うろこ
電球から光の雫
滴り落ちるのを浴槽で
口腔をひらいて待つ間、
油で塗ったまだら模様
あるいは、拡大鏡で覗いた土塊が
多角的に眼の裏側で映えている
水滴が舌の奥深くまで
釣り針のように刺さり
感電した唾を呑み込めば
憂き身、背ビレを曲げていじけ出す
排水口を目がけた窮屈な回転
うろこの撒った水中の風景に
はかなき幻夜の小雪を重ね
今宵、自己積もりゆくまで泳ぐかな。