横浜市交通局上永谷車両基地 2008年12月26日(金) |
今日は、午前中に冬期講習がありました。午後に横浜市営地下鉄の上永谷車両基地を取材しました。上永谷車両基地では、地域の小・中学生を対象に電車の整備や清掃を行う体験学習を実施しています。今回は、第三軌条方式の地下鉄の構造について、取材をしました。 |
第三軌条(サードレール)とは、線路の脇に備え付けられた電車に電気を送る設備です。横浜市営地下鉄ブルーラインの第三軌条には、直流750ボルトの電流が流れています。架線を吊るよりも小さなトンネルですみ、建設費を少し節約できます。日吉と中山を結ぶ4号線は、リニアモーター方式を採用しさらに一回り小さいトンネルにしました。 |
住友金属製の台車の側面に備え付けられた集電装置です。外側に張り出している赤い板が集電靴です。パンタグラフの役割を果たしています。第三軌条の上部に接触して電気を得る上面接触式集電装置です。コイルバネにより集電靴が常に第三軌条に127ニュートン(13kg)の圧力で押え付けられ、アークを引くのをおさえます。 |
検車場のピット線です。1mほどの高さの台に乗ったレールに電車が配置し、床下機器の点検が行われます。ここには、第三軌条がありません。750Vもの電流が流れている軌条があっては作業が出来ません。検査ピットでは、電車は第三軌条ではなくコードから電気を得て動きます。写真の中央に写っている天井から吊ってある大きな棒がコネクタです。電車の床下に大きなソケットが付いていて、そこに接続されて、電車と一緒に移動しながら電気を送りします。 |
ピットにある車輪転削装置です。走行中に傷が入った車輪を回しながら、車輪を完璧な円形に削ります。車輪の直径が微妙に小さくなりますが、台車で調整します。 |
3000形車両の運転室や車内の設備を見学させていただきました。3000形は、全て主電動機には3相4極かご形誘導電動機、制御装置には応荷重及び回生制動付VVVFインバータ制御装置、基礎ブレーキ装置には全車ディスクブレーキ方式を採用しています。車体の外観には各車両に微妙な違いがあり、3000A形(A:最初)、3000N形(N:新しい)、3000R形(R:生まれ変わる)、3000S形(S:満足)に分類されています。3000N形からは、車内案内放送に英語放送を加え、車内にニュースや天気予報を提供する情報表示器を設置しました。再利用できる装置を生かして、1000形は3000R形に、2000形は3000S形に置き換えられました。 |
3000形の運転室です。手前の黒いレバーが、主幹制御器(マスコン)です。ブレーキと力行を一本のハンドルで操作するワンハンドル式です。運転台の手前側面に配列してある白いスイッチはATO出発押釦スイッチ、青色と緑色のスイッチは、左右のドア開閉押釦スイッチです。いずれも誤操作を防ぐために、2つずつあります。手前のモニターは、運転情報画面です。列車が正確に停車位置に停車しているか、駅のホーム柵の状態、ワンマン運手に必要なスイッチ類の状態などが表示されます。前面窓の上部についている4つの画面は、車上ITVモニターです。駅ホームに設置したカメラで撮影した可動式ホーム柵周辺の映像を映します。ワンマン運転でのドアの開閉の時に使用します。 |
車両修繕工場での重要部検査です。重要部検査は、4年または走行距離60万km以内の期間に行われます。制御装置、台車、ブレーキその他の装置について、点検や部品の交換を行います。JRトランスポーティックと連携して、重要部検査を4年から5年、全般検査を8年から10年に1度に出来ないか調査をしているところです。 |
横浜市営地下鉄は、1972年12月に伊勢佐木長者町駅・上大岡駅間で開通しました。当時の地下鉄電車は、蒔田駅で台車と車体を組み立てられ、2台のクレーンで線路に吊り降ろされました。トンネルの中で人力で連結され、3両編成で運営業を開始しました。1975年9月には、横浜駅・伊勢崎長者町駅、上大岡駅・上永谷駅間が開通しました。1977年には5両編成で営業運転が開始され、上永谷車両基地が出来ました。1984年には6両編成による営業運転が始まりました。2007年12月には、ATO(Automatic Train Operation 自動列車運転装置)を導入し、出発・走行・停車を自動で行うようになりました。また、電子機器を運転台に集中し、ワンマン運転を開始しました。開通当初より、18m3扉車6両編成で設計していました。駅設備その他の装備の関係で今後も、現在の寸法の車両6両編成で営業していくとのことでした。 |
本日は、上永谷車両基地の方々の親切な案内のおかげで、第三軌条式の地下鉄について詳しく学ぶことが出来ました。 上永谷車両基地…上永谷駅―(横浜市営地下鉄)―横浜駅―(東急東横線)―菊名駅・渋谷駅・流れ解散 |