遅い朝

アパートの

空虚な一室に

轟音が響いている


コップ一杯の水をもとめて

遅い朝を抜けだす


台所の四角い窓から

雑居ビルの解体をながめている

色彩がはがされ

構造があばかれていく


向こう側のマンションが

姿をあらわしはじめる

クリーム色の外壁が

ふるえる背中のように露わになって


この部屋に

吊ったままの

あなたの外套を

そっと、かけてあげたくなった。