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日本の古窯・土器類

 

(C) サロン 竹森

updated on 01/02/2004 12:02:42

改定版2006.11.30.作品13点。(計19点掲載)2022.10.11.作品1点追加。


 

古窯の魅力を一言で例えるならば、「用の美」だと考える。

つまり使用する目的に適した機能美、

またはその時代の感覚に適合した美が極限までにも追求され、

なおも時代の要求すら「具備されている」からである。

 

須恵器・土師器には、大陸の香り、影響が色濃く残っているが、

各地に発展した中世古窯には、和様化された作為のない、

その土地の「用の美」が見られて“心を和やかに”させてくれる、

言わば日本人の魂の原点かもしれない。

 

小壺などは、座右に置けば安心感が漂い、日本の野原の花を呼ぶ。

 

現代社会はアッピールの氾濫で、観る者にとって

息苦しい感がぬぐえない。

「素朴な媚を売らない静かな佇まいである」古窯の作品に

「日本の生活の原点」を感じるのは私だけではあるまい。

 

このコーナーでは備前・信楽・伊賀・古瀬戸など別格として扱う

桃山時代頃より流行する

「茶道具の売れる茶器造り」が各地で始まると

古窯の作品にも影響し「作為が見え隠れ」し始め、 

古窯の素朴な魅力が薄れてしまう、と考えるのは私だけだろうか?

 

 


 

 

 

 

  古常滑蹲うずくまる) 室町時代  古箱入り。

 

陶芸家ではなく農閑期に心豊かな人が、用の為に製作し

た、素朴で素直な小壺です、紐作りのため胎土は厚く手持ち

も重い、全体を眺めても媚が見えないのは希少で見る者を

ホッとさせる、アッピールが氾濫する世にあってこんな作品

から心のよりどころを見つけられる人間でありたいと思う。

そんな魅力をこの“常滑蹲る”は備えている、口縁三ヶ所

に古い傷あるが全然苦にならない、また日本の花なら何でも

受け入れてくれる佇まいも魅力である。

 三尺の床に収まるこ壷は花器の王様“信楽の蹲る”ですが

並べてもけっして見劣りはしない、常滑の名品図録に掲載

されても異論がない逸品の名壷です。    

  寸法: 最大径13.8cm、 H13cm   NO0345

 

 

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 古越前鳶口壺  JE0005 室町末期   桐箱

とびくち           2個の力強い窯印あり。

 

この壷の大きな魅力となっている窯印は最近の研究により、

当時の“庄や”の屋号であるらしいとの報告有り。

ねばっこい胎土で作られ、手取りはずしりと重い。

時代が下がると胎は薄くなり、重量感がなくなる。

写真を見ると大きく見えるが?実寸は床に入るサイズ。

高さ21cmしかないので、この壺の実力が窺える。

(実力とは=名品は理屈ぬきに大きく見える)

              夜具−下   H21CmNo0850

 

 

 

 

 

 古丹波壺  JE0007  南北朝時代?  桐箱

 

この壷の特徴は口造りの立ち上がり形式で首が極端に

短く指1本入るところから水平に開く口つくり、なで肩が多い

丹羽の壺が多い中、肩の張りにも特徴がある。

この形は丹波古陶館図録にも類例はなく?制作年代の決定

は私ではできない。

粘土は上質で“ねっとりした”細かな粘土で指先に吸い付く感じ

の最良の胎土と思われ時代が下がると粘土の質が落ちる傾向がある。

口に欠けが多数有るが、口縁も3ヶ所残り原型が確認できる。

サイズより大きく見える壺は名品が多く、この壺もその傾向

が強い名壺であろう、床に入る大きさでもあり大珍品。

  H25.5CmNo0950

 

 

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 常滑壺  JE0008 江戸時代       ダンボ箱

 

口が小さく花は活け易い壺、野の花を活ける花瓶として

ベストサイズなのだが、残念無念「釉はげ」が多い。

釉がしっかりしていたら華道家元に納まっていたであろう!

剥げた所の様子を観察すると素晴らしい釉薬が掛かっていた

と見てとれる、常滑は生活の息吹が感じられる素直な壷が多く

お勧めです。

この壷花をいければ釉はげは隠れて目立たなくなるのだが。

寸法:H16,Cm、口径10Cm 0033  

 

 

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 古信楽自然釉大壺 JS0011  室町〜桃山  杉箱

 

自然釉の“なだれの迫力”が素晴らしい稀に見る逸品。

釉ナダレの方向は炎の勢いどおりに下方に流れるのではなく

すべて煙突側に流れているので、作為で流したのでなく

“窯の神様”からの贈り物、自然釉である事を証明している。

私は裏面の顔のほうが、気に入っている。

その日の雰囲気・気分で、壷の両面が楽しめて嬉しい壺

初窯の作か?降り物が肩部に落ち、自然釉で固まっている、

自然界のあら荒しさが、こんな現象からも確認ができて

“天工の技と美”が楽しめる壺といえる。

無釉のところは赤色(緋色)に発色していて、よく焼き締

まっている。完品でもあり素晴らしい壺と思います。

手前味噌になるが?これだけの名壺、良くぞこんな田舎に

来てくれた。   (秋田杉の良い箱が設えられている) 

H40Cm、口径約13.3CmNo1355

 

 

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 古越前鉄漿壺 JE0012 (使用痕跡なし) 桐箱

    おはぐろ

 

お歯黒の風習は文献では平安時代に遡るが、庶民の中に

定着するのは、江戸時代とするのが妥当であろう。

このお歯黒壺は、紐作りで、もっとも古いタイプの

"素朴で作為のない" 魅力的な小壺である。

椿など野の花が活けやすい、

嬉しい事に「酒器の徳利として」ちょうど良い大きさ

1.5合入り、器ごと日本酒を冷やして、

“夏の暑い日・・・あ〜あ”

「左党垂涎の的の徳利となる。」

底径8cmH11cm(No.0855

 

 

 

 

 丹波水指 JE0022 保護箱入り 江戸時代中期

 

口きりが製作時よりされているので見立て水指である。

鉄釉?(はいだら釉)が2度掛けされている。 

黄色の自然釉(窯変)少々あり(一説には菜種油を振り掛ける)

と解説する人もいるが? わざとらしく見えない。

総釉で写真では良く見えないが釉ナダレが見られ美しい。

丹波釉の発色は花入れにした場合、器が自己主張しない

従って、花映りが非常に良い、特に照葉系の花木には

葉の緑が引き立ち、生き生きと表現できる。黒塗り蓋が付属

口径13.5cm(内11.2)高さ21.5cm 胴径20.3cm 豊、

    ベタ高台径13.7cm NO0081

 

 

 

 

 陶製鈴? JE0030 伝 愛知県水神平遺跡出土 

 

縄文時代の地層から出土した奇妙な土器の紹介です。

珍品で説明ができなく、やむなく来店するお客様に尋ねるが

コレコレと言い切れた人がいないのが現状です。

表題のように鈴ではないか?と答えた人

いや、男性のシンボルだと答えた人、ちょうど半々である。

中には縄文土器の装飾用突起物が取れた物と見た人もいる。

いずれにしても想像や思い入れをタイムスリップさせて

いただける、日本の古代の遺物で残欠作品に違いない。ガケ

4,2cm 最大幅3,5cm 径2,83,2cm  

 

 

 

 

 

 山茶碗 JE0038 平安時代   ダンボ箱

 

 程度の良い山茶碗が入荷しました。

 底は糸きり後に付け高台、産地は特定できないが、

幻の渥美か湖西窯の可能性がある、お茶碗としても使える

引っ付き取あと擦りなおし(左写真左上)上手な直し

寸法:径1314,7p 高4,25,3p  

0016

 

 

 

 

 

 武人埴輪 JE0041 古墳時代後期  桐箱入

 

古代の鐙の一種。鉄、金銅または革の短冊(たんざく)形小片を

革紐で横に連結し、これを縦に数段に綴って上半身を防護するもの。

上記の鎧「挂甲」(けいこう)盛装した男子埴輪の紹介です。

発掘の時に割れたのか約15片ほどの共継ぎがされていますが

雰囲気は画像のように非常に良好で十分古墳時代を堪能できます。

頭にはひさしのついた兜のような被りものを被っており、頚には

首飾りが懸けられています。

 小さな剣を左腰につけ薄い金属で出来た挂甲の防具を着ています

腰から下は欠損していて現存していません。

この埴輪の接着は素人の治しですが違和感はありません

東博にこの形式の国宝 武人埴輪が収蔵されています。 貴重品。

寸法:高25,5cm 最大幅12,5cm 奥行10,5cm

伝、山梨市出土 豊下  NO0154

 

 

 

 

 

 形象動物埴輪 猪 JE0043 古墳時代 紙箱

 

 群馬県太田呑竜“天神山古墳”出土と伝えられる、形象

埴輪の一部“イノシシの頭部” の紹介です。

出土地は国の史跡に指定され、全長210b西暦5世紀中〜

後期の遺物であると推定され、古事記や日本書記にも登場す

る大豪族の墓であろうと有力視されている有名な古墳です。

古墳の規模は東日本で最大規模の古墳で、国の史跡に指定

され大切に保存されています。

提示の作品は狩猟の情景を表現した動物埴輪と考えられ

当時の生活環境を知る上で貴重な埴輪で右耳はピンと上を向

き、左耳はチョッと下向きに造形され目の位置も対称では

なく、製作者のセンスは抜群!芸術の域まで達した非凡な作

です、頭部だけとはいえ博物館クラスの貴重品です。

寸法:左右最大27,8cm 総高15,7cm    NO0154

胴径11,5cm  陳列用の黒塗り台座が設えています。

 

 

 

 

 

 

 土師器小碗 JE0045  古墳時代

 

 土師器は、弥生式土器と同じ系統の土器で、古墳時代から

このように呼ばれます。

胎が薄くなって煮炊きに便利になっている外、低速ロクロが

使用され年代によって庄内式土器、布留式土器と区別されます。

須恵器と平行して平安時代あたりまで使われています。

フォルムが素晴らしく本当の色は上画像のほうが近い、ほとん

ど無傷で高台には指跡が残る、水で濡らすと古代の匂いがする。

落としを入れ、散歩で手折った野の花がなんでも映ります。

 寸法:口径7cm 高4,64,9p 高台径3,4cm NO0009

 

 

 

 

 

 新羅土器  JE0047  新羅時代  古杉箱 G,

 

 現代アートに通じるフォルムそしてワンポイントで肩部に鋲の

ような耳が付く、なんとも小粋な新羅土器の紹介です。

 胴の丸いパイプ状の部分は空洞になっていて液体が収蔵でき、

もとは祭祀用の酒器と考えるのが妥当か?

 

 下画像のように裏面の一箇所に引っ付きあと、左上部に地模様

の渦文が胴部の裏表全面に印刻されている。

 

 残念ながら窯割れが走りこのままでは水が漏れてしまう、また

左上画像では斜めに写っているが直立する、自然釉が掛り魅力

がある佳品で花活けとして使用すれば斬新である。 

 寸法: 全高14,5cm 胴巾18,5cm 口外径7cm NO0089

 

 

 

 

 

 

 猿投平瓶 JE0050  平安前期  桐保護箱

                    

1965(昭和40) 猿投出土とある平安前期に相当すると

推定される平瓶(へいへい)の紹介です。

緑の自然釉、窯の天井の降り物、画像の口部右側に発掘時の

傷跡(修復済み)が時代の星霜を物語り、人気の高い「猿投製品」

とあいまって古窯フアンの人気アイテムです。

底部を見るとスイ簸された上質の粘土が良く焼き締まり、まろ

やかな優美な器形!と自然釉のコラボが侘び寂を尊ぶ茶人達の

見立て花器としての魅力を不動の物としています。  

注意:太陽光線で緑の自然釉が映っていません、悪しからず!

寸法:左右 約17cm 最大高14,3cm 奥行15,7cm

 

 

 

 

 

 

 にぬり

 丹塗山茶碗 JE0056 平安?  紙の保護箱

 

 なんとも説明が困難な須恵器の山茶碗形式の碗に人為的に

ベンガラの装飾が認められる茶碗の紹介です。

 口縁に2箇所8〜10_程度の当り傷があるほかはほぼ完器

普通の山茶碗に比べやや器胎が厚い高台は糸きり後の付高台

 須恵器には強いはずの私がお手上げの珍品といえる。李棚下

寸法:口径15cm() 高台径6cm() 高55,7cm  0011

 

 

 

 

 

 

 渥美経塚壷  藤原時代 蔵番0016 杉箱 

 

 もとは自然釉がたっぷり掛かっていたようだが、土中の条件が

厳しい状況下であったのか大量に釉ハゲが起きている残念物!

高台は窯割れがあり63×3,5cm自然釉の流下が固まって5_程の

厚さに凝固し、壷が直立できずに不安定になっている。 直しあり。

それでも「幻の渥美窯」の経塚壷だ、平安末期の匂いが漂うから

希少価値がある、愛蔵したいマニアは多くいる。  窯印あり。Fに

寸法:高2425cm 口外径13,4cm 高台径10p   NO0343

 

 

 

 

 ハジキ     

土師器短頚壷   JE001 奈良〜平安時代 木箱なし

 

土師器は弥生土器の流れを汲み、古墳時代〜奈良・平安時代まで

特定の場所で繰り返し窯ではなく、覆い焼きで行われるようになり

ます、この器は華道師範の持ち物で竹製オトシが設えられている。

質素な花活けならば日本のどんな花でも受け入れてくれるので

生活の中に潤いを求め、花を招き入れる人にとってはありがたい存在

です、なお絶対数が少なく傷の少ない壷ですのでお勧めです。

寸法:口径9,2cm 高さ16cm   3尺の床にはいるサイズ

 

 

 

 

 

須恵器はそう  JE002 奈良〜平安時代 木箱なし

 

上部から液体を入れ、胴部の穴に竹の節を除いたストロー状の

ものを差して酒類を注ぐというもので、宗教上の祭祀(お祭り)

の時などに使われたと考えられている容器です。

これだけ縦長のタイプと上部の継ぎ口がラッパのように開いて

いない形は数が少なく、専門家であれば時代や産地がすぐに解ると

思います、手に入れた人の楽しみにしましょう!傷も少ないほうで

石爆ぜもあり、なかなかの珍品ですよ。   

寸法:胴最大径約12,5cm 高さ約29,5cm 口径3,8cm

 

 

 

屋内, 座る, テーブル, カップ が含まれている画像

自動的に生成された説明

 

 

弥生土器高坏 JE003 伝山梨県出土  弥生時代  紙箱

 

“たかつき”とは「神仏に捧げる法具」として利用された器で

捧げる意味合いからも一段と高い場所にお供えをする為の土器

法具です。 (畳付部分に35a小欠け2の欠損が有ります)

弥生の器は数も少なく、シャ−プな器形が特徴で人間に譬える

と切れ者の雰囲気が伝わります、提示の器をさかさまに置くと

高台から深皿の付け根付近の製造技に力があり、逆さまに置

いて鑑賞する事をお勧めします、日本人の切れ者の原点が見て

取れます、素晴らしい魅力が伝わります。  (No.0089

寸法:口径19p 高台径15.5p 高さ1617p

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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