相模鉄道 車両センター(かしわ台工機所)  2008年8月11日(月)

明大前駅―(井の頭線)―下北沢駅―(小田急電鉄)―海老名駅―(相模鉄道)―かしわ台駅…車両センター・取材

 


 夏休みを利用して、相模鉄道車両センターを取材しました。写真は、車両センターの入り口に静態保存されている蒸気機関車です。車両センターでは、相模鉄道を走る全ての車両の、列車検査・機能保全検査・重要部検査・全般検査・臨時検査を行っています。

 


 写真の上に写っている黄色いものが30tの車体を吊り上げるオーバーヘッドクレーンです。このクレーンを用いて、台車と車体を切り離します。写真の下に写っているレールが付いている台が、電車を真横に移動させる車体トラバーサーです。写真の左奥に見える明るい部屋が塗装職場、右奥に見える暗い部屋が気吹き・屋根上職場です。気吹き職場ではシャッターを閉め、エアーで電車に付いたほこりを除去します。

 


 車体作業場です。オーバーヘッドクレーンで切り離された車体は、車体昇降装置に乗せられ、各装置が取り外し、てんけん、清掃されます。今日は大変暑かったのですが、暑い日には海老名駅停車中は、4箇所ある出入り口のうち1箇所のみ開けておき、車内の冷気を保ちます。発車直前に全部の出入口を一旦開き、再び全てのドアを閉じてから出発します。次の停車駅で、ドアが1箇所しか開かない誤作動を防ぐためです。

 


 ピット線に止まっている9000系です。7000系までは、運転室の付いた車両でも中央に貫通路がありましたが、8000系以降は中央に貫通路がありません。かつては日中8両、ラッシュ時に10両編成で運行していたが、今では終日10両編成で運行しているからです。

 


 相模鉄道の台車には、ディスクブレーキが外側に付いています。JRの車両は内側についています。今では、回生ブレーキ(電気ブレーキ)で、ほぼ停車するスピードまで調整しています。電車のハイテク化により、年々、点検の際に交換すべき部品が減っています。

 


 車体作業場では、各装置の点検が行われています。
2015年には、JRの横浜羽沢貨物駅を旅客駅に改良して、相模鉄道・JR・東急東横線で直通運転をします。まだ、相模鉄道には、直通運転できる車両がありません。各鉄道会社ごとに、無線装置・ATC(自動列車制御装置)・ATS(自動列車停止装置)の方式が異なるからです。しかも、各社の電車の大きさが微妙に異なります(東急電鉄<相模鉄道<JR)。いずれ、乗入用の車両を新造する計画です。

 


 台車組立職場です。手前のくぼんだ所が台車トラバーサーです。天井の奥には10tクレーンが見えます。左奥には台車洗浄機があります。

 


 台車組立職場で整備されたプロペラシャフトです。主電動機の動力を傘歯車を通して車輪に導くプロペラシャフト十字継ぎ手です。直角カルダン方式の駆動装置に使用される部品です。

 


 写真の奥に写っている赤い装置は、超音波探傷装置です。車輪や車軸の破損を調べます。電車が入るピット線には、輪重測定装置が設定されています。レールに傷が付くよりも、車輪に傷が付いた方が調整がしやすいとのことです。1つの台車に8枚の車輪が付いています。8枚の車輪の分担率(加重の違い)を測定し、10%以上の差が生じたら直ちに調整します。

 


 最近、各鉄道会社が導入しているシングルアーム式のパンタグラフです。雪の重みには、ひし形パンタグラフより弱いが、部品が少ない分、メンテナンスがしやすいです。

 


 今日は、相模鉄道車両センターの方々が、親切に車両工場を案内して下さったおかげで、電車の仕組みと検査の手順について詳しく学ぶことができました。ありがとうございました。