製作年度:2013年 日本 配給:スタジオジブリ
監督:高畑勲 原作:朝倉あき 高良健吾
2013年12月 映画館にて鑑賞
ジブリの巨匠、高畑勲監督の8年振りの新作にして最終作品になるであろうと言われている作品。少し前に公開された「風立ちぬ」はいくら駿監督の引退作品と言われても予告を観てお腹いっぱいになってしまい今回はパスしてしまったのだが、「かぐや姫の物語」の予告シーンは和風タッチで疾走するシーンが気になり観たくなってしまう構成。しかも製作費はアニメで50億円と巨額作品である。「大日本人」に換算して5本分、トムクルーズの出演料で2作品分の額。淡い手描きのアニメーションが動くたびに「このシーンは200万位かな?」とかついつい考えてしまう。
画作り以外の新要素としては、かぐや姫の憂鬱とでもいうべき悩みの部分にもスポットが当たりより人間味ある主人公として描かれている。幼なじみへの恋心なんかもあって地域密着型。ただしこの渾身のこだわりがおもしろさに直結しているかと言われたら、そこはいままでの全作品を観ても分かる通り「おもしろい」映画というよりは「味わう」映画というのが高畑監督のスタンス。スペクタルな一大叙事詩にはなっておらず、「竹取物語」はどうがんばっても「竹取物語」、70点満点のストーリー。しかも137分とかなり長い。90分が調度いい尺。話がオリジナルに転んでおもしろくなりかけてきたかと思ったら夢オチ扱いというのが発展しない。月からお迎えのシーンで星人が暴れてZガンとハードスーツで戦い、全面戦争カタストロフィー編に突入してくれることを願ったが叶わず、ちょっとせつない系の終わりだった。子供が観るには退屈だし、女性向けかな。帝のアゴwww。
今年は、深作欣二監督の「忠臣蔵外伝四谷怪談」のBS放送を2回観たが古典をやるならあれくらいの大胆なアレンジがあるとおもしろい。配役も主演級はもちろん、荻野目慶子から渡辺えり子、石橋蓮司、蟹江敬三、六平さんらの脇役まで気配りと演出がすごいし何度でも見応えがある。