鉱物と結晶を楽しむ科学教室
      (現在は終了しています)

 鉱物と結晶を楽しむ科学教室は2012年2月から,2016年11月まで,58回にわたって開催
されました

 毎回の参加者は平均で10名ほどでしたが,多いときは18人の大盛況で,鉱物と結晶に
ついての,科学的な勉強会となりました.
 最初は中学生や,ときには小学生の参加もありましたが,結晶形態学の歴史や,現在
では,忘れ去られた結晶形態学の話が進むにつれ,大人の参加が増え,内容的には少し
難しい話になりました.

 講師を務めた館長(高田雅介)の立場からすると,非常に有意義な教室でした.
 私が35歳頃に書いた「やさしい結晶学・結晶の形態」という本をテキストにして,1800年頃
から発展した「結晶形態学」を歴史的に振り返りながら,ブラベー格子や点群などの難しい
話にも触れて,みんなで勉強しました.
 30年ほど前に作った本なので,現在では使われていない表現や,内容もあり,整理をする
のには非常にありがたい学習会でした.

 私の専門は結晶形態学という分野で,結晶形態は「結晶図」というものに集約されます.
この,結晶図を描くことは,現在ではパソコンで簡単にできるようになりましたが,かつては
すべて手描きされていました.
 ただ,今でも,結晶の形態を測定する「測角」という作業は技術的に難しく,忘れ去られた
科学の分野の1つです.そのため,実際の鉱物の結晶を,結晶図にするには,測角という
最初のステップが難しく,パソコンで結晶図が描けるようになった今日でも,実物の結晶を
結晶図に表すことは簡単ではありません.

 この測角や手描きの結晶図作成の技術は,1965年頃,高校生のとき益富壽之助先生
から手ほどきを受けて習得し,その後は製図器を使って作図していました.
 パソコンのない時代には大変な作業で,一つの結晶形態を調べて,結晶図にするのに,
半年くらいかかったこともありました.

 残念ながら,手描きの結晶図が描ける段階にまで,参加者の皆さんに技術的な面をお話
し伝えることはできませんでしたが,実際に手描きの結晶図を描くことを皆さんの前で行い
皆さんには,結晶図がどのようなものかを知っていただくきっかけになったのでは,と思っ
ています.

 科学教室では,何回か野外へ採集会にも出かけました.田上,比良,では,トパーズを
採集したり,フェルグソン石やガドリン石などを採集しました.

戻る