「二十歳の原点」(昭和44年)
高野悦子「二十歳の原点」案内
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取材ノート・かるちえ
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朗読「二十歳の原点」
高野悦子「二十歳の原点」を朗読するイベントが、東京で行われた。本ホームページ編集人は2013年6月2日(日)に開かれたイベントを取材した。
この日の会場は東京・阿佐ヶ谷の「ヴィオロン」。JR中央線・阿佐ヶ谷駅北口から西に伸びる商店街・スターロードを抜けた所にある“名曲喫茶”である。
名曲喫茶とは主にクラシック音楽を聞く喫茶店で、この「ヴィオロン」もウィーンのコンサートホールを模した造作になっている。
落ち着いた照明の下、周囲に蓄音機や骨とう品のようなものが並べられ、レトロな雰囲気になっている。
ここが会場になっている理由の一つに「二十歳の原点」に登場する喫茶店「シアンクレール」に似た雰囲気があるからだという。
イベントのタイトルはそのまま、朗読「二十歳の原点」。
この日の入場料は1,000円で、コーヒー(ホット・アイス)かオレンジジュースが付く。
朗読は春日玲さん。主催として受付役も兼ねる。
「学生時代に所属していた朗読のグループで『二十歳の原点』を題材にした脚本に出会ったのがきっかけで、十年近く前から取り組んでいます」。春日さんは言う。
午後7時に30人近くの客が集まっていた。テーブル席はいち早く埋まり、丸イスも出ての満席状態。予約をした方が無難だったかもしれない。
客層は20代から団塊世代の60代まで幅広く、女性の方が多い。
午後7時20分開演。春日さんがスポットライトを受けたステージのような位置に立つ。
まず不二家の「ペコちゃん」に似ていることにちなんで、客にミルキーがふるまわれる。
効果音とともに朗読の部が始まる。マイクは使わない。
脚本も春日さんが書いているが、毎年、「二十歳の原点」“三部作”を読みなおして考え、悩み、苦闘しながら新しい脚本を仕上げるそうだ。
女性的な視点から日記の中の“高野家の二女”と“20歳の女”の内面のギャップを見ていくような構成に感じられた。
朗読の部そのものは1時間ほどで終了。帰り際には春日さんやスタッフと客の間で感想や「二十歳の原点」をめぐった会話が続く。毎回来る人もいるという。
演じ手と客の距離は近い。しかし初めてでも何の違和感もない。
全体として手作り感のあるイベントという印象だ。
2014年6月6日(金)に高円寺・アール座読書館で開かれた際、春日さんとスタッフを撮影した。
この日は雨だったが、満席状態だった。
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