箱根登山鉄道鋼索線早雲山駅・強羅駅のモハ2形  2000年3月30日(木)

大平台駅・撮影―(箱根登山鉄道)―強羅駅―(箱根ケーブルカー)―早雲山駅・ケーブルカー運転所取材―(箱根ケーブルカー)―強羅駅…静雲荘・宿泊



大平台の温泉街を散策した後、箱根登山鉄道に乗り、早雲山駅にあるケーブルカーの運転室を取材しました。2両編成になった箱根ケーブルカーの運転室や巻揚げ機を見学しました。



箱根ケーブルカーは、
神奈川県箱根町強羅駅早雲山駅とを結ぶ箱根登山鉄道の鋼索鉄道です。関東では最も古いケーブルカー路線です。路線距離(営業キロ1.2km軌間983mm駅数は起終点駅含み6駅、高低差214mです。



小田原電気鉄道では1911強羅の土地を取得し、旅館や別荘地として販売を行っていました。しかし、この地域の傾斜がきついため、この別荘地内の居住者の便を図って鋼索線を建設することになりました。同時に箱根回遊コースの一環として敷設されました。登山鉄道の工事が優先されたため、建設に着手したのは登山電車の開業後の1921でした。写真は、早雲山駅にあるケーブルカーの運転台です。前面の窓から、強羅駅まで見渡せる様になっています。



軌条・車両・巻上げ装置など、一切の装置をすべてスイス製から現物を輸入しました。
1921121日に開業しました。日本においては1918年に開業した生駒鋼索鉄道に続く2番目の鋼索鉄道で、関東では初の鋼索鉄道でした。192271には、下強羅駅を強羅駅に改称しました。1926710、上強羅駅を早雲山駅に改称しました。192811に、小田原電気鉄道は日本電力に合併となったが、1926816には軌道線・鉄道線とともに箱根登山鉄道に分離されました。写真は、早雲山駅にあるケーブルの巻き揚げ機です。ディスクブレーキも付いています。



第二次世界大戦
に入り、不要不急路線として施設をすべて撤去して供出することになり、1944210日限りで運行を休止し、施設については早雲山駅の建物を除いた施設一切を産業設備営団に売却、撤去されました。戦後、運行を再開したのは195071日からで、同日から運行を開始した同社の早雲山と湖尻を結ぶ路線バスによって、自社の路線のみによる芦ノ湖までのルートを形成することになりました。



1951
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には、早雲館駅を上強羅駅に改称しました。その後、鉄道線が3両編成化されたことに伴い、本路線も輸送力増強を行なうことになり、1995316日よりスイス製の車両による2両編成での運行が開始されました。この置き換えに際し、それまで987mmであった軌間が983mm改軌されました。



運行開始当初の車両は、スイス製のフォードベルン社の車両でした。戦後の運行再開時に車両も
2代目となり、1971320からは3代目の車両が運用を開始しました。その後、輸送力増強のため、1995316から2両編成・冷房付きとなった100・ケ200車両に置き換えられました。写真は、ケーブルカーの車輪です。片側の車輪にのみフランジが付いていて、反対側の車輪にはフランジが付いていません。つるべ式のケーブルカーなので、2つの編成の車両が、路線のすれ違い地点で、それぞれ反対側のレールを行く様になっています。



私たちは、早雲山駅の運転所を見学した後、強羅へ戻り、本日宿泊する静雲荘へ行き、夕食を食べ、一休みしました。夜は強羅駅で3両編成になった箱根登山鉄道モハ2形を撮影しました。




小田原電気鉄道チキ
2形電車は、箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道が導入した電車です。鉄道線の増備車両として、1927スイス製の電装品や台車などを使用し、木造車体を有する3両が製造され、その後1935には同じ電装品を使用して車体を鋼製車体とした車両が2両増備されました。1952には形式称号が「チキ」「チキテ」から「モハ」「モハニ」へ変更され、木造車体の車両については1955から1957にかけて鋼体化されました。



第二次世界大戦前に鋼製車体で製造された車両は1991までに廃車となりましたが、その後も残った車両はチキ1形を称号変更したモハ1とともに箱根登山鉄道の代表的な車両となっています。




チキ2形・チキ3形とも、全長14.6m制御電動車です。形式の「チキ」は、「チ」が地方鉄道線用車両を示し、「キ」は客車の意味です。チキ2形の製造当初の車体は日本車輌製造によって製造された木造車体です。



車両の両側に運転台を装備しているが、チキ
1形とは異なり運転室として区分され、出入口とは分離されました。客用扉は運転室直後と車体中央の3箇所にあり、中央扉には路面からの乗降も可能なようにステップが設けられました。車内は両端の運転室を除いて、ロングシートの並等客室とクロスシートの特等客室に分かれていました。集電装置はトロリーポールを装備しました。



チキ2形の増備車およびチキ3形の車体は、川崎車両で製造されました。車体は鋼製だが窓枠や扉が木製の「半鋼製車体」で、車体外板はリベットによって接合されています。客用扉は2箇所にあり、両端の運転室と客用扉の間には2段窓が2つ、客用扉の間には2段窓が5つあります。車内はすべてロングシートです。