製作年度:2012年 英 映画 配給:東宝東和
出演:ヒュー・ジャックマン アン・ハサウェイ 監督:トム・フーパー
2013年1月 映画館にて鑑賞
過去に何度か映像化されているし、舞台でもよく聞く有名な小説をミュージカル仕様に再映画化。しっかりと読んだり、観たりはしていなかったのでパンを盗んだ男がどうなったかを知るにはいい機会だと思い鑑賞。監督は「悪魔のいけにえ」のトビー・フーパーかと最初思ったらトム・フーパーだった。誰、その新参者?えっ?「英国王のスピーチ」でアカデミー賞?うわー始まる前からなんか王室系な堅そうなイメージ。今のイギリス人監督はケン・ローチ、リドリースコット、ノーラン、ダニーボイルの4択位しかないはず。他の監督はどう転んでもおもしろくならない。と思いつつも鑑賞。
実際、内容の方は見せ方、テーマ、世界観のアプローチの仕方が昔からの古くさいやり方でただひたすら退屈な映画だった。終盤にちょっといい話になる位なもの。バズ・ラーマンの「ムーラン・ルージュ」が現代的ミュージカルの手法としてはいい進化を見せていただけに石器時代に戻った感じがする。その古さをカバーするための「オペラ座の怪人」のようなキャッチーな名曲も「雨に唄えば」のようなキレのいいダンスもない。セットをティムバートンのように個性を出すとか、ラースフォントリアのように実験映画風にするとかなんかこう突出した攻めがないいかにも英国式な仕上がり。もはや歌が邪魔をしているとさえ思う。おまけに主人公のジャンバルジャンのストーリー独占率がいまひとつ浅く、主人公の座を危うく娘、婚約者、革命軍に持っていかれそうになったりもして影が薄い。娘宛の手紙を勝手に読んだり、逮捕を待ってくれといいわけして、「逃亡」が常套手段なのも潔くない。しかも指名手配されているのに、なんでいつまでも近所をうろうろしているんだとストレスがどんどん溜まる。
仮にそれらのことを水に流したとして、今作品の最大の罪はアン・ハサウェイを開始30分足らず早々で退場させてしまったことにある。見ていてあまりのあっけなさに、「な〜に〜やっちまたな!!」と口に出してしまう。まじかもう観るところないやんこの映画。投獄されたジャン・バルジャンがプリズンブレイクしてラッセル・クロウに血の制裁を下す話にした方が素直におもしろい。これはあんまり関係ないがフランス舞台の映画を英語でしゃべって日本語字幕で読むのもまわりくどい。