プロローグ
--------------------------------------------------------------------------------
満開の桜並木。
その道を私はこれから三年間通うことになる学校に向けて歩いていた。
私の高校生活第一日目。
新しい友達、楽しい思い出、素敵な出会い(があると良いな)。
色々な事がこれから始まっていくんだなーと思いながら八坂学園への道を歩いている。
「おはよう、栞」
後ろから声をかけてきたのは小さい頃からずっと一緒にいる親友の香織ちゃん。
「おはよう香織ちゃん」
私も笑顔で挨拶を返す。
「いや〜桜は満開。天気も快晴。良い日だね今日は」
「うん。あ、ねえねえ私ちゃんとしてる?何処かへんじゃないかな?」
まだ着慣れていない制服を着ているためかどうも気になってしょうがない。
私はこの制服を着るのが夢だった。昨晩はまったく眠れなかったほどである。
「ん〜・・・うん、大丈夫似合ってるよ。栞の夢だったもんね〜ここの制服は」
「そういえば香織ちゃんは何でこの学校にしたの?もっと良いところいけたじゃない」
彼女の実力ならもっと優秀な学生がそろう進学校にだって入れたはず。
私?私もまあ狙えない事は無かったけどやっぱり夢だったからこの八坂学園の制服は。
「別に〜勉強したいわけじゃないし。良い学校とかに行かなくても大学は受験できるしね」
等といっているが嘘なのだと言うのは何となくわかる。何せ付き合いが長いのだから。
「まあ良いじゃない。それより急ごう遅刻しちゃうよ!」
照れ隠しのようにさっさと話題を変えた彼女は学校に向かって走り出していた。
「ちょ!ちょっとまってよ〜」
私もあわてて彼女を追いかけるように走り出す。
「あはは、栞〜遅いよ〜先に行くからね〜」
さ、さすが運動神経抜群な香織ちゃん。お、追いつけない〜><
こうして私の八坂学園での生活が始まるのだった。
ここでの3年間に期待を膨らませ。
(ようし!がんばるぞ〜)

きーんこーんかーん。
時間は8時30分。
朝のHR開始を告げるチャイムが鳴り響く。
がらがら。
「諸君。私はこの学校が好きだ」
「諸君。私はこの学校が大好きだ」
・・・いきなり何を言い出すんだろうこの先生は。
周りの生徒もどうしていいかわからず困惑している。
「ん、ちとすべったな。私がこのクラスを担当する藤林だよろしくな」
どうやら担任の先生みたい。
私の前の席では香織ちゃんがいつも以上の笑顔できらきらしている雰囲気が漂ってきていた。
(そうだった・・・香織ちゃんはああいうネタが大好きだったんだ・・・)
きっと気が合うんだろうな〜この二人は・・・などと思いながら担任の藤林先生に注目する。
先生は黒板に今日の日程を書き出しているところで、一番上には入学式と書かれている。
「という感じでこれが今日の日程だ。諸君にはこれから体育館に向かってもらう
 でわ、全員廊下に整列し速やかに移動するように。以上。諸君の検討を祈る」
ビシ!と軍隊っぽい敬礼まで見せてくれるこの担任・・・
それに律儀に敬礼を返す私の親友。
なんとも楽しい学校生活になりそうな予感がずびしとします・・・(^^;



さて、無事に入学式も終え教室に戻ってくるとそれぞれの机の上に紙が一枚づつ置いてありました。
「諸君。無事に戻ったようだな。おめでとう。諸君たちの入学を心より歓迎しよう」
藤林先生が黒板の前でそう話している。
そう、入学式を無事に終えたことで晴れて八坂学園へ入学したことになったのである。
「さて、諸君に最初の任務を与えよう。これから3年間を共にする戦友の名前を知っておかねばならん。
 まあ、わかりやすく言うと自己紹介だな」
自己紹介・・・それは全員に等しく訪れる最初の関門。
これを無事に通過することによって平和に過ごせるかが決まる。
笑いを取ろうとする人。
普通に過ごす人。
そして・・・私の親友はきっちりとやってくれました。
「は!自分は白根中学から来ました松井香織であります。趣味はスポーツ全般であります。よろしくお願いします」
びし!っと敬礼をして返す始末・・・
「ん!なかなか元気があってよろしい!ノリがわかってるな松井二等兵!!」
「は!光栄であります!」
・・・私にはついていけないこの世界・・・どうしよう。
「でわ、次。小笠原」
「は、はい!」
どうしよう・・・香織ちゃんのあの後に普通にやっちゃっていいの?
「え〜っと・・・」
自己紹介で詰まってしまう私・・・恥ずかしい。
「自己紹介くらいさっさとやれよな。後がつかえてるんだ」
どう話そうか私が困っていると後ろにいた男子生徒がクレームをつけてきた。
そこかしこでくすくすという笑いが湧き上がってきていた。
私は恥ずかしさを隠すように、
「なによ!ちょっと位待てないわけ!」
と怒鳴りつけていた。
「俺はこの後バイトがあるんだよ!稼ぎをつぶすんじゃねえ」
「終了時間に違いはないんだからそんなの気にすることないでしょ!」
「うっせ〜!気持ちの問題なんだよ。大体自己紹介なんて名前言って終りじゃねえか!何を狙ってやがる」
「しょうがないでしょ!前の人が変な風にやっちゃったんだもん!」
と、そこまで口論になったところで
「その変な風にやったってのはあたしのことかな〜栞ちゃん?」
と妙な笑顔で振る返ってくる私の親友・・・
「ああ!えっと・・その・・・も!もう!あんたのせいよ!!」
「あんたじゃねえ!俺には鈴木 信二って言う名前があるんだよ!」
「まだ聞いてないもん知るわけないでしょ!」
「おめえが自己紹介とめてたんだろうが!」
なにやら終わらない口論になりかけていたところを救った人物がいたのだった。
「まあまあお二人さん。とりあえず皆には君たちの紹介は必要ないみたいだし次にいってもらってもいいんじゃないかな?」
そういわれて周りを見ると皆がうんうんとうなずいていた。
私と鈴木君の二人はそれ以上続けるのもなんなのでおとなしく席に着くのであった。
「さてさて、続きをということで僕の番なのですが、佐々木 徹と言います。趣味特技は水泳で部活も水泳部に入ろうと思っています」
物腰柔らかく、でも視線はしっかりと前を向いている人。
私の佐々木君に対する第一印象はそんな感じでした。
そして、口論になった鈴木君に対しては、あまりい印象を持たなかったのは言うまでもありません。
これが、私たち4人の最初の出会いでした。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
あとがき
ついに開始されてしまいました。八坂学園物語。
これは、友人とメッセで会話してた時に、こんな設定のベタな話が読んでみたいな〜といった事からスタートしたものです。
ベタな展開だけにさて、どうしようといった感じでスタートしたのですがどうなることやら・・・
とりあえず、遅筆ではありますが、がんばって書いていこうと思っていますので見捨てないでください(T-T)
よろしくお願いします。