北岳(白峰三山)
コース 広河原〜八本歯コース〜北岳〜中岳〜農鳥岳〜
大門沢〜奈良田
日時 平成3年8月17日〜8月21日
第1日目(8月17日) 晴 広河原山荘まで
久々に気持ちよく晴れ上がる。7:40出発.。
甲府からバスで広河原まで入る。
今日の宿広河原山荘はバス停から10分ほどのつり橋を渡った
林の中にある。バスの乗り継ぎも順調で12:30山荘着。
手続きを済ませ荷物を片付け、
小屋前のベンチでコーヒータイム。
観光客やテント泊・山から下りてくる人・明日登る人で賑やかである。
私達も明日を楽しみに北岳を眺めたり、白旗写真館を覗いたりする。
夕食は焼肉や天麩羅その上グラスワインまで付き最高である。
小屋番からコースの説明等ありなかなかサービスが
行き届いている。寝室は定員40名だが一畳が確保され快適である。
5:30には夕食も終わり明日の登山に備えごろごろしている。
第2日目(8月18日) 晴 北岳山荘まで
4:00起床。一番に朝食を取り体を動かしながら。5:05出発。
すぐ道が二手に分かれる。左のおお樺沢コースを進む。
ガラ場を二つ横切って雪渓に出る。あまり雪はなし。
バットレスを見ながら 8:55二股着。大勢休んでいる。
そのまま進みいよいよ八本歯の登りにかかる。丸太の梯子が続き
手ごわい。かなり腕力がいる。
疲れて杜を放したくなる頃ひょっこり3100mの
吊り尾根分岐に着く。1:00着。草すべりもそうだったがここも花が
いっぱいで疲れが癒される。一休みしザックを置いて
北岳山頂を目指す。ひと登りで山頂に出る。
天気もよく大勢で賑やか。360度の眺めに感激!
中白峰から間の岳農鳥岳の大きいのに圧倒される。
そして右手の仙丈の大きくて美しい山容にまたまた感激!!
心残りだが下に見える北岳山荘目指して一気に下る。3:10山荘着。
聞きしに勝る混雑で宿泊手続きにかなり時間がかかった。
運が良いのか悪いのか入り口のところで、人の出入りの度に
足を縮めたり体を避けたりしなければならない。
第3日目(8月19日) 曇 農鳥小屋まで
昨夜は晴れていて松本市内の明かりなど良く見えた。
今朝も4:00ごろまでは富士山が見えたり空も焼けたり
きれいだったが、すぐ曇ってきて風も強くなる。
6:00霧の中を出発。台風が来ているらしい。
風がますます強くなる。カッパを着る。
ザックカバーのゴムが切れてしまう。飛ばされないように
細いロープで縛って歩く。中白峰まで来ると、
私達より少し若いご夫婦が「台風がきているから一気に大門沢を
下りましょう」と誘ってくださるが、着いて行けそうもないので
先に行って貰う。9:30農鳥小屋着。無理をせず停滞することにする。
ザックカバーの修理をしたり、小屋にある本を読んだりして過ごす。
停滞組が集まってくる。
時々雲が切れ薄日が差したりするが風が強い。
第4日目(8月20日) 雨 奈良田まで
昨夜から風雨強い。
小屋番に止められ皆気をもみながら出発を待っている。
6時になるとおじさんが1時間で大門沢下降点につくから
其処まで一緒に行くようにと注意が出る。
そこからは樹林の中だから風雨は少し凌げる。といわれる。
昨夜は14名宿泊していた。4名が広河原に戻っていった。
若い人たち5名がグループで出発。少し送れ残り5名が出発。
年配の方が一緒に行きましょうと声を掛けてくださる。
丁度良いペースで、大門沢下降点までくる。8:10着。
稜線は相変わらず風雨強く飛ばされそうだった。
雨の中だが一息入れる。
分岐から覗くとかなり急な下りが続いている。
下りの苦手な私はお礼を言って先に行ってもらう。
どこまでもどこまでも急な下りが続き膝が痛くなる。
いくらか雨風が弱くなる。先導してくださった方は傘をさして
余裕の歩きである。ハイ松帯を抜け右の涸沢へ。
ようやく流れのほとりに出る。雨も小降りになってきたので少し休む。
女子大生のグループがお先にと通っていく。大きなザックで中には
参っている人もいる。流れを二三回丸太の一本橋を渡る。
最後の丸太橋に着くと先行の女子大生のグループが
渡るところなので待っていると、最後の一人が転落。
ザックが重く立ち上がれない。
幸い大したことなく皆で引き上げる。膝とおでこを打ったようで、
おでこのオブが晴れてくる。カッパのズボンが避ける。
リーダーが怪我の処置をし荷物を分散すると言って
てきぱきやっているので、私達は取り合えず小屋を目指す。
樹林の中を右に回りこみ30分ほどで大門沢小屋に着く。
10:55着。
小屋前にシートで屋根を作り小野番のおじさんが出迎えてくれる。
女子パーテーが沢に落ちた話をすると「大丈夫ななー」と心配し、
弁当のすんだ若い二人の男性と一緒に見に行ってくれる。
私達も昼食を始めたが、
夫は落ち着かずそこそこに自分も行ってくる。
と出かける。間もなく無事皆帰ってくる。リーダーは皆を休ませ、
一人一人にお礼を言って歩いていた。雨がひどくなる。
小屋のおじさんが、「この降りだと二三日停滞になるかも
知れないから出来るだけ下りた方が良い。
無線で奈良田に連絡しておくから」と言う。
11:15出発することにする。
女子大生達は疲れがひどいので停滞との事。
雨は益々ひどくなる。未だ時間は早いのに暗くなり、
先に下りて行った二人の影が時折見えるのみ。心細くなる。
樹林帯の急な下りをひたすら歩き沢を渡ったり
長いつり橋を何回か渡り、疲れて
言葉も出なくなった頃ようやく林道に出る。ほっとする。
間もなくアルプス荘の車が待っていてくれて、宿まで乗せてもらう。
3:15アルプス荘着。取り合えずお風呂に入り、
濡れた衣類を着替える。
カッパも何もかもびっしょりで室内に下げても水が滴り、女中さんに
「困る」と苦情を言われる。5:00頃町のしいたけの乾燥機を動かして
くれるので、カッパや靴を乾かすようにと言われ宿泊者全員の
カッパや衣類靴など持って行ってくれる。とても助かる。
雨益々強く、宿の前の野呂川が溢れそうである。消防の注意が
何回も流れる。それでも暖かい夕飯が用意されうれしい。
明日はバスは出ないと思うがと聞きに来る。
登山客7名でマイクロタクシー予約。大変な1日だった。
第5日目(8月21日) 雨後晴れ 帰宅
予定のタクシーに乗り身延駅に向かう。雨も止み晴れてくる。
道路沿いの野呂川は今にも溢れそうだし、
途中何箇所も鉄砲水があり怖い思いをするが無事身延駅に着く。
すっかり天気になる。台風の影響で電車運休。
暫く待ってjると甲府行が出るとアナンスあり乗り込む。
甲府に着くと今度は中央線が運休。
久しぶり山梨美術館を鑑賞し時間をつぶし駅に戻ると
電車も開通していた。
北岳までは最高だったがその後怖い思いをしたが、
良い経験が出来た。
食事時「大門沢の下りは地獄に下りて行くようだった」と云っていたが
正にそんな感じだった。
又いつか晴れた日に歩いてみたい。