裏銀座薬師岳コース
日時 1994年7月23日〜7月29日
コース 折立〜太郎平〜薬師岳〜薬師沢小屋〜高天原〜雲の平〜
三俣蓮華岳〜双六岳〜樅沢〜西鎌尾根〜槍ヶ岳〜上高地
第1日・7月22日 寝台特急で富山へ
第2日・7月23日 晴れ 太郎平小屋まで
富山駅前から折立行きのバスに乗る。
夜行バスで来たTさんと1年ぶりの再会。
相変わらずスマートでお元気な様子。バスの中で話が弾む。
8:30折立着。準備を整え9:00出発。到底Tさんと一緒には歩けないので、
それぞれのペースで歩き始める。
1871mの三角点までは樹林帯の急登で かなり応える。
少し緩やかになり白樺が現れると、ようやく三角点着。10:30
前方に大きな薬師岳が聳え、草原と地塘が広がる。
左手に立山や剣岳が見えてくると
樹林」が低くなり薬師岳が一段と大きくなる。
やがて高原状の稜線に太郎平小屋が見えてくる。
大きくどっしりした薬師とその下の草原と地塘、そしてチングルマや
十文字草などに感激。天上の美しさに見とれる。!!
1:40着早速宿泊手続き。都合よくTさんと相部屋になる。
小屋前のテラスで再開を祝して乾杯。近況報告。
山の話を聞かせていただく。Tさんは私たちの息子位の年齢。女性。
大学時代から山をやっているベテラン。
単独行が多い。ほっそりと小柄な彼女にアルプスの山を、
4日も5日も一人で歩く強さがどこにあるのか?・・・
外観からは想像もつかない。
全行程ご一緒することは到底出来ないが、どこかでお会いし山の話や、
装備や歩き方など、色々教えていただくことになっていった。
第3日・7月24日 晴れ 薬師岳〜薬師沢小屋まで
雲の平にいくTさんを見送り、5:45薬師岳にむかう。
花の多い草原の中を歩きキャンプ場に着く。冷たい水が豊富で喉を潤し
水筒に入れる。キャンプ場を過ぎると沢沿いの急な登りとなる。
ガレ場を登ると薬師岳山荘前に出る。7:20休憩
山荘前から厳しくガレていて、登りにくいが短いので助かる。8:30山頂着。
晴天に恵まれ360度の雄大な眺めに感激。
山頂は周囲を石積みにした立派な社 があり、
薬師如来・山の神・宝蔵が奉られている。信仰の山であることを実感
する。9:00往路を下山する。
前方に黒部五郎や雲の平を眺めながら楽しい下り。
11:00太郎平に着き昼食をとる。11:45薬師沢に向かう。
小屋の横から指導標に従い薬師沢に向かいどんどん下っていく。
きつい下りを小さな沢を渡り丸太橋を渡り暫く行くと
明るい熊笹のカベッケが原に着く。
ここを横切り暫く行くと今夜の宿薬師沢小屋に到着。
2:30着。薬師岳を登ってきたので疲れた。
小屋の下を流れる黒部川源流の水音を聞きながら昼寝。
第4日・7月25日 晴れ 高天原山荘まで
6:00出発。いよいよ黒部の源流を歩くので緊張する。
小屋前のつり橋を渡り鉄梯子で河原に下りる。
九州からのご夫婦と道ずれになる。
ご主人は救助隊員で今膝を痛め休んでいるとの事。
何回か来たことがあると言うことでコースに詳しい。
頼もしい方にサポートしていただき、河原歩きや大岩の高巻きもロープに
助けられ、ご主人の適切なアドバイスで無事越えることが出来た。
今年は雨が少ないようで高巻きが少なく助かった。
瀞がとてもきれいでさすがに黒部最奥を実感する。B沢出会いで
ゆっくり休憩。救助隊員の苦労話など伺う。
危険な箇所の通過は終わったとの事なので、
お礼を言って一足先に出発。
B沢からは急登の連続で岩や木の根に捕まりながら、
緊張して登る。10:45ようやく高天原峠に着く。
暑い上急騰でかなり消耗する。
ここは樹林の中で陽射しは避けられるが、大きな蚊が多く閉口する。
九州のご夫婦が雲の平に行くと言って通過していく。
私たちは一気にお花畑の中を下り12:00高天原山荘に着く。広々した
草原の中で正に天上の楽園である。
宿泊手続きを済ませ楽しみな温泉を横目に、夢の原の竜晶池を見に行く。
静まり返った草原の奥に大きな薬師岳を写し神秘的で
荘厳な美しさに声も出ない。
思い直しカメラを向けるがスケールが大きすぎ私のカメラには収まらない。
残念。暫く眺めいよいよ楽しみな温泉まで戻る。
温泉沢を流れてくるお湯を貯めただけの正に野天風呂である。
さすがに女性用はよしづで囲ってある。ただ浸かるだけだが疲れと汗に
まみれた体には最高である。出てからのビールも最高!!
温泉の流れの隣には冷たい水の流れがあり、小屋で買ってきたビールを
その流れで冷やしながら温泉に入り、
湯上りに飲むのは山奥ならではの楽しみである。
15分ほどで小屋に帰る。今日も超満員。
夕食は手作りの冷奴やそうめん等喉越しのよいものがあり、
疲れて食欲がなくなってきた所なのでとてもうれしい。
又明日からのロングコースを歩く元気が出てきた。
ご馳走様!!おやすみなさい
第5日・7月26日 晴れ 三俣山荘まで
朝食が2回目だったので出発が少し遅く、6:15になる。お花畑を突っ切り
昨日下った道を登り返す。温泉にも入ったので足も軽く、
薬師を眺めながら快調に飛ばし、
7:30高天原峠に着く。左に折れ雲の平に向かう。
道は厳しくなり木の根や岩につかまりながら歩く。
この辺りはスイス庭園といわれる所らしい。
薬師岳・赤牛岳・水晶岳と岩と地塘とが
とても美しい。
9:00コロナ観測所を過ぎ沢を渡ると
今度は三俣蓮華・黒部五郎岳・祖父岳が見え疲れを忘れさせてくれる。
間もなく雲の平山荘である。9:40着。
周囲は岩と地塘と高山植物の花が咲きとても美しい。
全く下界を忘れる至福の時である。ゆっくり休憩。今年は水が少なく
花も少ないとのことである。10:30祖父岳山頂への道を見送り、
のんびり日本庭園に入る。
ここはチングルマの花が多く、黒部五郎をバックにロケーションが良い。
飽きる事がない。 いよいよ黒部源流への急下降である。
眼下に源流の流れ、
目を上げると槍ヶ岳が美しい。が景色を眺めるのは立ち止った時だけで、
緊張し足元を見ながら、ざれた道をひたすらヂグザクに下る。
12:55ようやく源流に下りる、冷たい水で顔を洗ったり大休止。
対岸に渡ると九州からのご夫婦が休んでいる。
黒部五郎を廻り太郎平に戻るとの事、
別れを告げ一登りで三俣山荘に到着。2:00着
鷲羽・槍・双六・薬師・祖父・水晶に囲まれここまで来た甲斐がある。
生ビールで乾杯。
第6日・7月27日 曇り 双六小屋まで
今日はショートコースなのでゆっくり出発。
この天気では視界はないだろうと思いながらも、稜線コースを取ってしまう。
7:00三俣の山頂に着くが何も見えない。
黒部五郎から来た人がガスの中から
ひょっこり現れる。そんな中でも記念写真を撮り双六に向かう。
足元にはなでしこやハハコグサなど花が咲いている。
今回も野球場からの槍は眺められなかった。残念。雪もなくザレた道を
慎重に下り、中道の分岐に着く。ガスが薄くなり形の良い笠が岳が見えてくる。
ハイ松の道を下ると双六小屋に着く。ゆったりした居心地のよい小屋である。
1:30部屋も決まり、荷物の整理をしていると雨が降り出す。良い休養になる。
第7日・7月28日 快晴 殺生ヒュッテまで
6:15出発。出発が少し遅くなってしまったが、素晴らしい天気で気持ちも軽い。
樅沢の登りは下から見るほどではなく、7:15山頂に着く。
360度の眺めが広がり今回歩いてきた道が指呼出来る。
改めて鷲羽の大きさに感心し、正に黒い水晶を眺める。
目を転ずると弓折から笠に続く稜線が昨年の山行を思い出させてくれる。
山頂を過ぎ下りになると硫黄の匂いが漂い始める。ピークを二つほど巻き、
9:30乗越に着く。何人か休んでいる。花がきれいである。
さすがに登山客も少なく 何もかも独占できるコースだ。
いよいよ西鎌の登りが始まる。急峻な岩稜が続く。
左手に切れ落ちた千丈沢を見ながら慎重に進む。
千丈沢乗越に出ると右手に新穂高からの道がお花畑の中に続いている。
頭上には槍の穂先が覆いかぶさるようだ。
ザレた登りが続き四五歩歩いては息を入れる始末である。落石に注意しながら
ゆっくり登る。それにしてもきつい。
何回かヂグザクを繰り返しようやく子槍を従えた
槍が岳が頭上に聳え立つ。うれしいのだが全く足が進まない。11:30肩に出る。
昼食休憩。あまりの晴天なので久しぶり穂先に登る事にする。
大勢の登頂者で梯子も鎖も順番待ちである。360度の眺めに再度感激!!
やはり晴天が何よりである。往復2;00かかって下りてくると、
小屋前のテラスは大勢の人で賑わっている。宿泊も混みそうである。
まだ時間があるので少し下り殺生ヒュッテに泊まることにする。
空いていて良かった。
第8日・7月29日 晴れ 下山
6:00出発。槍沢ロッジから横尾と順調に歩き徳沢に11:30着く。昼食
明神館まで来ると今回の山行も終わりと思い、どっと疲れが出る。
休んでいると、途中で別れたTさんに声を掛けられびっくりする。
彼女は昨日上高地で一泊したと さっぱりしている。
足の遅い私たちをそれとなく気遣い待っていてくださった様子。感謝感謝!
又の再会を約しお別れする。
今回ガスの多い日もあったが雨にも会わず怪我することもなく、
無事ロングコースを達成でき本当に良かった。
何時ものように浅間温泉に一泊。
第9日・7月30日 晴れ 帰宅