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いたずらっ子 たくあ たっくは 手先も器用ではありませんでした。 呼吸器をつけている時は 手を縛られていてあまり自由にならなかったので そんなことも関係あるのかもしれません。 左手は比較的動きましたが、右手は肩のあたりに力が入ってしまい 腕があまり伸びませ んでした。 「のーびのーび」と言いながら あそびで腕をさすって伸ばしたりまげたりしました。 段々 腕も伸びるようになり 指しゃぶりも上手に出来るようになりました。 指しゃぶりは ないといられないような感じで、吸っている手をはずすと即もう片方の手 の指が入っていました。ゆっくりペースの彼ですが これは例外で素早かったです。 それから 普通は はじめ手全体で物を掴むのに、何だか解かりませんが たっくは 小指・薬指・中指と手のひらを使って物を持っていました。 だから すぐに落ちてしまう・・・。 少し上手になり 握力も少しだけつくと、おもちゃを口に持っていっては 「ぶうー」と吹いていました。 吹かない時は 持っていって 見ていたと思ったら、手を離してしまい顔の上におもちゃ が落ちて 大泣き…。 何度やっても また同じ事をしていました。 おもちゃを両手で持たせようと思っても ちっとも覚えず進歩がありませんでした。 でも唯一、メリーゴーランドのくまちゃんを捕まえて口に持っていき「ぶうー」と吹くの が大好きなのですが その時ゆらゆらと動いてしまって捕まえられないともう片方の手が 自然に伸びてきて 押さえていました。 でも、おもちゃを持つのは下手でしたが「管を持たせたら 病院で数本の指に入る?!」 と思えるくらい とてもすばやく掴んでいました。 吸引しようと思えば さっと管を掴んで邪魔したり、聴診器で胸の音を聞いていたら 変な音が…。たっくが掴んでいたずらしていました。 ミルク注入の準備をしていると うれしいのか とっても良く見ていました。 そして 注入中・・・やっぱり管を掴み、しかもそれを振ると壁などにぶつかり面白い ということを覚え 気が付くと振って遊んでいました。 鼻からミルクなどを入れるマーゲンチューブを胃まで入れていたのですが、 退院した頃から良くわかるようになったせいか 一日に何回も何回も抜いてしまいました。 抜かれない様に鼻のすぐ脇からテープを貼るのですが、ちょっとの隙間に親指を入れ サッと一気に抜いてしまいます。これだけは参りました。 酸素の管もよく取りました。 鼻から取っては 口に持っていき「ぶうー」と吹くのが好きでした。 テープをしっかり貼っても 力が付いた為 力ずくで引っ張って取ってしまいます。 お陰で 顔はいつも無理にテープを取ったための怪我が耐えませんでした。 それから、口に持っていくと すぐ元に戻されるのが解かるらしく 手で管を押さえて「ぶうー」と吹き、まるで取られないようにしたり隠したりしている かの様でした。 そんな管好きのたっくは とてもコッケイで よく看護婦さんたちと笑ったものです。 冗談で 「たくあの将来の職業、”ひも”にならないといいけど」なんて言ってました。 |
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耳のこと |
新生児の病棟にいた頃は 音に反応する様子が見られたように思っていましたが、 ICUで目を覚ますようになってから なんだか聞こえていないような気がして 気になっていました。 一般病棟に移り 状態が落ち着いた頃調べてもらいました。 やはり結果は思っていた通りでした。 90デシベルでやっと反応するくらいしか聞こえていませんでした。 90デシベルと言ったら、大声コンテストで叫ぶくらいの声です。 先生のお話だと、ダウン症の子は 成長が遅くて聞こえなくなっていることもあり、 その場合は3歳くらいまでには聞こえるようになることもある・・・ということで 全く可能性がない訳ではない事が判りました。 ”目は見ようとする事で見えるようになる”という話を聞いた事があり、耳だって きっとそうだろうと たっくが聞こうとする体制を作ることにしました。 具体的には、100円ショップでメガホンを買ってきて たっくにそれを使って話しかけると いうことです。 全く聞こえないわけではなく、90デシベルは聞こえているのだから聞こえる大きさで話し かけることで 本人が聞こえることがわかり 聞こうとしてくれれば、 耳の成長が促されるのではないかと思ったわけです。 メガホンで話しかけてみたら 思ったとおりちゃんと反応を示してくれました。 私たちの期待が その通りになり、日に日にたっくの反応が良くなって行きました。 そのうち 自然とメガホンは使わなくなっていました。 ところが、退院のため約半年後 再検査をしたところ 私達は 良くなっているものと思っていたのに 出てきた結果は”反応は全く無し” でした。 納得いかない私達は 珍しく担当の先生に反論していました。 先生もそれをちゃんと受け止めてくださり、即 耳鼻科の先生に話をしてくれ もう一度直接耳鼻科の先生とお話する機会を作ってくれました。 そして お話の日、たっくの耳の中を見て 水がたまっていることがわかりました。 水の溜まっていたせいで 反応が出なかった可能性もある・・・といわれ ちょっとホッとしました。 その後 となりのベットの子がおもちゃを床に落とし、そのときその音にたっくが反応した のをちょうど看護婦さんが見ていて 思わず「アッ 聞こえてる!!」と言いました。 私達は内心「ほらね〜」とニヤニヤしていました。 退院後は ますます聞こえるようになり、人形のおなかを押すとうるさい笛のような音が でるのですが それを鳴らしたら びっくりして泣き出してしまいました。 「たっく〜!!」と呼ぶと うれしそうに笑ったりもしました。 最後は 筋弛緩剤が入っていたため目は見えませんでしたが 耳は聞こえていた様で 声をかけると唇をピクピクッと動かしてくれました。 耳が聞こえるようになっていてほんとに良かった・・・。 |
口蓋裂のことなど たっくの上顎は 滑らかなアーチ型ではなく、なんか割れているような感じでした。 それが 口蓋裂かどうかは判りませんが、その奥に小さな穴があいていて鼻とつながって いました。 割れたような上顎の為 哺乳ビンの乳首が上手くつぶれなくて飲めないこともあるので 上顎に付けるプレートを作ってもらいました。総入れ歯の歯の無いような感じです。 はじめは付けていても 何も嫌がったりしませんでしたが、段々慣れてくると プレートを口から出す方法を覚え、出しては遊んでいました。 そのたびにまた入れられるので 段々嫌になってきた様で 入れたとたんに出したりして ました。「だめよ〜」「いれといてね〜」と言葉かけをしながら 気長にやっていたら また出さなくなりました。でも 入院したらまた出すようになりましたが 身体の状態も あったので 歯科の先生から手術が終わったらまたやりましょうとおっしゃって頂き 使わなくなりました。 ミルクを口から試した時期もありました。 口蓋裂用の乳首も使ってみましたが うまくいきませんでした。 先生にお話を聞いたところ、上を向いてコップの水を入れられてゴクンと上手に飲めますか と聞かれ 実際体験してみるととても飲みにくいことがわかりました。 口蓋裂用の乳首は 上手く吸えない子の為にちょっと吸っただけでたくさんミルクが出て くる仕組みになっていたのでした。 そこでいろんなメーカーの いろんな種類の乳首を購入し、試してみました。 はじめはチュチュの穴がクロスになっているのが良くちょっと飲みました。 ヌークのかたちは 口の中で安定してのみやすかったようで 小さい子用の物で飲ませたら 少し飲むようになり 最高で50cc飲めました。その後は体調を壊し 一事ストップしたら 飲まなくなり 逆にぶうーっと吹いて遊んでしまいました。 果汁・スープ類も少しならと許可が出て スプーンであげましたが、ダラ〜ッと横から 出てしまいました。 お友達に ”とろみアップ”というのを教えてもらい 早速取り寄せ使ってみました。 やはり 舌の使い方など下手で たまにゴックンと飲みましたが ほとんどは出てしまい ました。果汁の時はおいしかったらしく一生懸命飲もうとしているのはわかりましたが ほとんど出てしまっては また口をあけていました。 結局 あまり口から飲まなかったことなどから あごの発達は遅く 口蓋裂の穴も 自然にはふさがりそうも無く 心臓のほうが落着いたら検査して手術して 指導を 受けたほうがいいと言われました。 発達の遅いあごでしたが 1歳半ごろ 奥に2本(片側一本ずつ)歯が生え始めました。 再入院して もう一本奥に生えてきているのを見つけました。 |
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