遠州鉄道 西鹿島車両基地    2008年8月6日(水)

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 午後には、遠州鉄道の西鹿島車両基地を取材しました。西鹿島駅に着くと、遠州鉄道の方々が資料を準備して西鹿島駅まで迎えに来てくださりました。たいへん親切に案内してくださりましたので、電車の構造について分かりやすく勉強でき、有意義な取材となりました。写真は、遠州鉄道2000系です。




重要部検査は2年に1度、全般検査は4年に1度行われます。遠州鉄道の電車は、1年間でおおよそ13万km走行します。検査は、車体と台車がクレーンで切り離され、それぞれ別に行われます。1回の検査に2両ずつ、2ヶ月半かけます。写真に写っている車体は、ジャッキの上に乗っています。車体にもジャッキに乗る受けが付いています。ジャッキのみでは、黄色い台は、ジャッキを補助するためのものです。



 


 台車の上部についているブレーキシリンダに空気が送られ、テコの原理で写真の右側に写っている制輪子が車輪に押し付けられてブレーキがかかります。今では、回生ブレーキ(自動車でいうエンジンブレーキ)により速度が調整される様になり、制輪子の使用頻度が減りました。また、制輪子にかかる自動調整されるようになり、制輪子が鋳物から鋳鉄になり、制輪子の交換が3週間に1回程度になりました。タイヤ(車輪のレールに乗っている部分)の厚さは67mmです。走行や停車を繰り返すことにより、磨り減ったり、傷が入ります。傷が入ると丸く転削します。22mmの厚さになるまで使用できますが、運用中に傷が入ることもありうるので、30mmの厚さまで転削したら車輪を交換します。車輪の交換は、名古屋鉄道の舞木車両検査場で行われます。




 写真は、30形の貫通路です。幌が幅広く張ってあるのが特徴です。車掌室から車内全体を見渡すための設計です。遠州鉄道の電車の前面には、貫通路がありません。路線にトンネルがないので、電車の前面に非常用出口をつけなかったとのことです。1962年から、踏切事故を防ぐために、電車を全て目立つ赤色にしたとのことです。






 写真は、30形の扉です。30形の扉は、片開きで、側面に2箇所あります。出入口の幅は140cmです。浜松市の都市化とともに、乗降客が増え、扉の近くが混雑するようになったので、扉が3箇所付いている電車を導入しました。出入口を3箇所にした分、幅を130cmにしました。30形も、扉の開閉の時間の短縮のために、両開きドアに改造したものもあります。






 写真の左側が留置線、右側が営業線のレールです。留置線は
30kg/1m、営業線は40kg/1mのレールです。ロングレール化を進め、走行時の騒音を減らしました。


 


 写真は、2000系電車です。車内では行先表示器をLED装置にしたいという要望もありましたが、方向幕にしました。この方向幕が結構高価なものだそうです。パンタグラフは、シングルアームを採用しています。部品が少ない分、メンテナンスが有利です。架線との接触部分は、ブロイメットという特殊合金を使っています。10mmの厚さがありますが、1ヶ月で5mmに磨り減り、交換されます。部員たちは、2000系の運転室の装置を見学させていただきました。安易にスイッチを押して壊さないでくれ。この電車は、21組で、32千万円。鉄道研究部の予算では、弁償できない。

 


 遠州鉄道の方々が、鉄道研究部の取材に、親切に対応して下さったおかげで、鉄道研究部の面々は、思いのたけ電車に接することができました。ありがとうございました。