勇者ロトとの出会い

(2000/02/15)

 

 僕が初めてドラゴンクエストに出会ったのは、小学2年のときだったと思う。そのころファミコンが子供たちの間で大ブームで、学校が終わったら友達の家で良くゲームをしていた。スーパーマリオを初めとするアクションゲームが主流で、手先の器用さがゲームクリアに必須の要素だった。そんな時、同級生の横井くんが持ってきてくれたのがドラゴンクエストだった。「一人でしか遊べない」「クリアまでに時間がかかる」などの理由からそのときは、少しやっただけですぐにみんなで遊べるソフトにうつってしまったが、RPGという全く新しいゲームジャンルに僕は、惹かれつつあった。両親をなんとか説得して買ってもらった時は、本当に嬉しかった。食事もろくにせずに、画面の見すぎで気持ち悪くなるまでやっていた。広大なアレフガルドの大陸を自由に動き回れる、モンスターとの戦闘も自分で戦略を立てられる、アクションゲームに比べたら格段にユーザの自由度が高いのがRPGの特徴だと思う。武器防具を全く装備しないでいても竜王を倒すことは出来たし、ローラ姫を助けなくてもクリアは出来た。ローラ姫を抱えたまま竜王を倒すことだって可能なのだ。あまりに自由度が高すぎて、次に何をしたら良いのか考え込むこともあった。

 「ふっかつのじゅもん」というシステムはドラクエが初めてではないだろうか。うっかり書き写しのミスがあったりすると再開できず、一つ前のじゅもんで再スタート。いったいいくら涙の飲んだのだろうか。用心深く、2つ3つのふっかつのじゅもんを書き留めていたこともあったっけ。あのじゅもんの法則性を解明しようと試みたこともあった。しかし、何回聞いても、その都度まったく違う「ふっかつのじゅもん」で、法則性を見つけるどころではなかった。この法則性は、未だに知らない。誰か知っていたら教えて欲しいくらいだ。

 ファミコンで発売さえたドラクエシリーズのなかで唯一戦闘画面に背景があったのがこのドラクエだった。当時のグラフィクス技術では、最高峰であり、とても綺麗で本当にその場にいるような感じさえさせてくれた。容量からいえばドラクエシリーズ中一番少ないはずなのにどこにそんな余裕があったのか不思議なくらいだ。戦闘画面といえば、このころは、モンスターのグラフィックがあるだけで動きなんてものは、全くなかった。攻撃して命中すればスライムが点滅し、攻撃されればステータスウィンドウが振動する。きわめてシンプルだったけど、「ユーザの想像力に期待する」というコンセプトがあったということを後で知って凄く感動していた。

 ゲームの中でのいたずら心というものにも、愛着があった。このころ週刊少年ジャンプでドラクエに関する記事には、「ゆうてい、みやおう、きむこう」という人たちが誌面上でいろいろ紹介してくれていたのだが、アレフガルドに存在する街の中で彼らに会えた。迷子になったきむこうをゆうていとみやおうが探しているのである。他にも、ローラ姫を抱えたまま宿屋に泊まると翌朝宿の主人の言葉が変わるとか。

 これほど好きだったドラクエであるが、実は、買った当初つまり小学2年の時は、自力ではクリアできなかった。友達に最強のふっかつのじゅもんを教えてもらってようやく竜王の姿を見ることが出来た。ローラ姫は、別の人間によって救われた後だった。

 小学2年の僕には、アレフガルドは、広すぎた。しかし、ますますドラクエワールドに心を奪われていたのは、言うまでもあるまい(続く)

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