ゲームで泣いた日

(2001/03/02)

 

 ドラクエ3が出たのは、ちょうど小学校5,6年の時だったと思う。まだ自分では入手しておらず(今回も予約が遅れた)友達に無理言って持ってきてもらってのプレイだった。TVゲームというと大抵インパクトのあるオープニングで始まりこれから始まる冒険にわくわくさせられるものであるが、ドラクエ3は、そうではなかった。電源を入れると黒バックに白文字で「DRAGON QUEST III」と静かに現れるだけ。オープニングのための容量を削ってゲーム本編に費やしたと聞いてそこまで追求するか、と感慨深かったものだ。

 王様に会って街の酒場で仲間を見つけるように言われるがこれがなかなか決まらない。様々な職業から好きなモノを選び自分だけのパーティをつくる、これが3の特徴の一つであった。どれくらい迷ったかというと、ゲーム雑誌などで7つの職業が発表されてからずっと、である。エニックスおすすめパーティは、「勇者、戦士、僧侶、魔法使い」であった。確かに僧侶、魔法使いは、重要なのではずせないが戦士は素早さが低くおまけに装備にお金がかかると思い却下していた。じゃあ誰にするのか?装備にお金がかからず素早さもある武道家もいいが、戦闘終了後お金をgetでき、アイテムの鑑定も出来る商人も捨てがたい。(遊び人は論外だった。)この2者択一かなり難しい選択であったが、最終的に武道家にすることにした。職業システムに関してもう一つ、7つの職業の中で唯一賢者(魔法使いと僧侶両方の呪文を唱えられる)だけが酒場で仲間に出来ないのである。ダーマ神殿で、悟りの書を持つ者だけに許される職業なのだ。例外として遊び人は、悟りの書ナシで賢者に転職できた。遊びを極めるというのは悟りの境地に立つということなのだろう。さてこの悟りの書普通にプレイすると1冊しか手に入らない。モンスターからたまに手にはいるがその確率は、かなり低い。この1冊を誰に使うかでまた迷った。僧侶に使って、攻撃呪文を強化するか、魔法使いに使って、防御呪文強化を目指すか。結論としては後者であった。というのも魔法使いの装備が弱かったので賢者にしてやることでより強い装備が出来るようにしパーティ全体の戦闘力をアップをはかったからだ。

 ドラクエ3といえば、業界初のバッテリィバックアップという方式でデータ保存を可能にしたゲームである(たしかそう)。1,2までは、復活の呪文でいちいちメモをする必要があった。2に至っては、嘘を教えられるという被害にもあいこのシステムには、子供心ながらに「てくのろじぃ」と言うものを実感した。セーブするときは、王様の会いに行き、冒険の書に記録してもらえば良いのである。で、ゲームを終わるときはリセットボタンを押したまま電源を切るのだ。これがとても重要で、いきなり電源を切ったり、リセットボタンを押して電源を切らずにはなしてしまうと、バグってデータは、すべてオジャン。なんでこのような操作が必要だったのか未だに謎である。(知っている人がいたら教えてください)

 さて、そろそろ本編の話にしよう。「魔王バラモスを倒し世界に平和を取り戻して欲しい」そう王様に頼まれて勇者一行は旅だって行く。前作まで自力でクリア出来なかっただけにその意気込みは半端じゃなかった。新しい街にたどり着いたらそこで買える最強装備になるまで先には進まないようにしていた。大抵お金が十分たまる頃にレベルも十分になっていた。船も無事に手に入れられたし、オーブも苦労なく手に入れられた。この世界は、現実の地球と酷似しているのだがこのときは、それほど気にせずにとにかく先に先に進めていた。船乗りの骨のために変化の杖を奪われたのはなかなか悔やまれたがその前にしっかりとエルフの街で買い物は済ませておいてある。そして幽霊船の中で手に入れた「愛の思いで」これの使い方が分からなくて凄く苦労した覚えがある。また自力でクリアできないのか?そう思ったときもあった。なんとか解決法を発見しガイアの剣を手にした時は、本当に胸をなで下ろしていた。オーブを無事全部手に入れ不死鳥ラーミアを蘇らせ、いよいよバラモスの城である。このとき、勇者、僧侶、賢者の魔法がまだ半分くらいしか覚えていないのにもう最後?と疑問に思っていた。しかしそれほど気にせず、バラモスとの対決、そして撃破。正直なところ拍子抜けだった。ドラクエ2まで乗り越えられなかった壁というものは、この程度のものだったのか?と。アリアハンの城に凱旋し王様に感謝され、「序曲」のファンファーレ。これでエンディング・・・・、と思いきやそうではなかった。大魔王ゾーマの登場である。兵士達は雷に打たれ消滅して行く。1冊で終わりと思われていた物語に2冊目があった。そんな気分だった。まだ冒険が続けられる、とても嬉しかった。

 ギアガの大穴に飛び込み別世界に言ってみるとそこでは聞き覚えのある音楽が、そう「広野を行く」である。アレフガルドに再びやってきたのだ。このとき背筋がゾクゾクした。しかもラダトームの王様に聞くとゾーマによって闇の世界にされてしまったというではないか。「その昔、勇者ロトは魔王を倒しアレフガルドの地に光をもたらした」、ドラクエ1で王様に聞かされる話である。つまり魔王とは、ゾーマのことであり、勇者ロトは、今自分がコントロールしているこいつなのだ、1〜3すべてが繋がった。ゾーマのいる城にたどり着くには3つのアイテムが必要だった、太陽の石、雨雲の杖、ルビスの守り(聖なる守りだったかも)。どれも1の時にあった場所と違って苦労させられた。1では、廃墟となっていたドムドーラも健在でちょっと嬉しかった。マイラの温泉から南に3歩、案の定・・・である。王者の剣を2本買うということもした。(勇者しか装備できないのに)そんなこんなで、虹の滴を手に入れゾーマの城に乗り込む。大魔人の罠や、回る床を突破しもうじきゾーマにたどり着く、そのさなかオルテガとの再開はせつなかった。敵は必ず討つと誓った。ゾーマの手下3匹なかなか手強かったがここまでたどり着いた勇者一行である、無事に倒すことができた。そしていよいよ大魔王ゾーマ。戦闘に入る前の台詞は、今でも覚えている。「勇者よ、なぜそんなにもがき生きるか、滅びこそ我が喜び、死に行くものこそ美しい、さぁ我が腕の中で息絶えるがよい」(たぶん)妙に格好いいと感じるのだ。そして「勇者の挑戦」この音楽も忘れられない名曲だ。凄く胸が高鳴った。自分にとって最後の聖戦だった。1、2と果たせなかった思いがここには込められていた。竜の女王様からもらった「光の玉」これで闇の衣をはぎ取り万全の体制で望んだ・・・、しかし負けた。初お目見えで倒せるような相手ではなかった。負けたと分かった後もしばらくドキドキしていた。2回目は無事に倒せた。リムルダールの周りではぐれメタルを倒しまくったからだろうか。ゾーマを倒したあとほめられたが妙な気分だった。そして洞窟から地上に出たとき、光が戻り、上の方で何かが閉じる。もう元の世界に戻れないという寂しさがあった。このとき勇者と自分はシンクロしていただろう。そして、エンディングを迎え、物語は完結した。ゲームでここまで達成感が得られたのはこれが初めてであった。それだけロトシリーズが名作だったと言える。このとき僕は、決意したのだった、ドラクエシリーズの行く末を見守ろうと。(つづく)

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