JR西日本金沢総合車両所 2016年8月9日(火)
アパホテル小松…小松駅―(北陸本線)―松任駅…金沢車両所・取材…小松駅
本日の午前、JR西日本の金沢総合車両所を取材しました。JR西日本金沢支所に所属する車両の重要部検査や全般検査を行っている車両工場です。私たちは、工場を見学しながら電車や気動車の検査の流れについて学びました。
金沢総合車両所は、総面積130362u、JR社員150名、グループ会社の社員200名が勤務する車両工場です。JR各車両の全般検査、重要部検査、交番検査、仕業検査、臨時検査などの車両修繕工事、新製車両の性能検査、延命工事など車両改造工事、北陸鉄道やのと鉄道の車両部品検査など、430両を受け持っています。その中には、683系特急形鋼直流車、521系近郊形交直流車、キハ120形内燃気動車、キヤ143形内燃動車、「花嫁のれん」や「べるもんた」などの観光列車が含まれます。
最初に私たちは、連結器の仕組みについて学びました。機関車が客車を牽引していた頃は、連結部に遊びのある自動連結器を用いて、牽引車の発車時の衝撃に対応しました。電車になり、編成の中に複数の電動車が入り、総括制御が出来るようになると、密着連結器が主流となりました。現在は、固定編成の中間車両には、永久連結器が使用されています。
次に、台車のバネを見学しました。板バネやコイルバネなど、様々なバネが検査されていました。1両に8つのバネが備え付けられています。バネに22tの圧力をかけ、バネの強度が検査されていました。
台車の検査場では、521系の台車が検査されていました。521系の台車に設置された空気ばねは、乗客の総重量、重量の偏りに応じて、自動に車体を水平に一定の高さに保ちます。
車輪検修ラインでは、台車よりベアリングが取り外され、車輪の洗浄が行われていました。車軸を回転させながらヒビや傷を超音波の跳ね返りで探す超音波探傷や、車輪の踏面の旋盤が行われていました。
次に、モーターの検査を見学しました。最初、電車の動力には、直流時過巻きモーターが採用されました。抵抗制御による電圧のコントロールがし易かったからです。しかし、この方式には、エネルギーのロスが多かったです。後に、誘導電動機、回生ブレーキが実用化され、ブレーキをかけた時に発生する熱エネルギーを電気として架線に戻す省エネルギー化アが進みました。今では、直流架線から得た電流をインバーターで変換し、交流モーターで電車を動かす方式が主流になっています。
直流モーターには、ブラシという金属の接触部分が劣化し易く、メンテナンスに手がかかります。交流モーターは、小型軽量化が可能で、高い馬力を得ることが出来、メンテナンスも直流モーターほど手はかからないそうです。
第一電車整備室で、683系の全般検査を見学しました。「しらさぎ」や「サンダーバード」に使用される特急車です。全般検査が終わり、性能検査に入っていました。最初に低い電圧で耐圧検査、絶縁状態、バッテリー制御の検査を行います。次に、交流直流の切り替え検査をし、構内試運転、最後に営業線試運転を行います。
次に、キハ47系や除雪車キヤ143系の検査を見学しました。かつて、除雪車には単線用、複線用がありましたが、今はスノープラウの調整で単線、複線両方に対応できます。キヤ143系の場合、スノープラウを取り外し、牽引用の機関車としても利用できます。
最後に、直流と交流について学びました。直流区間は電圧が下がらないように、交流区間よりも変電所を多く設置する必要があるのだが、架線設備は1500Vの直流の方が、2000Vの交流よりも安価に設置できるそうです。電車の本数が多い場合は、直流の方が有利だそうです。そのような条件から、七尾線の電化は、距離があまり長くないので直流区間になったそうです。
金沢総合車両所を取材した後、北陸本線に乗り富山を目指し金沢駅へ行きました。今日の取材では、JR西日本金沢総合車両所の方々が、親切に対応して下さり、鉄道について詳しく学ぶことが出来ました。ありがとうございます。
高1A組 タクヤ 金沢総合車両所
金沢総合車両所松任本所は、石川県白山市の松任駅北側に位置しています。車両検査全般(仕業検査・全般検査・要部検査)が行われています。かつて松任工場として機能していました。主な検査車両は自所配置の車両を含め北陸地区で運用されている一部の車両のほか、2015年3月までは北越急行所有の681系・683系の検査も担当していました。
金沢総合車両所の主な歴史
1909年(明治42年) 金沢駅構内に金沢修車場として機関車、客車、貨車の修繕を開始
1910年(明治43年) 中部鉄道局金沢工場と改称し発足
1935年(昭和10年) 松任町に移転、名古屋鉄道管理局松任工場と改称
1950年(昭和25年) 国鉄 金沢鉄道管理局
松任工場と改称
1969年(昭和44年) 北陸本線全線複線電化
交直流電気機関車運転開始
1987年(昭和62年) 西日本旅客鉄道株式会社
金沢支社 松任工場と改称
1988年(昭和63年) かがやき・きらめき運転開始
1989年(平成 1年) スーパー雷鳥運転開始
1991年(平成 3年) 七尾線電化
七尾線専用415系ローカル電車運転開始
1994年(昭和 6年) サンダーバード 681系特急形交直流電車 57両投入
1997年(平成 9年) ほくほく線(北越急行)開業 681系18両投入
2001年(平成13年) ISO14001認証を取得
2003年(平成15年) しらさぎ683系2000代 49両投入
2009年(平成21年) 521系ローカル電車 20両投入
2010年(平成22年) 683系4000代 36両投入
2010年(平成22年) 金沢総合車両所(旧松任工場)創立100周年
2013年(平成25年) 新型ラッセル
キヤ143形内燃動車投入
2013年(平成25年) 521系ローカル電車 38両投入運用開始
2015年(平成27年) 富山運転センター車両管理室を金沢総合車両所の支所とし、新たに発足
2015年(平成27年) 改造車「花嫁のれん」・「ベルモンタ」出場