利益とこれを使用して保険契約者に更新契約締結の交渉をする利益』であり、無体利益の使用権と保険契約者に対する更新契約締結交渉権というべきもので、その中核は優先的更新契約締結交渉権というべきものであり、物権ではなく、また一種の債権であるとしても、直接的に利益を享受すること目的とした債権でもないといえるからである。」

花子
なるほど、久保氏や弁護士五右衛門氏の指摘は鋭いですね。よく理解できます。

要するに久保氏らの説明によれば、契約記録関係文書の使用・管理に関する独占的支配権及び満期契約に関する独占的更新交渉権を総称して「満期所有権」と呼んでいるんですね。そして、これらの権利の対象となる内容自体(権利の客体)は有体物ではなく無体物ですから、無体物に対する所有権は日本の法律は原則認めていない。だから、「日本法における所有権とは別個の概念である。」と久保氏は説明したのだと思います。


太郎
実に不思議なことなのですが、外国はいざ知らず日本においては、「物」と「財産」の区別及びその相互の関係を分かりやすく具体的に説明した学者は見当たらないのです。ただ一人の例外的学者を除いては…。

いま手元にある、司法試験受験者に民法の基本的教科書として人気の高い「民法T・内田貴東京大学教授著・東京大学出版会」を開いてみても、物と財産との関係についての説明は一切なく、いきなり唐突に「財産権」についての記述があり、 財産権とは「財産的価値を対象とする権利」(417頁)であるとしています。つまり「財産」とは何かということを読者が当然理解しているという前提に立っての記述であるということです。

もう一冊、他の書物を紹介すると、「実務の第一線で活躍をされている」
(筆者注ー本の裏表紙にこのように紹介されている)弁護士、小野昌延(しょうえん)氏も同様に「財産」という概念を読者が理解しているとの前提に立っての記述に終始しています。実務家らしく分かりやすい内容で書かれているだけに残念といえば残念なのですが…。

1.知的所有権とは、どのような権利か。
『財産』というと、普通私たちは、建物や宝石のような具体的な形のある『有体財産』を思い起こします。しかし、経済が成長すればするほど、技術や信用など具体的な形のない「無体財産」が重要になってきます。また、産業の高度化につれて、企業も付加価値の高い仕事を求めますから、商品を個別化するパテント(特許)、デザイン(意匠)、商標などの重要さも増してきます。

財産には、建物や家具のような「物」(有体物)であるとか、預貯金あるいは店舗の賃借権のような「債権」(無体物)が考えられますが、知的活動から生ずる所産も価値ある財産です。小説、論文や絵画、作曲などの創作物(著作物)にも、発明、考案、デザインなどの創作物にも、さらには、マ-クなどにも財産価値があります。
そこで精神的産物で、財産的価値のあるものを「知的財産」といっています。「無体財産」という場合も無体物全部でなく、そのうち債権やエネルギ-などを除き、人の精神的活動の結果でできた所産のみを対象としていますから、「知的財産」と「無体財産」とは、同じものについて、とらえる面の違いにほかなりません。

このような「知的財産」に関する権利が「知的財産権」ないし「知的所有権」であり、対象の性格からみて「無体財産権」ともいわれます。それを規律している多くの法律の総体をさして「知的所有権法」ないし「無体財産権法」と呼んでいます。

知的所有権の公式的な定義としては、「文芸・美術および学術の著作物、実演家の実演・レコ-ドおよび放送、人間の活動のすべての分野における発明、科学的発見、意匠、商標、サ-ビスマ-クおよび商号その他の商業上の表示、不正競争に対する保護に関する権利ならびに産業・学術・文芸または美術の分野における知的活動から生じる他のすべての権利」と列挙している定義があるだけです(世界知的所有権機関設立条約2条)。
」(「知的所有権」・有斐閣ビジネス刊2〜3頁)
      




私自身のことで恐縮なのですが、私が大学で疑問に思ったことは、何故学者というものは重要且つ不可欠の基礎的知識を学生に分かりやすく教えようとしないのだろうかということでした。この疑問はやがて「この学者はこの基本的知識自体を十分に我がものにしていないのではないか」という大それた不信感に変わっていき、ある民法学者に出会ったときからその不信感は確信的なものになっていったのでした。

元中央大学民法教授である「沼正也」は、その著作集の中で、他の民法学者の書物では一言も記述されていない「物」と「財産」との区別・相互関係等について、明確に述べていますのでその一部を抜粋してご紹介することにしましょう。


「人と物とは対立概念であり、両者を媒介して物を人に結びつける法適道具立てが、権利能力という理念的フィクションとしての存在であり(物理学的事実としての、付与ではない。権利能力はいわば磁石の磁力にたとえられようが、磁力は磁石に物理的に内在的にするのに対し、権利能力は人の体内に内在する実在ではない)、権利能力により人に具体的に吸引せられてある物(その吸引する具体的力が、権利である。有体・無体の物ないし有体物のみを吸引する権利が、広・狭両義の物権である)に財産なる名称が付与せられてあるのである。…物は…有体物と無体物に両分され…、ともになんびとか人に吸引されれば、その者の財産と呼称される。


ところが、ドイツ民法も日本民法も民法上物とは有体物に限定するとしている。しかし、そのことによって無体物は人に吸引されて権利の客体となる性質が失われる理はなにもない。無体物もまた、財産たることにおいて有体物と変ずるところはない。かくて、有体物を吸引する権利を物権とし、無体物を吸引する権利はこれを準物権とされる…。
…無体物は、…精神的所産であり各種のものを数えるが、世間で俗に゛物゛に対し゛事゛と呼称されるところがもっとも典型的な無体物であり、゛だれかになにかをさせうること゛のごとき゛事゛である。かような゛事゛もまた、本質、無体物として人の吸引の対象たるべきこと有体物におけると異なるところがないのである。


…ドイツ民法は、…物を有体物に限定しつつ民法総則編物の章中に規定し
(この点は、わが民法典も、しかりである)、他面、無体物については各則に譲りその各則冒頭の編をその規定場所として設定し、そのうえで有体物・無体物の人への帰属法が配置されるべきであるとする論理構成を受けて、第三編を『物権』としているのである。かかる論理構造に基づきそれに前置する第二編すなわち各則中の冒頭編を無体物編たらしめ他人をして特定の給付なさしめる事=債務関係をその規律対象とし諸他の無体物(いわゆる無体財産-著作権その他)は、これを特別法に譲られるべきものとしているのである。」(三和書房刊・「物権法」沼正也著23巻・133〜134頁)



◆「ありとしあらゆる物はみなだれか人にむすびびつけられています。物という概念と財産という概念とは、イコ-ルじゃありません。人にむすびつけられている物が、その人の財産というのです。市民社会にあっては、生きている人のほかのあらゆる事物はみな物であることはすでにお話しました。あえて゛事物゛と表現しました。物は、有体物と無体物とに分かれます。有体物は物理学的物で、固体・液体・気体です。無体物は、一口でいえば精神的所産です。ですから、発明・著作などの無体財産といわれている存在や貸金を返してもらえること・賃金を払ってもらえること等のいわゆる゛物゛に対する゛事゛も物なのです。現金10万円・貸金10万円すなわち10万円返してもらえることも、ともに財産なのです。その人の財産は、現金・貸金ともに10万円ずつ計20万円です。現金は物、返してもらえる金は事(筆者注ーすなわち無体物)なのです。物を分かって、有体物・無体物というふうになるのです。」(同37〜38頁)


◆「民法の世界では、有体物ーこれは物理学上のものと同じく固体・液体・気体でエネルギ-は有体物に準じて扱えばいいかと思います。ーのほかに無体物という存在を考えないわけにはいきません。世間では、゛事物゛ということをいいます。この゛物゛に対する゛事゛が、無体物なのです。゛他人様から何かをしてもらえること゛゛他人から生命を奪われないこと゛゛自分だけが特定のマ-ク旗印にすることができること゛、゛こと゛ならなんでもございなのです。


これが、無体物なのです。この有体・無体の物は、みんな誰かによって引っ張られているのです。ひとり、有体物だけじゃないのです。権利として、さっき説明しました。どうしてこのように権利という見えざる糸によって誰かに引っ張らしておかねばならないのかといいますと、物と人とを無関係にしておくと誰がとってもよいことになる。取るに任されるわけです。となると、腕力という自然的属性にものをいわせることを認容することになるからです。…反面、腕力争奪の可能性のない街中に充満している空気などは誰にも結びつける必要はない、という演算関係に導きます。このように何人にも結びつけられていない物は無主物といって、誰が取ってもいいのです。以上のように物は有体たると無体たるとを問わず、何人か市民に帰属せしめられています。この人に結びつけられている物に、゛財産゛という名が与えられているのです。


物を具体的に引っ張っている力が権利で、本質的には権利はみな゛物゛を引っ張っている力ですから、゛物権゛ということになり、有体物を引っ張っている場合たると無体物を引っ張っている場合たるとを問いません。こうした統一次元の内部において有体物を引っ張っている力がいわば狭義の物権で、゛だれかになにかをさせること゛を引っ張っている力が債権、゛他人から生命を奪われたり、怪我をさせられないこと゛を引っ張って力が人格権などと分類がなされており、内的にたがいに異なった性質をもっているわけなのです。」
(同20巻18〜19頁)



◆「(1)財産法は民法典の『第二編 物権』と『第三篇 債権』の両編を対象とする学問的呼称であり、かくて学者は財産法を分かって、物権法と債権法とする。
そうして、物権法は物を直接・排他的に支配することに関する法であり、債権法は他人に対し特定の行為・不行為(給付)を請求することのできる権利に関する法であるとし、この両者の関連・序列につき、財産法の出発点は外界の物の私的な支配を社会の構成員が相互に承認することであり、そのうえに立って初めて自由な意思に基づく私的所有の交換が成立するものという理解のもとに物権法が必然的に債権法に前置せられるべきものであることが結論づけられている。


(2)…日本の民法典の母法であるドイツ民法典は、わが民法典の財産法の構成におけると趣を異にして物権編のまえに債権編を配し、しかも『債権』法と銘打たず『債務関係法』と題されている。
わが民法典の編別と対比してのこの逆倒は、日本の学者がふつう疑いの余地を挟まずに説いているような右の理解がかならずしも自明なものではないことを物語るものといわなければならない。…この東西両国間においてなぜにこの逆倒が現象したかについて、かいつまんだ考察をしておかなければならない。そのことは、物権(法)・債権(法)という分類を理論的に正しく把握するための鍵を握っているに違いないから。


市民社会
(筆者注ー歴史的に実在した「封建社会」を否定することによって論理的に頭の中に生まれ出た理念的な非封建社会のこと)にあっては外界の存在である『物』およびその発展としての『事』が腕力という自然的属性を否定し権利能力(性)という理念的属性によって個々人に属せしめられるべきものとされていることは、すでに考察を了しているところである。
…権利の客体である『物』と『事』のうち『物』それじたいについては規律すべき事項もさほど多くはなくまた『事』についても窮極的には物の授受に関する『事』が大きなウェイトをもつものであるのに対し、『事』の構造そのものについては万別あって規律すべき事項が少なくないので、ドイツ民法は総則編にあっては、この基本的な『物』についての規定を網羅的に総則編におき
(そうして、わが民法典もそれにならった。)、『事』については物の規定に続き債務関係の発生原因のもっとも典型的な法律行為につき基本的事項を規定するに止め(略)、その細部の事項を第二編に譲ったのであった。


『事』はすなわち権利主体者になにかをしなければならないことであるがゆえに債務関係であり、これを当該権利主体者または他の権利主体者が権利能力に基づいて具体的にみずからに引き寄せていることで、同じく権利能力に基づいて『物』をみずからに引き寄せていることと本質において差異はないのである。
この『物』たると『事』たるとを問わず、外界の『事物』を具体的に引き寄せている権利が、純理論的には、すなわち物権なのである(物に対する物権と事に対する物権)。ひろい意味におけるかようなものとしての物権が内的に狭義の物権(物に対する物権)と準物権(事に対する物権)とに分かたれる
(わが民法典上では、物権・債権の順に法典構成をし以上のことの認識を欠いているのであるが、それでも事に対する物権を認容せざるをえない破目となっている。準占有として第205条、準共有として第264条。質権にいたっては準物権としてではなく、狭義の物権の範疇において権利質を認容し、ただに法典の体裁上、物に対する質権の規定を『準用』するものと糊塗しているー第362条以下) (「民法の世界」・同15巻127〜129頁)




沼民法理論の独創性の一端を少しでもご理解いただけたらと思い、ついつい引用が長くなりましたが、この沼理論において、無体物なるものの正体、あるいは、物と財産についての説明が分かりやすく見事に記述されていると思います。
人々が腕力で争奪する可能性のあるすべての物(有体物・無体物)は、例外なく誰か特定の人(法人を含む)に帰属していなければならない、すなわち、誰かの所有物になっていなければならないこと。そうでないと、必ず争奪戦が起こり、物理的に力の強い者が弱い者を打ち負かし争奪対象物を独り占めすることが必然的に起こることになる。その結果、経済的強者と経済的弱者が出現することになり、それは、互いが対等でなければならないという(
何故なら、自由意思による対等な話し合いができなくなるから)平等性が失われる現象を引き起こすことになり、平等性の喪失から必然的に独立性が失われ、自らの意思で他人に干渉されることなく自由に行動するという自由性も喪失することにつながることになる。

そもそも、歴史的に実在した「封建社会」は、領主と領民という社会構成員の非平等性を政治体制として肯定するとともに、領民の領主への従属性を肯定、領民の自由意思的行動は領主への反逆行為として許されない社会体制ではなかったのか。そして、その非平等性・非独立性・非自由性を完全否定し、すべての構成員が平等・独立・自由という理念的属性を帯有する社会として頭の中に描かれた理想の社会が非封建社会たる市民社会であるとして、この理想の社会はフランス革命を契機として出現するにいたり、こんにちもなお進化してやまないこの地球上いまだどこにも実在しない理念的社会と沼さんは説いています。

参考ながら、この沼理論のいう「市民社会」を、ある学生はその提出レポ-トの中でこう表現し沼さんの賛辞を得ています。
「実在社会であったあったところの封建社会、その内的矛盾を克服し得たかに見えた資本主義社会、或いは社会主義社会は、実はその対立物に非ず、その真の否定態であるところの市民社会への過渡的存在にすぎないというのが、沼史観なのである。」
(上掲「民法の世界」637頁)

この非封建社会(理念的社会)である市民社会の構成員こそが「市民」であり、この市民が物を介して互いに交渉し合う際の規律関係を定めた法こそが、市民の法たる「民法」に他ならないと結論づけているのです。ですから、この沼理論によれば、他の民法学者が説くような「中世の民法」などというものはナンセンスということになり、「鎌倉時代、江戸時代に民法は存在したのか」というクイズ的問題の答えは、当然に「いいえ」ということになるのです。

上に説明されたように、「満期所有権」という業界用語で示される具体的内容である、保険契約に関する記録文書を独占的に使用・管理する「こと」および顧客との間で満期契約の更新契約締結交渉を優先的に行う「こと」は「無体物」であるが、沼理論によれば、この無体物は保険会社と代理店間で争奪の可能性があることから、保険会社に帰属するか代理店に帰属するかは別として、「財産」となりうる無体物ということになります。

そして、この無体物が代理店の財産として確立されていない現実が、日本において代理店が保険会社と対等な関係に立てない最大の要因であって、保険会社と代理店委託契約を結んでいる代理店が元受保険会社からの強い従属性から脱却できない最大の要因でもあるということを、はたしてどれだけの代理店が自覚し且つ問題意識をもっているかということです。
率直に言って、日本における代理店の社会的地位は低いです。何故、高い社会的評価を受ける存在となりえないのか。目先の営利に走り、日々の保険業務に関する専門的知識の研鑽努力が足りないことは言うに及びませんが、やはりその究極においては、主体性に裏付けられた専門職業人としての自負心と独立心が希薄で保険会社に従順な子羊に甘んじているところに究極の遠因があるのではないか、私はそう思っているのです。

また、上に紹介した久保泰造氏も、その著書の中で、「日本では『満期所有権』が認められていないことから、保険会社は取引の相手方であるはずの代理店を独立した事業者とは見ずに、自己の企業補助者としてみるという意識が醸成する従属性を見逃すことはできない。」(上掲21頁)と鋭く指摘をしているところです。


花子
従順な子羊さん。太郎さん、なかなか手厳しいことをおっしゃいますね。
それはさておき、物と財産に関する沼さんの説明、とても分かりやすいですね。こういう記述をしていただくとあまり法律に詳しくない私などにもよく理解できます。
沼さんが言っている、腕力争奪の可能性ある有体物・無体物はすべて例外なく誰か人に帰属している。人の所有物となっていなければならないという説明、とても印象的です。

争奪の可能性がある物ということは、人が自分の所有物にしたいと願望する物であることを意味します。AさんからBさんに帰属換えする需要価値がある、つまり交換需要価値のある物ということを意味することになりますから、「財産的価値のある物」とは、帰属換え価値のある物、つまりは交換価値のある物のことだと容易に連想できますものね。また、所有権とは、物を全面的に支配することができる権利のことであり、いわば物権の王様的な存在。世俗的な言い方をすれば、煮て食べようと焼いて食べようと私の勝手よ、という物に対する全面的支配権が所有権。この所有権のもつ物支配の全機能の中から、任意の一機能を取り出した物支配の物権が他物権(制限物権)と呼ばれる権利。そして、この所有権は財産としての有体物だけを対象とするのではなく、財産としての無体物をも対象とすることができるのだ、ということが容易に理解可能となりますものね。

日本の民法学者が教える常識的理解としては、所有権の対象となるのはあくまでも管理可能な有体物が原則であって、「今日では、無体物の上にも、所有権を始めとする物権が成立することを認めざるを得ない」(前掲内田貴・民法T299頁)と例外的に無体物も所有権の対象となるかのような見解が多数派を占め、沼さんのように、所有権の対象物となることにおいて、あえて有体物と無体物とを差別的扱いをしなければならない理由など、どこにも見当たらないとする立場を貫く民法学者は他に見当たらないということなんですね。


太郎
花子さんの発展的理解、なかなかいいですね。
現に、沼教授はその著作集の中で次のように述べています。

「『事』はすなわち権利主体者になにかをしなければならないことであるがゆえに債務関係であり、これを当該権利主体者または他の権利主体者が権利能力に基づいて具体的にみずからに引き寄せていることで、同じく権利能力に基づいて『物』をみずからに引き寄せていることと本質において差異はないのである。この『物』たると『事』たるとを問わず、外界の『事物』を具体的に引き寄せている権利が、純理論的には、すなわち物権なのである(物に対する物権と事に対する物権)。広い意味におけるかようなものとしての物権が内的に狭義の物権(物に対する物権)と準物権(事に対する物権)とに分かたれる。」(「民法の世界」同15巻・128頁)



花子
これまでの議論で、いわゆる「満期所有権」の実質的内容は無体物であり、この無体物を現段階では保険会社が「財産」として所有しており、個々の代理店の「財産」ではないということが分かってきたと同時に、代理店が保険会社の強い従属性から脱却するためには、この満期所有権を代理店固有の財産として確立することが不可欠であるということが明らかになってきたわけですね。

それでは、このことを前提として太郎さんにお尋ねしますが、代理店がこの満期所有権を自らの権利として法的に確立していくためには、どのような方法論が考えられるのでしょうか。


太郎
そうですね。まず考えられるのが、代理店委託契約を解約した際、保険会社が保険契約者の契約情報を他の代理店に提供して、契約の継続を解約代理店の同意なく顧客に連絡した場合に、民法709条の不法行為として保険会社に損害賠償を求め、裁判所に、満期所有権の侵害は「法律上保護されるべき財産上の利益の侵害」と判示してもらうやり方ですね。つまり、法規定の類推ないしは拡張解釈によってこの権利を裁判所が肯定する方法ですね。
そのほかに、アメリカの例に倣って、代理店委託契約書に満期所有権は代理店の権利であることを明記するやり方とか、特別法の制定、或いは既存の法律を改正してそこに権利として明記する方法等が考えられますが、やはり、裁判所にこの満期所有権が代理店の権利であることを認めてもらう方法が、権利獲得の一番の近道であり実現性が高いと思いますね。


花子

確かに代理店委託契約書の規定文言の中で満期所有権は代理店固有の権利であることを明記すれば一番手っ取り早くていいのでしょうが、付合契約(法律行為の一方の当事者が従属的立場に立ち、相手方の意思に事実上拘束されざるを得ない契約。普通取引約款ともいう。ー有斐閣双書・民法1)の形式をとる代理店委託契約において、契約書の中にこの文言を入れることを保険会社は絶対に認めないでしょうね。保険会社の経営基盤を根底から揺るがす大問題に発展することは目に見えていますからね。

それから、太郎さんにぜひ質問してみたかったことは、かりに代理店がこの満期所有権を自己の権利として確立し、保険会社との従属的関係から開放されたとき、保険契約者には一体どのようなメリットが生じてくるのかということです。
私は、この満期所有権の問題をたんに代理店の地位確立の問題として捉えるだけでは、不十分なような気がどうしてもするのです。代理店の地位的向上が保険契約者に対する要保護性をより強固なものとする方向につながっていくのだ、という点にもっていくことが必要なのではないかと思うのです。つまり、保険業法第1条に規定するように、保険契約者保護の観点から、代理店の満期所有権確立の問題も論じる必要があるのではないかと考えるわけです。



◆保険業法第1条

(目的)
第一条 この法律は、保険業の公共性にかんがみ、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより、保険契約者等の保護を図り、もって国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。





太郎
その着想は面白いと思いますが、問題は、代理店が保険会社からの従属性から開放されたとき、保険契約者保護の観点から具体的にどのような効果が生じるかということを明らかにしなければならないということです。花子さん、その点についてはどうですか。


花子
この点が私にはよく分からなくて、具体的な例示をすぐには提供できないのですが…。


太郎
私の考えるところ、代理店が事業者として保険会社と対等なパ-トナ-となることによって、保険契約者の利益保護を図るため
より積極的な営業活動を可能とするのではないかということです。
一つの例をあげれば、「団体所得補償保険」。この保険は、団体会員の福利厚生を図る目的で通常の保険よりは保険料が安くなる団体割引制度を取り入れた1年契約の自動継続保険なのですが、かりに糖尿病入院で保険金を請求すると、次年度は自動継続はできないことになっています。糖尿病は、自動継続不可の約款規定となっているからです。そうすると、保険料は高くなるが、一般の「長期所得補償保険」に加入していると、たとええ糖尿病になって保険金を請求したとしても、病気治療を原因として仕事が全くできない状態が発生していれば、10年の保険期間中は何度でもくり返して保険金の請求が可能となるわけです。はたして、どちらの保険で加入することを勧めることが保険契約者にとって有利となるのか。

言うまでもなくこの事実は、団体保険募集パンフレットには一言も記載がなく、募集代理店も団体保険のこの不利益情報を保険加入者側に説明することはありません。保険募集時、保険契約者に対してどこまで不利益情報を伝えなければならないのか、これに関する保険会社側の資料は持ち合わせていませんが、すくなくとも、代理店が保険会社の手足となって募集活動を行っている現状から脱却して、保険会社から独立した保険募集代理店であるという意識が根底に横たわっていれば、保険契約者の利益保護という観点からの募集活動がより積極的に行われるようになるのではないかということです。

また、自動車保険においても
保険会社は、各種態様の代理店(専業代理店・団体法人企業代理店・ディ-ラ-代理店・中古自動車販売業その他の本業を持っている兼業代理店等)を委託代理店として一様に取扱っているために、保険契約者にとって最も関心のある代理店選択情報となる「代理店の提供する各種付加価値」の重要性をあえて無視せざるを得ない状況下、言葉をかえれば保険契約者に保険情報として提供できない実状下にありますが、特に、専業代理店が主体的独立性を名実共に確立し、保険契約者の利益保護の観点から積極的な募集活動を行うようになれば、保険会社にとっては不利益な情報であっても、保険契約者側には有益な情報提供が代理店によってなされる可能性が飛躍的に高まると私は考えているのです。


花子
要するに、代理店が自己の権利として満期所有権を獲得し、保険会社と対等な事業者としての地位を確保することによって代理店の主体性・独立心が高まり、その認識の上に立った営業活動は、保険業法1条に規定する保険契約者の利益保護に、より貢献できる道につながっていくと太郎さんは考えているわけですね。


太郎
そのとおりです。
上紹介した久保泰造氏は、その著書の中で、日本でも馴染みのあるアメリカの保険会社F社の委託契約書の中の 「満期所有権」に関する条項に、以下内容の規定があることを紹介しています。

「記録文書と満期更新(Records and Expirations)は貴方の権利(Your Right)である。しかしながら当社は引き受けたビジネス(保険契約)に関する情報について立入り検査をすることができる。
貴方が許可しない限り、貴方の顧客に他の保険を販売する目的で貴方の記録文書を使用しない。しかしこの契約が終了したとき、貴方が適正に会計報告をしていなかったり、保険料を精算していなかった場合には、貴方は記録文書に対する権利を失い(you lose the right to your records)満期更新を含めた貴方の記録文書は当社の財産となる(yourrecords,including expirationsbecome our propety)。…以下略」
(「損害保険代理店委託契約の解約告知」19頁)


花子
アメリカの保険代理店に与えられている「記録文書と満期更新に関する権利」が、日本の代理店に与えられない理はどこにもありません。
権利意識に対するアメリカと日本の国民意識の違いと言えばそれまでですが、主体性ないしは独立心の欠如から、保険会社が行う業務の補助者的地位に甘んじている日本の代理店には、保険会社の行う保険業務に対する厳しいチェック機能を期待することは望みようもないと考えています。
そういう意味においても、代理店がこの「満期所有権」なるものの権利を獲得するための行動を起こさなければならないと思います。


太郎
最後に、この「満期所有権」に関して論述した、早稲田大学大学院法務研究科・大塚英明教授の文献がありますから、これを紹介しておきたいと思います。この文献は、「東京損害保険代理業協会」が出版元となり、大塚教授と東京損害保険代理業協会・法制委員会の共著という形式をとっており、その中の「代理店の権利」という項目の中で論述がなされています(78頁以下)。

大塚教授はこの文献の中で、「満期所有権」の中味が無体物財産であることについては明示的に述べることはせず、「代理商という企業体(筆者注ー保険代理店のこと)が、あくまで独自の営業活動を展開する過程で獲得する営業的利益」を「わが国ではたとえ事実上の権益」として「認める必要性があるとしても、そこに『物権』としての所有権を確立することは極めて困難である。民法175条には、『物権は本法その他の法律に定むるものの外これを創設することを得ず』と明言され、厳格に所有権等の物権の創設・認定を制限しているからである(物権法定主義)。」(79頁)

以上のように述べ、法律に規定のない無体物(人間の精神的活動によって創り出された創造物)や権利に対する所有権を肯定することは、物権法定主義に反することになるとしています。


花子
所有権とは、「自己の所有物を使用・収益・処分することのできる権利」のことであり(民法206条)、自己の所有する「物」とは、民法85条の規定により「有体物」をいうと定められていますから、無体物に対する所有権を認めることは物権法定主義に反することになるというわけですね。
でも、今日では、有体物を、空間の一定部分を占めて有形的な存在である個体・液体・気体のことであるとする伝統的な考え方とともに、有体物を「法律上排他的支配可能なもの」と拡張解釈する有力説が登場していますね。


太郎
そうですね。この有力説に従えば、無体物も法律上排他的支配可能であれば有体物の範疇に含まれることになり、物概念を有体物に限定した85条の規定は形骸化することになるわけですが、私たちは学者ではありませんから、実務的には、以下に述べる内田貴教授の論述のように柔軟に解釈して、この考えを裁判所が採用すればいいだけの話ではないかと私は考えるわけです。

「『有体物』についてはごく常識的な概念を前提とし、民法の想定する典型的な『物』概念を維持したうえで、これをどこまで類推ないし拡張できるか、という形で問題を捉えた方が、物権法の規定の妥当性を反省するうえでも有益であるように思う。」(前掲民法T、総則・物権総論300頁)


花子
わかりました。これを契機として私たち保険代理店にとって重要なこの「満期所有権」について、もっと勉強していきたいと思います。
「権利」は待っていてもこうのとりが赤ん坊と一緒に運んできてくれるわけではありませんものね。今回の議論を通じて、この満期所有権の獲得が代理店としての主体性を確立し、自主独立性を伴った保険募集活動を行っていく上において不可欠の前提条件となるということをしっかりと理解できました。
太郎さん、本日はありがとうございました。(2011.3)




◆満期所有権に関して社団法人日本損害保険代理業協会(日本代協)への問い合わせ

まず日本代協とは、どのような団体であるのかを説明しておきたい。
日本代協のホ-ムペ-ジによれば、次のように自己紹介されている。

『日本代協』は、『社団法人日本損害保険代理業協会』の略称です。(商標登録済)

損害保険の普及と保険契約者の利益を守るため、常に代理店の資質の向上に努める『損害保険代理店』の団体で、昭和39年12月大蔵省認可の公益法人です。


この団体は、代理店の資質の向上に努める「損害保険代理店」の団体と自らが宣言している社団法人であり、
当然に、上に述べてきた「満期所有権」の問題に関しても重大な関心をもっているものと思われるところから、平成23年3月8日、以下の質問状をメ-ルで投げかけたが、いまだ回答が返ってこない状態が続いている。




1月中に御協会に対して、いわゆる「満期所有権」についてお問い合わせをさせていただいた者です。住所・氏名を明らかにしない問い合わせには回答できないとの御協会の指示に従って再度メ-ルさせていただきましたが、いまだ回答をいただけませんでしたので再再度メ-ルをさせていただきました。こちらの質問の仕方が悪かったせいでご回答をいただけなかったのだろうと解釈した上で再再度ご質問させていただきます。

法人代理店である久保泰造氏は、「満期所有権」の実質的内容について、その著書「損害保険代理店委託契約の解約告知」の中で、(1)保険契約記録文書の独占的使用・管理権及び(2)満期契約の保険契約者に対する独占的保険更新交渉権を意味するとしています。

この前提に立って、以下のご質問をさせていただきますので、ご回答いただきたいと思います。

@過去において、代理店がこの「満期所有権」を代理店固有の財産的権利として訴訟で争った事実はあるのか。あれば、その判例を教示願いたい。

A「満期所有権」を代理店固有の財産的権利として確立することは、代理店が委託保険会社の強い従属性から脱却するための重要不可欠な前提条件と考えるが、御協会は、代理店がこの権利を獲得することについてどのような見解をお持ちになっているのかお教え願いたい。

B御協会が、この権利獲得の為に行ってきた過去の活動実績があればお教え願いたい。

以上です。

 平成2338日 

   千葉県木更津市清川1-3-9 bn

          谷 州展

       連絡先 090-××××-××××





◆ネット上に、満期所有権に関する以下の情報を見つけました。


http://logsoku.com/thread/society.2ch.net/hoken/1068895304/


以下原文のまま紹介します。



242 :もしもの為の名無しさん 04/05/26 23:20

世界的大ニュース!!!!!!! 
「日本損害保険代理業協会」が「代理店の満期更改権を放棄!」
 
耳を疑ったが本当の話でした。
 


243 :もしもの為の名無しさん 04/05/27 01:41

あたりまえじゃーん。代協にいるやつなんざ、そんなもんだよ。 
結局は、壮年の余命幾許も無い連中の集まりだしね.....
    

244 :もしもの為の名無しさん 04/05/27 19:00

・・・本文の一部より抜粋(原文のとおり)・・・ 

1.米国で一般的に認められている満期所有権という考え方は、
 
将来はともかく物権法定主義をとっている現在のわが国においてはなじまない。
 
2.わが国においては、代理店の営業活動の成果を営業権と認識し、
 
この営業権が侵害される場合、その侵害を排除するという形で
 
代理店の営業権の保護を図っていくべきである。
 

換言すれば、代理店の営業権とは、代理店が自らの営業活動によって
 
蓄積した顧客の情報、顧客との信頼関係、保険技術、リスクマネジメント、
 
契約の維持、契約の更改にかかわる代理店手数料の期待利益等、
 
customers origin の財産権であり、
 
直接契約の募集をしない保険会社には帰属しない代理店の排他的
 
(他の代理店に対しても)財産権である。
 

245 :
もしもの為の名無しさん 04/05/27 23:21

>242、244 
これって本当の話?
 
日本代協ニュースの片隅に載っていたけれど意味がよくわからなかった。
 
全文の公開を求む!
 

246 :
もしもの為の名無しさん 04/05/30 11:22
6月17日の日本代協総会で要求したら?。 

247 :もしもの為の名無しさん 04/05/31 20:42
言葉は変わっているが満期所有権=営業権と考えたら・・・。 

248 :もしもの為の名無しさん 04/06/02 22:25
個人情報保護基本法と満期所有権との関係についてもっと教えて 

     249 :もしもの為の名無しさん 04/06/04 09:45

age 

250 :もしもの為の名無しさん 04/06/05 09:48
高齢化問題は 
会員の平均年齢が60歳超?
  

251 :もしもの為の名無しさん 04/06/06 12:54
若年齢の会員を増やせば?  

252 :もしもの為の名無しさん 04/06/06 16:56
若年齢代理店がいないから! 

253 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 17:51

その1 

平成16年4月28日
 
第04−36号(L−5)
 
全 役 員 様
 

社団法人 日本損害保険代理業協会
 
会 長  佐 藤 貞一朗
 


満期所有権について
 

4月15、16日に開催されました常任理事会に、法制研究会から掲題の報告書が
 
提出され、審議の結果承認されました。(4月15日付常任理事会の資料の
 
ご送付の同封書類にありますのでご参照下さい。)
 

本会としては、この法制研究会の成果を活用し、今後「代理店の営業権」
 
を主張し、「代理店の営業権」を侵害するような行為に対しては、我々の
 
「営業権」を守るため行動を起すこととします。
 

従いまして、上記の主旨を損保各社に理解していただくために、
 
別紙を出状しましたので、ご報告申し上げます。
 

以上
 

添付書類:平成16年4月28日付第04-31号「満期所有権について」
 


254 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 17:55

その2 

平成16年4月28日
 
 第04−31号(L−5)
 

損害保険株式会社
 
取締役社長 様
 
(写)代理店業務担当部長 様
 

社団法人 日本損害保険代理業協会
 
会 長  佐 藤 貞一朗
 

満期所有権について
 

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 
弊会業務につきましては、日頃格別のご支援ご高配をいただき、
 
誠に有難く厚くお礼申し上げます。
 
さて、わが国においていわゆる「満期所有権」を実現させることが
 
弊会会員を含め、わが国の代理店の強い願望(夢)でありますことは、
 
従前からご理解いただいているところです。
 

弊会はこの「満期所有権」の実現のため長い間努力を続けて参りました。
 
例えば、昭和55年当時、損保協会の募集制度委員会と代理店委託契約書の
 
改定問題を協議しておりましたが、その協議の中で、弊会から
 
「保険契約の満期所有権は代理店が有する」という提案をいたしました。
 
募集制度委員会は弊会の提案を真摯にうけとめていただき、
 
満期所有権につきアメリカ、フランス、西ドイツ、イタリアの制度についてまで
 
研究され、昭和55年11月に次のような見解をまとめられました。
 



255 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 17:58

その3 

募集制度の実態や売買の実態が異なることから、
 
わが国に外国の制度を
そのまま導入することはできないが、代理店が自ら開拓し、 
取扱った契約に関し、何らかの権利、例えば財産的権利または
記録・情報を保有する権利を認めてほしいとの要求にはそれなりの
 
理由がある。
 
他の業界の代表例としては越中富山の訪問売薬方式における
 
顧客リストがあげられる。
 
また、巷間見られる「暖簾」に与えられる価値に似た点があり、
 
保険会社においても契約の取扱権利を売買の対象とする実例(29例)
 
もみられる。
 
しかしながら、米国等における独立した所有権を認められるほどの、
 
確たる慣行は存在しないが、何らかのそれらしい徴候はみられる。
 
満期所有権を日本に導入する場合には、日本の法制、募集制度等を
 
十分ふまえ多角的な検討を加えたうえ、そのあり方ならびに概念作りを
 
する必要があると考えられる。
 



256 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 18:01

その4 

弊会としては当時の募集制度委員会の代理店業務に対する深い理解と
 
あたたかさに対し、敬服と感謝の気持ちを抱き、引き続き一緒に検討を
 
続けたいと考えていましたが、残念ながら種々の事情により、
 
満期所有権の検討は中断されたままとなっております。
 
弊会としても、この問題をさらに深く検討したいと思いながらも、
 
長い間、諸種の事情から未検討の状態が続いておりましたが、
 
このほど弊会の法制研究会が1年有余をかけ、また早稲田大学法学部
 
大塚教授のご指導をうけて、検討した結果「満期所有権について」
 
という報告書をまとめました。
 
本報告書はさる4月の常任理事会に付議され、全員一致で承認されました。
 

本報告書の結論を要約すれば次の2点に集約できます。
 



257 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 18:04

その5 

1.米国で一般的に認められている満期所有権という考え方は、
 
将来はともかく物権法定主義をとっている現在のわが国においては
 
なじまない。
 
2.わが国においては、代理店の営業活動の成果を営業権と認識し、
 
この営業権が侵害される場合、その侵害を排除するという形で代理店の
 
営業権の保護を図っていくべきである。
 

換言すれば、代理店の営業権とは、代理店が自らの営業活動によって蓄積した
 
顧客の情報、顧客との信頼関係、保険技術、リスクマネジメント、契約の維持、
 
契約の更改にかかわる代理店手数料の期待利益等、customers origin
 
の財産権であり、直接契約の募集をしない保険会社には帰属しない
 
代理店の排他的(他の代理店に対しても)財産権である。
 



258 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 18:14

その6 

代理店業務に理解ある貴社にとっても上記の考え方は十分
 
ご理解いただけるものと思料いたします。
 
従いまして、以後弊会といたしましては「満期所有権」
 
なる言葉は使わず「代理店の営業権」を主張し、
 
代理店の営業権を侵害する行為に対しましては、
 
営業権を守るため必要な行動を起す所存であります。
 
弊会としては「代理店の営業権」を侵害する行為とは、
 
例えば「恣意的な廃業誘導」や「不当な合併強要」などが該当する
 
ものと考えておりますので、貴社におかれましても慎重な対応を
 
お願い申し上げます。
 

ご参考までに、弊会の法制研究会の報告書と早稲田大学法学部
 
大塚英明教授の意見書を添付申し上げます。
 

時節柄、尊台のますますのご健勝と貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
 

                            敬具
 
送付先
 
あいおい損害保険株式会社、朝日火災海上保険株式会社、共栄火災海上保険
 
株式会社、セコム損害保険株式会社、株式会社損害保険ジャパン、
 
大同火災海上保険株式会社、東京海上火災保険株式会社、日動火災海上保険
 
株式会社、日新火災海上保険株式会社、ニッセイ同和損害保険株式会社、
 
日本興亜損害保険株式会社、富士火災海上保険株式会社、三井住友海上火災
 
保険株式会社、AIU保険会社 以上14社
 




259 :もしもの為の名無しさん 04/06/08 18:20

以上、まる1からまる6が全文です。 

以前一部の文書を公開したところ、スレッドの立ち上げられた方から、
 
書き込みを拒否されましたので、やむなく近所の「インターネットカフェ」
 
から書き込みました。
 


260 :もしもの為の名無しさん 04/06/09 22:58

読んで理解するのに一苦労