美人喫茶

瑠璃色のフィズは

うたかたのうず

気鬱な眼帯女史の

うすくのびた地獄耳に

微炭酸がはじけている


グラスのなかで

ないしょの狂騒

フェアリーな難破船が

血迷って旋回している

ユスラウメにはずみながら


氷の浮かぶ夜に

涙を幾粒まぜたけど

誰かの三日月檸檬がまばゆくて

濡れたテーブル

水しぶきみたいに嘘ついた


愛少女、哀戦士、曖昧me?

模造のマスカットに

囚われた鼓動をもぎとって


聖子、聖闘士、聖マリアンナ精神科

甘い泡の滑り下りた喉から

まどろんだ灰猫を吐き出して。