つむぐ

 

さようなら、もう二度と会わない

それがふたりの歴史だけど


終わった物語のつづきを

独りつむぎはじめる夜がある


行き場のない言葉、

知られることのない感情

ランプの下にならべて、もてあそぶ

世界の秘密がここにある


ため息とともに、募る想いが放たれて

真夜中の深呼吸はまるで氷を飲むみたい


お月さまが動く

どんな顔して過ごしてるんだかね

お星さまが流れても

魔法を使えたりはしない


この町のどこかで、窓の奥が仄かに灯り

ほかの町のどこかの誰かを想う


無数の引力が交差し緩やかにむすびついている

つむがれる、誰かの秘密を信じて眠る。