第一話 いつもの放課後?
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きーんこーんかーん。
授業終了のチャイムがようやく鳴ってくれました。
長かった、最後の5分が非常〜に長かったよ。
「よ〜し、帰りのHRはじめるぞ」
藤林先生の授業が6間目だったため、そのままHRへ突入。
こういう時、時間短縮になって嬉しいね。
「さて、諸君。明日いよいよ君たちは試練に挑む。それは」
「大佐殿!今はその話より目の前の敵に専念すべきかと!」
「む!松井二等兵か。そうだったな。でわこれより諸君に連絡事項を告げる!」
先生お得意の謎の軍人モードに入りかけていたところを香織ちゃんが見事に流していた。
入学して1ヶ月が過ぎていたが、私は未だにこの先生の謎の軍人モードに慣れていなかった。
香織ちゃんはすっかり慣れたようで的確に先生を誘導しているみたい。見事だわ。
『ああいうのはノリと勢いなのよ』
とは香織ちゃんのいつもの言い分であったが私にはどちらも無理っぽいみたい。
「〜以上である。でわ解散!明日0830校門前に集合!1秒たりとも遅れることは許さん。
 遅れたものは容赦なく切り捨てていくからそのつもりで!」
今日も無事に帰りのHRが終了した。
今日も一日長かったわー。
「ふ〜、ようやく終わった〜さて、放課後何しようかな」
「栞ちゃんお疲れ。今日これから皆で遊びにいかないかい?」
やっと訪れた自由な時間に何をしようかな〜と考えていたところへ、佐々木君が声をかけてきた。
「ん〜、香織ちゃんはどうする〜?」
「私?別に暇だから付き合ってもいいよ」
「ということらしいので私も行きます。でもなにするの?」
「たまにはカラオケでも行かないかい?っと、お〜い信二もいくだろ?バイトは今日休みだったよな?」
「お前、人のスケジュール把握する余裕があるのかよ。まあ休みだけど」
鈴木君も合流していつものメンバーになった。まあ、予想はしてたけどね。
鈴木君とは入学式の後の自己紹介で少しもめたけどその後は普通に友達として話せるようになっていた。
佐々木君は最初から普通に話せてたけどね。
で、なぜかこの四人。妙に馬が合う。
なのでよく一緒にいることが多い。
クラスの皆もいつもの面子という認識を持っているくらいだ。
「んじゃ、行こうか」
「おい、佐々木まてって。店はどこにするんだよ」
先頭切って教室を飛び出す佐々木君。実はカラオケ大好きみたい。
この間行った時も延長延長で結局6時間もいたしね。
「そういえば栞。明日の用意はした?」
帰りの支度をしていたところへ香織ちゃんがずいっと問い詰めるような形で話しかけてくる。
「一応はね。用意といったって日帰りなんだし特にないでしょ?」
「ちっちっち。甘い!甘いわよ栞。クラスの男子を断る口実の用意よ」
「ほへ?」
何のことだろう?とはてなマークを頭上にぷかぷか浮かせていると、目の前で思いっきりため息をついちゃってくれる親友の香織ちゃん。
「しおり〜、あんた自分の容姿と取得スキルを自覚しなさい。うちの学年の人気No1なんだよ?」
「あはは、ないない。それは絶対に無いって。私より香織ちゃんの方こそ自覚しなよ。香織ちゃんの人気すごいんだよ?」
「だ〜わかってない。この子ったらぜんっぜんわかってないわ。大体ね!」
「お〜い二人とも!早く行こうよ〜」
佐々木君が待ちきれなくなっているようだ。
話の途中だけど呼ばれたからにはしょうがない。
よね?(笑)
「ごっめ〜ん。すぐ行くから〜。ほら香織ちゃん行こう!」
「ちょ!こら栞。まって!待ちなさいよ〜」
私はカバンを持って急いで教室を出て行く。
確かに下駄箱に手紙が入っていたり、机に封筒が入っていたりという事は何度かあったけど
私より香織ちゃんの方が圧倒的にそういったことは多い。
私の事を心配するより香織ちゃんは自分の事を気にすればいいのにな〜。
遅れて出てきた香織ちゃんはぶすっとしていたが、そこはそれ。
香織ちゃんもカラオケ大好きなのを私は知っているのだ♪
なので、いざお店に着いたら絶対にいつもの調子になるのが簡単に予想できるのさ〜。
「おい、栞。なんか香織のやつとあったのか?」
「ん?別にないよ。お店に行けば元気になるからほっといていいよ。それより呼び捨てにしないでよね」
「ああ、わりいわりい。気にすんな。俺はきにしねえからよ。遠慮なく呼び捨てにしてくれていいぜ?」
「はいはい、まぁ良いけどね別に。そういえば明日はどうするの?」
「それだよ!なあ栞。徹と香織って良い感じになれそうじゃね?」
「え?」
「だから、明日あいつらを二人っきりにさせてやろうぜってことだよ」
なるほど、確かに佐々木君と香織ちゃんならお似合いの二人かもしれない。
いつも一緒にいたから気づかなかったけど。なるほど確かに!
「確かにそれはいい考えかも。あんたにしては珍しくさえてるじゃない」
「だろ?よし決まりだな。明日はがんばろうぜ」
「そうね。がんばろう!」
後ろで私たちがそんなたくらみをしているとは知らずに、二人は何を歌うか、新曲が入ったとかを楽しそうに話しているのだった。
やっぱり二人ともカラオケ大好きみたいだ。
さてさて、明日も楽しみだけど今は目の前のカラオケタイムを満喫することにしようっと。
翌日。
私たちの思い付きと計画が、4人にどんな影響を与えたのか。
それはまた別の機会にお話しましょう。