箱根登山鉄道 入生田検車区 2000年3月30日(木)

小田原駅―(箱根登山鉄道)―入生田駅…入生田検車区・取材…生命の星・地球博物館・見学…入生田駅―(箱根登山鉄道)―大平台駅・撮影



春期合宿にて、箱根登山鉄道の入生田検車区を取材しました。入生田検車区にて、2000形電車の検査を見学しました。2000形は、1989年に箱根登山鉄道に導入された車両です。現有車両と共通運用できるような構造、寸法とし、2両固定編成及び、将来の増結運用を考慮しています。



2000系電車は、箱根登山鉄道19893月から運用している旅客用電車です。箱根登山鉄道初の冷房車で、姉妹鉄道提携を結んでいるスイスレーティッシュ鉄道の沿線にある観光地にちなんで「サン・モリッツ号」という愛称がつけられました。当初は2両編成で登場し、1991には2両編成が1編成増備され、2両編成×2編成となりました。その後、1993には中間車2両を増備して3両編成×2編成に組成変更され、1997には3両編成×1編成が増備されました。



車体長13800mm・全長14660mmで、車体幅2520mm・全幅2580mmの全金属製車体です。屋根・側面・連結面の外板には耐蝕性鋼板を採用しました。クモハ2000形の正面は非貫通型で、視界を広げるために窓ガラスは大型ガラスを採用しました。側面客用扉は各車両とも片開き扉2箇所で、扉の幅は1000mm幅としました。側面窓は眺望に配慮してバランサーつきの1段下降窓で、窓の大きさは単独の窓で幅850mm・高さ1000mmとしました。連結面には非常時において旅客の避難誘導が出来るよう、箱根登山鉄道では初めて非常用の貫通路を設けました。



車体の色は箱根ゴールデンコースのイメージカラーを強調し、前面と窓周りはストロベリーレッドの帯、側面腰板部分にはスレンレッドの帯をつけました。この塗装は小田急ロマンスカーの10000HiSE車と同様の配色です。正面下部には箱根登山鉄道の車両では初めてスカートを設けた。



運転士が乗務する乗務員室は中央運転台とし、運転席の座席は回転式のバケットシートを取り付けました。運転台コンソールは基本的には「ベルニナ号」と同一です。正面窓は熱線入りの防曇ガラスとし、3段切り替え式の電動ワイパーを装備しました。



制御方式は、1台で4基の電動機の制御を行い(1C4M)、主回路接続は4つの電動機を全て直列に接続する方式(永久4S)としました。駆動装置は中空軸撓み板継手平行カルダン方式です。台車は半径30mの急曲線を通過するため、「ベルニナ号」と同様に軸間距離1800mmとした車輪径860mmの軸ばね式コイルばね台車である東急車輛製造TS-330A形を採用しました。



ブレーキ(制動装置)応荷重機構付電空併用電気指令式電磁直通制動HRD-1形を採用しました。基礎ブレーキ装置の制輪子は鋳鉄製です。主抵抗器はそれまでの車両と同様に屋根上に設置しました。これらのブレーキ装置とは別に、箱根登山鉄道独自の保安ブレーキとしてレール圧着ブレーキを装備しました。三線区間の仕組みについて学びました。三線軌条とは、3本のレールを敷き、軌道幅の違う2種類の電車を走らせる線路の敷き方です。広い方を登山電車が(標準軌)、狭い方を小田急電車(狭軌)が走ります。



神奈川県立生命の星・地球博物館を見学しました。地球展示室は、地球の誕生から現在にいたるまでの宇宙との関わりや地球内部の構造などを紹介しています。や世界中の鉱石などの実物に実際に触れてみることができます。生命展示室は、3階までの吹き抜けの展示室に巨大な恐竜骨格標本や動物・昆虫・植物の標本を展示しています。昆虫の標本は環境や個体の大小による違いなどを紹介しています。神奈川展示室は、神奈川県の動植物の標本を展示しています。共生展示室は、人類が地球環境に与える影響やそれによる動植物の変化などを紹介しています。



大平台温泉を行き交う箱根登山鉄道の電車を撮影しました。大平台温泉郷は戦国時代からの古い村落で、温泉地になる前は箱根細工の名産地でした。昭和24年地元の有志たちによって温泉を掘り当て、今日では箱根十七湯の一つとして知られています。箱根山のほぼ中腹に位置し里山の雰囲気を今に残し、夏涼しく冬の積雪もまれで、春のしだれ桜・初夏のアジサイ・秋の紅葉と四季を通じて様々な花が咲きます。