オール
星は沈みきって
闇は溶け始めた
頭上を流れていく
水彩の夜に
手のひらを浸すように
ゆらゆらゆれて
解き放つよ、しびれた
か弱な月の輪郭へ
願いの小舟を浮かべて、向かわせる
それは思ったよりも
普通の暮らし
遥か遠くへ
吸い込まれていく
空が白んで、消えた
JRへ、
歌舞伎町を歩きながら。