かえり

 

月影と電信柱

かえりみちに天球の模様替え

エンドロール流れ去っていく感じに

星の浮遊をあやつって


街路灯、壁と窓、住宅街つややか

重なる吐息みたいに

暮らしと暮らしが混ざりあう

夜の蜜にとけだしては、煙る


かえりみちはいつもさよならの後

さよならを集めて灯るまちのあかり

風媒花は息をひそめて

つなぎとめるものをさがしてる

眠り猫も目を光らせて

お別れのないことをさがしてる


動く闇、音のない川、揺らめいて

眼鏡橋、知らない小路をまわりみち

知らない誰かとすれちがう

知らない自分に出会うみたいに。