私たちの近くに住んでくれると、ずっと願っていたのに、東京に嫁いでしまった。
いつか私たちの近くに帰ってきてくれるかもしれないと、
雀の涙ほどの期待を抱いて東京に嫁がせた。
「結婚しても しばらく働いたら。」という彼の一言で、
結婚式の3日前から働き出した。
職場まで1時間30分。
大学時代を東京で過ごした娘にとって、慣れ親しんだ東京だったはずだが、
やっぱりストレスがたまるらしい。
あれほどダイエットに 気をもんでいた娘が あっという間に10キロ近くやせた。
「たよれるのは、彼だけよ。」そう言い聞かせて嫁がせた娘から、電話があった。
「彼の帰宅が夜中の3時。夕食の用意が無駄になった。」
「入籍もまだ。」「彼のお母様に挨拶も行ってないよ。」と、話す。
ついでに、「新婚旅行もまだ。生活費もまだ決めてないよ。」等々。 ああ。大変だ。
私が、娘の一言一言に心配すると、
「そんな大げさな事じゃないのよ。」そう言って電話で慰めてくれる。
そして、土曜日。
「彼も家事を一杯手伝ってくれるのよ。」と、娘の明るい声が返ってきた。
良かった、幸せなんだ。
どうぞ娘をよろしくお願いします。
ほんとに、我儘だけど、心優しい娘のはずだから。