危険な団体

危険な団体が

からんできている

あなたのいるまえで


危険な団体から

逃げてしまいたい

あなたがいるのに


こわいために

だるいために

おびえているために


危険な団体の

敵と思われないように

むしろ微笑を浮かべている


危険な団体には

何も通じない

お腹が痛いふりをしても


とてもいや

おそろしいものすべて

負けているからかなしい


あなたが見てくれている

この恥ずかしい姿

あとで感想をきくのが楽しみだよ。

月月

同じ場所に

別別の町から

やってきた


同じ音楽を聴いて

別別の町で

もだえていたと知る


同じ映画も観ている

別別の映画館では

上映されないこともある

星空に爪たててみる

いつかこの傷が巡りますように


あなたが男に生まれ変わったら

ちょっと汚くなって

ぼくみたいになるだけだろう


ぼくが女に生まれ変わったら

すこし綺麗になって

あなたみたいになるだけだろう


いっそのこと、

ひとつになりませんか?

奇跡がおきて

きっと、月がふたつになりますよ。

これから

これからのことを

かんがえるだけで

胸が悪くなる


これからの時間

これからの距離

これから、

どれだけ待つのだろう


恋人たちのいなくなった

アパートの空き部屋

これから起こること

ぜんぶ知っていたらよかったのに


これからも聞かされる

これからも同じ

これからは変わってしまう


今、ここで、こうしている瞬間、

永遠に凍ってしまえたら

肩越しに見た

ベランダの向こうの

夕景と。

朗読詩「危険な団体/月月/これから」