東京都交通局 荒川線 荒川検修所       2009年3月17日(火)

日本学園…明大前駅―(京王電鉄)―新宿駅―(JR山手線)―大塚駅―(都電荒川線)―荒川車庫前駅…荒川検修所・取材

 

今日は、中学の午前の講習が終わってから、東京都交通局荒川線の取材に行きました。都電荒川線は、王子電気鉄道の路線を東京都交通局が受け継いだものです。王子電気軌道株式会社は、1911(明治43)年に設立した会社で、電灯電力の供給と軌道事業を行っていました。1911(明治44)年に飛鳥山上(現飛鳥山)−大塚間を開通し、路線を広げていきました。1942(昭和17)年の電力統制と交通統制により、東京市に事業を譲渡しました。1960年代になると、道路の自動車交通量が増え、路面電車が次々に廃止されました。旧王子電気鉄道を引き継いだ、都電27系統(三ノ輪橋 - 赤羽)と32系統(荒川車庫前 - 早稲田)は、多くが専用軌道、沿線住民からの存続要望が強かったなどの理由から、27系統の一部(王子駅前 - 赤羽間)は廃止されたが、残りの区間が存続されました。1974年には、別系統として運行されていた27系統と32系統が統合され、都電荒川線と呼ばれるようになりました。写真は、荒川検修所の正面玄関です。

 

都電荒川車庫前で電車から降りると、早くも東京都交通局の方が出迎えて下さりました。わざわざ東京都庁より案内に来て下さったようです。荒川車庫には、電車営業所、車両検修所、保線出張所と電路区があります。電車営業所では、運転手さんの仕事予定表の作成、定期やカードの発売、忘れ物の管理などが行われています。車両検修所では、車両検査、月検査、入出庫車両の点検、車両の清掃などの検査部門、全般検査、重要部検査、臨時検査などの修車部門の仕事が行われています。保線出張所は、線路の保守点検と交換工事を担当しています。電路区は、停留所にある接近表示器など荒川線の電気関係施設の点検と整備を行っています。今日は、検修所を取材し、路面電車の仕組みと整備点検について取材しました。

 


1960年代以降都電の廃線が相次ぐ中、1974年10月1日に最後まで残った27系統と32系統が都電荒川線として統合されたことを記念して、10月1日が「荒川線の日」とされました。2008年には、9月27日に記念イベントがありました。写真は、その時に展示された6000形6086号車です。6086号車は、1949年に製造され、1970年からは荒川電車営業所に配属されました。荒川線が完全ワンマン化される1978年まで現役として活躍しました。6086号車は、解体直前に鉄道博物館学芸員の故岸由一郎氏の働きかけにより、荒川車庫に移設されたそうです。いずれ奇麗にリニューアルするとのことです。集電装置は、昔懐かしいビューゲルを使用しています。


 

写真は、8500形です。従来の7000形や7500形は、駆動装置が釣掛式1段減速平歯車方式、制御装置が電磁接触器式間接非自動抵抗制御方式でした。8500形からは、駆動装置に平行カルダンWN駆動方式、制御装置に回生ブレーキ付VVVFインバータ制御装置を導入しました。運転台では一時期ワンハンドル方式を採用しました。しかし、飛鳥山の傾斜路線を通過する時、ノッチを入れたままブレーキをかけながら走行する技術が必要だったので、加速用とブレーキ用のハンドルが別になったツーハンドル方式に改良されました。ツーハンドル方式は、後に導入された9000形でも採用されました。


 

写真の赤い電車は、荒川線レトロ車両9000形1号車です。1両2億3千万円程で製造されました。前後に運転台があり、主電動機、駆動装置、制御装置、集電装置など、単独走行に必要な装備が一式備わっているため、1両当りの単価にするとJR東日本の通勤電車よりも割高になすそうです。取材を担当された方によれば「お客様誘致のためにレトロ電車を導入したが、工場や大学の移転、沿線住民の高齢化による乗客の減少の最中には、少し高い買い物だった」とのことでした。27系統と32系統が統合され荒川線と改称された1974年の1日平均利用客は、約9万人でした。現在の1日平均利用客数は、東京地下鉄南北線の開業の影響もあって55000〜58000人です。2006年度は、53000人台となりました。しかし、実際に電車の乗った印象では、特に大塚―王子間が多くの利用客で賑わっていると感じました。


 

写真に写っている電車は、4月26日(日)から運行を開始する8800形です。8800形のコンセプトは、「荒川線の未来を開く、先進性と快適性」です。車体は、丸みのあるスタイルで、優しさと親しみやすさをイメージしたデザインとなりました。赤色と白色の塗装は、荒川線沿線に咲くバラをイメージしたそうです。車内には、車いすスペースや縦の手すり、次駅案内表示装置用の15インチカラー液晶ディスプレイが設置されています。ブレーキをかけた時に出るエネルギーを電力に変換し、他の電車の運行に活用する「電力回生システム」を導入しました。このシステムにより、従来の車両に比べて約2割の省エネルギーを実現しました。8800形は、1両1億8000万円で製作されたそうです。


 

 荒川検修所を取材した後、あらかわ遊園へ行き、静態保存をされている6000形6152号車を見学しました。6000形は、都電が都内200kmの路線網を走っていた昭和30年代の主力車両です。荒川線では、1978年にワンマン化されるまで13両が走っていました。その後、6152号車のみが事業用の応急車となりました。後に休日のイベント運転「一球さん号」や貸切列車を中心に運行していました。2001年に6152号車も廃車となり、2003年よりあらかわ遊園静態保存されています。

 今日は、東京都交通局の方々が親切に案内をして下さったおかげで、荒川線について詳しく学ぶことが出来ました。ありがとうございます。

 荒川検修所…あらかわ遊園・6152号車見学…荒川遊園地前―(都電荒川線)―王子―(都電荒川線)―大塚駅―(山手線)―新宿駅・渋谷駅・流れ解散