■秩父鉄道 広瀬河原車両基地 三峰口鉄道公園  2009年8月19日(水)

新宿駅―(湘南新宿ライン)―熊谷駅―(秩父鉄道)―ひろせ野鳥の森駅…広瀬河原車両基地・取材


 秩父鉄道の広瀬河原車両基地を取材しました。かつては広瀬河原車両基地の最寄り駅は、大麻生駅でした。歩いて20〜30分ほど離れていました。今は、歩いて10分くらいのところに、ひろせ野鳥の森という駅が出来ました。近くに高校や公園があるので、熊谷市からの要請により新しく出来た駅です。本日、秩父鉄道を取材に行ったところ、秩父鉄道の方が、わざわざ熊谷駅まで迎えに来て下さりました。


 写真は、パレオエクスプレスを牽引する電気機関車です。パレオエクスプレスは、蒸気機関車が牽引する急行列車ですが、転車版の配置などの条件から、この電気機関車も牽引をします。


 自動連結器と駆動装置の付いている車輪です。電車は密着連結器、機関車や貨車は自動連結器が使用されています。


 写真は、主電動機です。主電動機は、電車のものより電気機関車のものの方が大きいです。


 写真は、台車に主電動機をはめ込む作業をしているところです。

写真は、直流電動機のカーボンブラシを交換しているところです。直流直巻電動機は、電気車の主電動機には使いやすいが、回転子に電気を通じなければならず、接点となるカーボンブラシが磨耗し、定期的に交換する必要があります。


写真の装置の左側には、電車の運転台と同じマスコンハンドルやブレーキハンドル、圧力計などがついています。整備した電車の部品が正常に作動するか確認する装置です。

写真は、輪軸プレスです。車軸に車輪を強い圧力で、はめたりはずしたりする機械です。

検査する車両を真横のピット線に移動するトラバーサーです。

写真は、パンタグラフの集電船、架線に接触する部分です。カーボン製で三角形の板になっています。架線との接触で磨り減ったら、ひっくり返して三面を順々に使用します。

パレオエクスプレスの客車で、取り替える必要がある部品を取るために保存しています。

パレオエクスプレスの客車に付いている発電機です。ディーゼルエンジンで発電をし、車内の電気部品へ電気を送ります。


写真は、検車区にある1000系電車です。秩父鉄道創立110周年を記念してリバイバルカラーに塗装されました。国鉄から導入した旧101系も、それぞれかつての塗装、青・黄・オレンジ・ウグイス色で運行しています。


ディーゼル機関車です。秩父鉄道は、鉱山から石灰岩を運搬しています。石灰岩を運搬する貨車は、鉱山で真上から石灰岩を積み、工場で真下へ石灰岩を降ろす構造になっています。ディーゼル機関車は、架線のない区間で、貨車を牽引します。


蒸気機関車です。機関車に付けられている赤い旗は、検査中につき作動禁止という意味です。ボイラーの膨張と収縮を防ぐために、検査中もボイラーに熱気が入っています。熊谷駅から三峰口駅まで走るのに、水を7t、石炭を2t使用します。


写真は、C58の動輪です。Cは、動輪が3組という意味です。動輪には、ロットと車輪の連結部の反対側に半月状のバランサーが付いています。ロッドの重量に対してのバランスを保ちます。中央の動輪がシリンダと直接ロッドでつながっているので、中央の同軸のバランサーが最も大きいです。


 写真は、蒸気機関車の運転室です。最初、パレオエクスプレス、蒸気機関車の運転を再開した頃は、旧国鉄職員のOBが運転をしました。現在は、秩父鉄道の社員も蒸気機関車の運転免許を取得し、運転経験を積み重ねています。

印象に残ったのは、SLです。このSLは、C58―363です。とても車輪が大きくて、僕の身長よりありました。僕は、SLの運転台を見たのは初めてでした。中はとても暑く、温度は50度以上あるそうです。秩父鉄道は歴史が長く、110周年を迎えたそうです。秩父鉄道の特徴は、昔ながらの電車があることです。とても電車を大切にしていると思います。今回はありがとうございました。

 SLは、熱湯を沸かして蒸気を作るボイラー、その蒸気を走る力に換えるシリンダーやロッドと動輪、運転室などからできています。運転室の後には炭水車があります。ボイラーで石炭を燃やすと、その熱い火と煙は、たくさんの細長い管に流れていきます。管の周りには水が通っていて、その水が熱で蒸気に変わり、SLを動かす力になります。水を蒸気にかえた後の煙は、煙室を通って煙突から外に出ます。ボイラーでできた蒸気は、「蒸気だめ」にためられ、運転室のレギュレターハンドルを引っ張るとシリンダーに入ります。シリンダーに入った蒸気は、ピストンを後に押します。ピストンが一番後ろまで行くと、今度は蒸気がピストンの反対側に流れ前に押します。ピストンが前、後に動く力は、ロットに伝わってSLの動輪を回します。


 秩父鉄道広瀬河原車両基地の取材で、心に残っていることは、SLや1000系の旧塗装車などに出会えたことや案内の人がとても熱心に教えて下さった事などです。SLの点検を見ていた時、自分は昔、パレオエクスプレスに乗車した時のことを思い出しました。幼い時に乗ったので、はっきりとは覚えていませんが、ちゃんと思い出になっていました。そして、その時乗ったかもしれないSLが、目の前で点検されている様子を見て、「本当に頑張っているんだなあ」と感じました。1000系の点検などでも、同じ様に「昔からあまり変わっていないんだ」とも感じられ、懐かしい気分になりました。案内の方は、「古い車両ばかりですので」と言いましたが、自分なりに「そういうところが良いのだ」と思いました。


秩父鉄道車両公園に展示してある秩父鉄道オリジナルの旧型電車です。写真の手前に写っている車両がクハニ29(荷物車の部分が付いている)、奥に写っている車両がデハ107です。

 

 三峰口駅にとまっていた急行用電車です。かつての西武鉄道の車両を改造したものです。

 今回は忙しい中、見学させていただきありがとうございました。特に珍しいSLの説明をたくさん聞けてとても良い見学になりました。今回は初めてSLの見学ができて嬉しかったです。秩父鉄道は、普段は絶対に乗れない車両が走っていて、1000系や貨車の全般検査も見られて楽しい見学でした。

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