路心溶融

 

逃げ場のない鳥の影が地面で渦を巻いている

うすれ陽の町を溶けるように歩く

日々の終わりを重ねておれは少しずつ消失する

やがて路上に黒い辻風が立ちおれの明日はなくなるだろう


求愛のように足をのみ込むぬかるみの道

蒸発する最後の瞬間まで卑猥な音を響かせる

泥まみれの靴で歩き散らして、

おれの中のいやらしいものをこすりつける

尖りきった欲望の崩壊熱がスケベホテルの一室を穿つように

恥ずかしい汚れがこの世界を堕としめていく


壁にもたれて、しばし未来を眺めていたよ

廃墟の町に拡がった猥褻な心模様が、

訪れた無垢な女の足首を絡めとって、

それはそれは真っ白なパンチラの朝陽のような眩しさよ。