富山地方鉄道稲荷町テクニカルセンター 2016年8月9日(火)
富山駅…電鉄富山駅・ロッカー使用―(富山地鉄)―稲荷町駅・稲荷町テクニカルセンター・取材
北陸新幹線「つるぎ」に乗り富山駅に着くと、すぐに電鉄富山駅へ行き、部員たちの荷物をロッカーに入れ、富山地鉄1日乗車券を買いました。
今日の午後は、富山地方鉄道の稲荷町テクニカルセンターを取材しました。富山地方鉄道軌道線、市内線の各車両の検査を行っている車両工場です。稲荷町テクニカルセンターでは、電車の検査の流れについて学びました。
最初に、10025-10026車両の検査を見学しました。10020形電車は、1961年に富山地方鉄道に導入されました。
現在運用中の第3編成(モハ10025-10026)は旧塗色である富山の県鳥である雷鳥をイメージした、クリームとグレーのベースに、ワインレッドのラインが入ったデザインになっています。なお、第1・第2編成(モハ10021-10022・10023-10024)は10030形と同じく、黄色と緑色のツートンに変更されました。
75kwの主電動機を各車に搭載した、日本車輌製造製の18m2扉車です。中空軸平行カルダン駆動、抵抗制御です。富山地方鉄道で初めて、ユニット方式を採用した形式です。
車両用抵抗器です。 電気機関車や電車の直流モーターの電流を調節するために、抵抗器を使って制御をします。また発電ブレーキで発生した電力を熱として捨てるためにも抵抗器が使われます。
制御装置を駆動する電源や冷房装置や室内灯などのサービス電源装置として広く使用されており、現役の装置も少なくない。
車軸を車輪に圧入するための車軸保持装置です。車軸保持装置が移動して車軸の先端部が車輪の内側をくぐります。
富山地方鉄道7000形電車の検査です。富山地方鉄道の市内軌道線で使用される路面電車車両です。
駆動方式は吊掛式で、間接非自動制御方式の抵抗制御です。車輪は、タイヤ部分が焼嵌め式になっています。タイヤを高温で膨張させ、車輪にはめます。
クハ175形電車の車内や運転室を見学しました。クハ175形は、1981年に製造された片運転台制御車です。車体は当時増備されていた14760形と同一の構造ですが、はじめから増結車として製造されたので、運転台のない側の妻面が連続窓風の2枚窓の非貫通な構造となっています。
増結用車両としては、初めての冷房車で、床下には電動発電機を搭載し、非冷房車の増結に運用された場合でも冷房が使用可能です。クハ173形と同じく、1995年に形式が分割・変更されてクハ175形となりました。
電車の警笛を鳴らすペダルが運転室の足元にあったので、部員たちはうっかりペダルを踏んで警笛を鳴らしちゃいました。マイクも持って、車内放送も体験しました。「区間急行橋本行き、停車駅は、初台、幡ヶ谷、笹塚、明大前…」結構上手かったです。
クハ175に2両連結され、車体の洗浄が行われました。私たちは、車内から自動洗浄装置での車体洗浄を見学しました。
次にデキ12021を見学しました。デキ12021は、1958年に東芝で1両製造された、自重30tの電気機関車です。黒部川第四発電所の建設に必要な資材を輸送するため製造されました。当初の所有者は関西電力であったので、関西電力と富山地方鉄道の社紋が取り付けられていました。発電所の建設工事が終了した後、正式に富山地方鉄道の所有となりました。
車体は凸形です。運転席の窓部の傾斜、ボンネット中央の突起など曲線を多く取り入れたデザインです。塗色は薄いオレンジとグレーのツートンカラーであり、富山地方鉄道の他の電気機関車とは異なります。旧塗装に戻そうとしたのですが、資料がなく、おおよその見当で現在の塗色としました。
90kWの電動機が4台装備され、電磁空気単位スイッチ式の制御方式が採用されています。台車はTT−で、軸箱をミンデンドイツ式のような板バネで支持する構造。軸箱上部のバネは斜めに配されていています。軸箱に記された記号が、験を担いで赤字から青地に変更されています。
デキ12021は、貨物列車の廃止後、ホキ連結してバラストをまく保線用途などに使用されています。通常は稲荷町テクニカルセンターに留置されています。
そこへ、ダブルデッカーエキスプレスが入庫しました。最後にダブルデッカーエキスプレスを撮影しました。
1990〜1993年にかけて、富山地方鉄道では、京阪電気鉄道の3000系特急車を導入しています。富山地方鉄道へ譲渡された車両は、主電動機出力を基準とする富山地鉄の形式命名規則により10030形という形式になりました。しばらくは京阪時代の塗装で使用され、テレビも当時の新品に換装の上で残され、特急運転時に富山の観光ビデオ放送などに活用されました。
当時、富山地方鉄道は、自社の旧型車に置き換えるために、冷房装置の付いた中古車を探していました。当初は同時期に廃車が進んでいた阪急電鉄の2800系の車体を購入し、これを2扉クロスシート車に復元することを計画していました。ところが、車体は調達できても座席が調達できず、各所で座席を探していた時に、京阪電気鉄道3000系の座席が見つかりました。そして、3扉化された阪急2800系を2扉車へ復元するには、車体の痛みが激しかったことと、現役の2扉クロスシート車であり、かつ年式もより新しく状態の良い京阪電気鉄道3000系の車体をそのまま譲受した方が改造の手間が少なくなるため、阪急2800系の車体を譲受するという当初の計画が中止されました。1990年8月20日付で除籍された京阪電気鉄道3001Fのうち3001と3501の2両がトレーラーによる陸送で譲渡されました。
3000系のトップナンバーであるこれらの2両は、それでも当時の富山地方鉄道在籍車の大半より車齢が若く、10030形第1編成として竣工後、実際に社内を確認した富山地鉄首脳陣が、その車内設備の良さを重視し、すぐに追加譲渡が決定したそうです。
その後16両となった10030系が同社オリジナルの黄色と緑の塗装に変更され、テレビも撤去され、以後は原則的にこの塗装で運用されていました。またワンマン改造もされ、日本製鋼所製NCB-II密着自動連結器から柴田式密着連結器への再交換やスカートの取り外しも行われました。
台車や主電動機は、京阪3000系と同様構造の狭軌用ダイレクトマウント台車を採用していた帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)3000系の住友金属工業FS-336を備え付けました。その後、乗り心地改善のため、営団3000系発生品ながらSUミンデン式の住友金属工業FS-510へ変更されました。
1996年に第5編成(モハ10039・モハ10040)に対してJRの485系特急電車の廃車発生品であるインダイレクトマウント式のDT32Eに交換され、これに伴い主電動機も定格出力75kWの三菱電機MB-3054から120kWのMT54となって出力が高められ1999年までに第6・7・8編成が、2012年には第2編成と第3編成に対しても同様の改造を実施し現在は8編成中6編成の出力が高められました。また、2012年の改造では廃車となった西日本旅客鉄道(JR西日本)金沢総合車両所に所属していた419系から発生したDT32K型台車も導入されました。
また、ブレーキは既存車との混結などを考慮し、京阪時代の電気指令式ブレーキから電磁直通ブレーキに変更され、運転台も大きく手が加えられました。なお、側面に設置されていた種別表示器は当初、富山地鉄仕様の種別・方向幕が装備されていたが、その後、全般検査の際に塞がれ、車内の補助席も常時使用停止となりました。座席シートについては、経年劣化が進んだことから順次、モケットの張替えなどが実施されています。
地元では緑色と山吹色の車両塗装から「かぼちゃ電車」と呼ばれています。2012年4月、第2編成に対して京阪時代の塗装に再度変更されました。連結面の貫通扉上には液晶テレビが設置され、8月17日よりNHKの番組の放映を開始しました。
2013年、京阪電鉄からダブルデッカー車両の8831号車が富山地鉄に譲渡されました。富山地方鉄道では2015年春の北陸新幹線金沢開業に備え、新たな観光列車として2階建て車両の導入を検討していました。取材によると、京阪電気鉄道と富山地方鉄道の車両担当が懇意にしていたことがきっかけだそうです。3000系(8000系30番台)の同社への譲渡は1993年以来20年ぶりで、中間車の譲渡は初めてです。台車は419系から発生したTR69型に交換され、形式名も「サハ31」に変更されました。外観は京阪時代のままで、側面の時代祭絵巻のイラストも撤去されませんでした。
ただし、行先表示器は使用されず、「2号車」のステッカーを窓ガラスの内側から貼り、号車札の代わりとして再利用されています。内装の改修では、整理券発行機と運賃表示機が取り付けられました。京阪時代の塗装に復元した編成に組み込まれ、2013年8月25日から「ダブルデッカーエキスプレス」として営業運転を開始しました。これに伴い、同編成の先頭部にはスカートの取り付けも行われています。
同時に鳩マークを塞いでいた乗務員室の貫通扉の鉄板が撤去され、京阪での廃車後から13年振りに鳩マークが復活しました。なお、3両編成で特急運用にも充当されるため車掌が乗務しているが、無人駅での運転士の運賃収受があるため、先頭車の運賃箱やワンマン装置自体は引き続き使用されています。
稲荷町テクニカルセンターを取材した後、1日乗車券を使って、富山地方鉄道各線を乗り歩きました。今日の取材は、富山地方鉄道稲荷町テクニカルセンターの方々が、親切に対応して下さり、鉄道について詳しく学ぶことが出来ました。ありがとうございます。
高2A組 りん 稲荷町テクニカルセンター
富山地方鉄道の稲荷町テクニカルセンターは、1966年に設置された車両基地兼整備工場です。その後1985に路面電車の検車場を増設しています。点検所は第1、第2とあり、路面電車は牽引してきて整備しているそうです。また洗車もできるだけやるようにしているのだとか。魔道士達と魔改造(笑)とも仰っていました。若い人が多い車両基地でした。