JI:0001〜 伊 万 里 焼 |
(C)古美術サロン 竹森
updated on 01/02/2004 22:35:56
定版2006.11.24。作品17点(計24点掲載)2023. 04.16.作品解説追加。
古九谷論争も一定の結論がだされ、伊万里の一様式となった。 このコーナーではそれに準じるように構成した。 テレビジョンの「鑑定団放映」により骨董入門としてもてはやされ、 絵がわりの皿、そば猪口など、庶民の手の届かない値段となって、 人気のほどが窺える。 これまでの学術調査により、時代区分は10年刻み、いや5年、いや3年 が可能となり、日本の焼物研究で一番すすんだ伊万里焼となった。 世界的にもナンバーワンの研究がされたジャンルとなったのだ。 1620〜1650年代。 初期伊万里の自由でのびのびした絵付け、暖かい磁肌、未完成の美、 1645〜1675年代。 古九谷様式の藍九谷は豪快で力強い筆さばき、印象派を偲ばせる 青手の作品、南京手の中国写し等、 1670〜1690年代。 柿右衛門様式の図案化された絵付けと色絵の美、 西洋好みの濁し手、白磁色、 1680〜1720年代。 盛期伊万里様式の洗練化された器形、熟練した技術による藍色の美しさ 線描きは細密、濃淡あり、 1675〜1725年代。 金襴手様式、ヨーロッパへの輸出用、 国内需要時代、・・・・・青磁染付流行、享保・宝暦・天明の各時代。 伊万里斜陽化時代、・・・砥部・瀬戸・京焼、文化・文政の各時代。 どの様式も、それぞれの時代要請に対し、陶工たちが知恵を絞り 作陶に励んだ作品であり、趣味家として“入り易いが中々奥が深い” また、実用品としても楽しめる分野である。 それでは日本の“伊万里焼”をお楽しみください。 |
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古伊万里桜花文皿 JI0003 江戸後期 盛期から時代が下がり、量産化が始まった頃の作品 厚手、桜花の花びらが水にゆらゆらと流れる様(桜川) 空に、蝶が一羽ひらひらと舞う情景を描写している。 D21Cm(No.0039) |
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染錦大鉢 JI0005 江戸後期 古杉箱 古ニュウの直しが2本ありますが、大きさも深さもあり、 素晴らしく存在感のある染錦の大鉢伊万里製品です。 何を盛って利用するかは貴女のセンスしだいこのサイズは なかなか入手ができません、書き込みも細かで上手です。 D26.0Cm、H13.5Cm NO0036 |
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古伊万里五彩手八角組鉢 JI0007 1680年頃 焼き桐の上手の箱が設えられている。 対辺12,5cm、H4.2cm(No0180) |
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色絵松竹梅花篭文八角深鉢 JI0010 1730年頃 桐箱 純白の白磁に薄い胎、盛期と比べ、一般的に絵付けが少し 粗雑になる時期の作品であるがこれは精作である。 1客しかないのは残念。 口径13.5Cm、H7.8Cm 0026 |
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五彩手伊万里徳利 JI0202 1680年頃 時代桐箱 古九谷様式に入れてしまう業者さんもいるが盛期伊万里に移る 過渡期の時代の作品である、雲の表現方法(黄色部)が時代を表す。 写真では見えにくいが、鎬(シノギ)が入り造形の類例が 少ないタイプで、三尺の床に飾れば他に何も要らない。 非凡な作例でこの色絵徳利は存在感が抜群にある佳品といえる、 落ち着いた赤色の発色と葉の緑との対比が非常に美しい。 伊万里の銘品と見える。 H23Cm(No.0386) |
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色絵花紋八角皿 JI0502 1750年頃 見込みに降り物有 金彩は使用ですり減り柿右衛門手の末期の作と考えられる。 このサイズになると市場に出回る数は少なく貴重品です。 飾り皿に使用すれば存在感があり部屋の雰囲気が変わる。 割れに伴う金直し有り、口縁の裏にも5×10_の金直し有 庶民はこのレベルで満足しなければ値段で追うとドボンとはまる。 口径対辺28.8cm、最大30.5cm 金直し 0021 |
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古伊万里手付酒器 JI0503 古杉箱 江戸後期 ペアーで無傷、現存していることは嬉しい、 目出度い席の酒注ぎ用ですが、花生けにも転用できる。 2客では多すぎる方、仲の良いお友達とお話しして・・・。 左右17.5cm 全H 17cm 0046 |
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盛期伊万里白磁菊花型鉢五客 JI0506 1700年前後 五枚組で白磁の色が良い色に発色している、口縁は鋭く 型物技術の確かさを示している、蛇足だが時代が下がると 口縁が丸みをおびて甘くなる。盛期伊万里の白色で 見込み面に菊花が陽刻される。生菓子が良く似合う上手の皿 高台も鋭い造りが特徴です。 径:13.5cm H:4.6cm 五客組み(NO.0140) |
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盛期伊万里白磁平鉢 JI0507 1700年前後 32弁の菊花形で胎は薄く、陽刻で見込みに菊花が一枝表現 されているので、器全体から清潔感があふれ出ている。 菊花の陽刻は見事で、目出度い席にはうってつけの器。 JI0506とセットでお茶会の菓子器に見立てても良い。 取り合わせも良く素晴らしいもてなしの器となるだろう。 D 21.5cm H 4.6cm(No.0130) |
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文明開化図小皿 JI0207 五枚組 明治 5枚すべてへたりの皿ですが文明開化図のお皿は印判プリントが 圧倒的に多いが提示の皿は陰刻でパラソルを持つご婦人が刻され その上にベロ藍を刷毛でサッと塗り、溝にたまった藍が濃く発色 するので図柄が判る仕掛けの皿でございます。 明治を軽んじる人が多いですが、大正で100年あることから 十分に骨董品の分野に仲間入りしても良いと考えます。 “明治も遠くなりにけり”・・・ですね。 寸法: 口径10.5cm 五枚組 0015 |
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伊万里十二支文七寸皿 JI0214 江戸後期 手書で描かれた上手のお皿、方角を表すのか? 見込み丸の中の絵は私では説明できない、 口紅が塗ってある皿は精作が多い。 裏名 文化年製 H約3p 胴径21p 0011 |
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伊万里松竹梅文輪花皿 JI0210 1770年頃 柿右衛門様式の終わりに近い厚手の染付け皿です。 見込みに5ミリ程度の降りもの跡1箇所、 口縁が3_ほど立ち上げてあり一般の伊万里とは違い 手が込んだつくりを見せる、普段使いにどうぞ。 高台内目跡4個 渦福銘 径20,8cm 0012 |
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伊万里花蝶文皿 JI0211 江戸後期 茶 太古石にボタンのような花が三輪咲き、その花に 2羽の蝶が舞う図柄、口縁に口紅が塗られているので 雑器ではない、よく使われたのか細かな傷が器面に 多く見られる、見込み中央付近に降り物が1ヶあり 高台内目跡3個 裏側無地 径23cm NO0008 |
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伊万里輸出向皿 JI0113 5枚組 時代不明 高台内に成化年製と染付銘が入った、なんとも説明ができない 絵紋様の描かれた銘々皿の紹介です。 見込み中央にはロザリオ文?石楠花のような細長い葉が5枚、 その周りに細かな葉文地に椿らしき花?が3ヶ所、そして濃い 呉須で雲文のような物体をめぐらす、手の込んだ描法で描かれ る、これが手書きであるから頭が下がる、中国の陶器生産が国内 の混乱で退嬰した時、日本の焼き物が大手を振った時の産物か? 寸法:径15,5 cm 高台径9,5 cm 高3,1 cm NO0019 |
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きりん 麒麟文染付徳利 JI0205 幕末〜明治 3本 明末、清初に流行した麒麟の図が日本の古伊万里で模倣され さらに時代が下がって、くだけた絵柄に変化したキリン図と小生は 解釈したが読者の皆さんはいかがか? 体や足は子馬そのものでユーモアたっぷりの描写、空間を 中国様式の“瑞雲”で埋める、高台上や首部も中国様式の図案 が入るが和様化されているので模倣に見えないのが不思議。 野の花の一輪が似合いそうな徳利だ。 残り1本 寸法:胴径6,7cm 口径2,6cm 高14,4cm 1本3千円 |
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線描花文小皿 JI0206 5枚組 江戸後期 やや淡い染付の発色で典型的な江戸後期の線描きによる 小皿5枚組の紹介です。 10年程前には人気があり高価でしたが昨今では大暴落の憂き目に あっていますが“一筆ひと筆”丹念かつ大胆に描かれた文様には 人を感動させる魅力がいっぱい内包されています。 時代の吹聴に流されず、自分の感性を信じることが骨董を収集 する上では非常に大切な要点だと思います。 和菓子が良く似合う染付の色合いですのでお勧めです。 寸法:口径10,7cm 高2,2cm 高台径5,6cm 5枚組1,5万円 |
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錦手伊万里蓋茶碗一対 JI0208 江戸後期 杉箱 窓絵を胴央に6箇所区画し、中央に落ち着いた赤色にて花柄を 描き、骨描きに金彩を使用して花弁などを表現する、一見派手な 色彩使いであるが実に落ち着いているから不思議である。 こんな器に“銀舎利”を盛って出されたら、さぞかし美味いに 違いないと思う、憧れのシーン。 欠点は2碗とも少々焼が甘手で、一碗の蓋裏に鉄分の噴出し 黒点が5×10_ありの大きさである。 飯茶碗は人気が無く、手が込んだ造りであろうとも値段が安い 蓋はひっくり返せば小皿の代用になるし使い勝手がいいのでが? 寸法:口径12,2cm 全高8cm 高台径4,8cm 0015 |
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切込焼水文染付瓢形徳利 JI0203 江戸後期 時代屋久杉箱 切込焼の銘品、これほどの徳利探しても中々無いですよ。 瓢(ひさご)は床飾りに用いれば家運上昇で縁起良い事で知られ この藍の発色は欠陥に見る人もいるが、切込焼の時代の特徴。 伊達藩の御用窯として始められた焼き物、コレクターに 人気が有ります、日本画の墨絵を視るような染付が特徴。 口に古いキズ有るが逸品です 、H22.8cm(NO.0185) |
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かんばく 観漠図変形皿 JI0210 江戸後期 8枚 伊万里の型物で普段使いにベストの大きさ、しかも手描きの 変形皿の紹介です。 正式な名称は解りませんが菱形で隅入りの凝った作りで 江戸後期の特徴である厚めの胎土のためか?粘土の収縮による トリアシ又は窯キズが入ってしまった物5枚と、降り物が入った 3枚の合計8枚の“わけ有り物”です。 しかし手描きの絵のタッチは捨てがたく、魅力が伝わってきます つまり現代工芸品には無い雰囲気を秘めています。 平均寸法:左右17,2p 上下13,1p 高さ3cm 8枚組1万円 |
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染青磁朝顔文長皿 JI0217 明治 団扇の中に龍と更紗文、丸文に菱花文、全体に朝顔花文 を濃いコバルトで描く、見込み面の余白は青磁で埋める。 外側は白磁に菊花を染付で描く、高台内には小さな角印 があるが読めない、残念だが裏面にトリアシ、見込みには無い が走る。ちなみに朝顔は秋の七草に含まれるとする説がある 我が家の付近に野生の朝顔が有り、10.02現在咲いている。 このお皿、コバルトの発色が濃く好き嫌いは当然あろうが、 先日お寿司を盛りつけたところちょうど良いバランスで 家族一同びっくりした、やはり器は使うものである。 長手の寸法42cm 短径(上下)32,5cm NO0011 |
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染錦龍鳳凰文茶碗 JI0009(2客組) 一客 入有り (大明成化年製銘) 鳳凰の意匠が大胆で素晴らしい、蓋を裏返した時に 驚嘆する仕掛けが特徴の意匠。 古人の美術的感覚に敬服する図案が施されている。 上手のご飯茶碗ですね。 口径11.2Cm、H7.7Cm 0021 |
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染錦樹下唐人図平鉢 JI0204 大聖寺焼 当時流行した中国物の写しである、描き込みが素晴らしい。 この年代の伊万里は精作が多くゆえに流通する数は少ない。 この皿を中国に持っていけば清初の景徳鎮で通ってしまう。 高台内に大明嘉靖年製銘 大聖寺焼の逸品とみるが皆さんはいかがか? D21.5cm、H3.6cm(No0155) |
古美術サロン 竹森(予約制)
自宅内展示ですので、ご来店の節には