第四話 裏切りの瞬間

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前回までのあらすじ
ついに勇者が召還された!(?)
しかし、一人を召還するはずがなんと、二人も召還してしまった。
そのため、アサ姫は魔力の使いすぎで倒れてしまった。
果たして、召還された士郎と萌は果たして、無事にアクア国に平和を取り戻す事が出来るのだろうか?
そして、無事にもとの世界に戻る事は出来るのだろうか?
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時空の覇者 第四話 裏切りの瞬間

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「さて、旅の仲間だが…誰か!ブルーを呼んでまいれ!」
・・・・しばらくして、一人の男が謁見の間に現れた。
「国王様。お呼びですか?」
「ブルーよそなたを呼んだのは他でもない。この勇者様と共に旅に出てはくれまいか?」
ブルーと呼ばれた青年は困ったような顔で国王に答えた。
「申し訳ありませんが、私にはアサ姫をお守りするという役目がございます。
その役目は別の方にお申し付けくださいますようお願いいたします」
・・・ブルーと呼ばれた青年はアサ姫に続いて魔法学校次席卒業の実績を持った魔術師である。
しかし、次席とは言っても攻撃系の魔術なら、主席間違いなしというほどの優れた魔術師であった。
その魔力の高さと、アサの推薦もあり、史上最年少の宮廷魔術師になる事が出来たのであった。
その、彼が断ったので、国王はアサ姫が倒れた事の事実を彼に打ち明けた。
「・・・そういう訳なのじゃ。マサキはこの国を長く離れるわけにはいかん!
そなたしか、おらんのじゃ・・・頼む勇者様と共に旅に出て、アサを目覚めさせる方法を
探してきてはくれぬか」
・・・・国王の必死の説得の前にブルーは旅に出る事を承諾してくれた。
「決まったようだな。俺は士郎って言うんだ。よろしくな♪」
「私は、萌といいます。よろしくお願いしますね」
「こちらこそ、共に頑張りましょう」
こうして、ブルーが旅のパーティーに加わったのだった。

その夜、勇者がこの国に現れたと言ううわさを聞きつけた町の者が一目見ようと城の大広間に集まっていた。
「・・・・俺がこの人数の前に出て行くの?」
あまりの人の多さに士郎は立ち尽くしていた。
「頑張ってね。勇者様♪」
萌が茶化す様に後ろから士郎に声をかけてきた。
自分は出て行かなくても良いものだと萌は思っていたので晴れ晴れとした顔をしていた。
しかし、集まった人々の声を聞いたとき呆然としてしまった。
「そういえば勇者様はお二人いるそうなんだってな!」
「ほんとか!それはすごいぜ!」
「これで、アクア国は安泰だな!」

「どうやら、おまえも出ないと行けないようだな〜♪」
・・・人々の声を聞いて今度は士郎が萌を茶化していた。
「・・・・わかったわよ出れば良いんでしょ!」
覚悟を決めたように二人は集まった人々の前に現れた。
その瞬間、すごい歓声が辺りからまきおこった。
「静まれ!皆のもの。このお二人がわが国をお救いくださる勇者様じゃ!」
国王の声を聞いたとたんにまたすごい歓声がまきおこった。
人々の前に立った士郎の姿は国王から授かった剣と鎧を身につけていた。
剣も鎧もアクア国に代々伝わる、家宝の武具であった。
萌は魔術師風のローブを着て、魔術用の杖を持っていた。
「なあ〜萌。なんか、ゲームの主人公になったみたいだな。そう思わないか?」
士郎がそう言うと、
「そうね、なんだか私もほんとに魔術が使えるような気がしてきたわ♪」
なんだかんだ言って結構のっている二人であった。

一方その頃、調べものがあるといって宴に参加してなかったマサキはアサ姫の寝室にいた。
「ふっふっふ、いつまでも浮かれているが良いわ」
マサキの手には短刀が握られていた。
周囲を見まわして、誰もいないことを確認すると持っていた短刀をアサ姫に向けて振り下ろしていた。
しかし、すんでの所で一条の光が短刀を弾き飛ばしていた。
「くっ誰だ・・・!」
光が放たれたほうを見ると宴に参加していたはずのブルーがいた。
「師匠、何をしているのですか」
「ちっブルーか・・・もう少しでアサ姫を殺す事が出来たのに余計な事を」
マサキがブルーの方に向き直りながら言ったせりふを聞いたとき
ブルーは少なからずショックを受けていた。
自分の魔術の師匠がアサ姫を、いやクラ国王を裏切るはずがないと信じていたのであった。
「師匠、何故そのような馬鹿な真似を・・・まさか誰かに操られているのでは?」
「ふっふっふ、操られている?そんな訳があるまい。ここでアサ姫を殺しておかないと
第二、第三の勇者が召還されてしまうからな〜!」
そのセリフを聞いたブルーは、アサ姫がすぐに目覚めると言う事を確信した。
と同時に、自分の師匠が誰かに操られているのではなく、自分の意思でアサ姫を殺そうとしていた事が
わかってしまった。
「師匠・・・貴方だけは僕がこの手で倒します!」
「ふっふっふできるのかなおまえに、まあ良い、今夜はこのまま引いてやる。
私を倒したいのなら何処までも追ってくるがいい」
そう言うと、マサキの姿は闇に消えていった。
「まっまて!」
ブルーが魔術を使う間もなくマサキは完全に消え去っていた。
「ひとつ助言をしてやろう。魔術学校に行くが良い。そこで、新たな仲間に出会えるだろう」
闇の中から、消え去ったはずのマサキの声が不気味に響き渡っていた。
「・・・師匠、なぜなんですか」
落ち込んでいたブルーだが次の瞬間、宴の場からただならぬ気配を感じ取った。
「しまった!国王が危ない!」
次の瞬間ブルーは部屋を飛び出していた。

宴が盛り上がっていた時ふと妙な気配を感じた士郎は国王の元にきていた。
「士郎殿、いかがなされた?宴はまだ始まったばかりじゃぞ?」
不思議に思った国王が尋ねると、
「いや、変な気配がしたもんで・・・・どうやら気のせいだったようですね」
その時、いきなり殺気を感じた士郎は国王を突き飛ばした。
「士郎殿!何を・・・・」
国王が士郎に理由を聞こうとしたとき先ほどまで国王がまでいたところ
になんと無数の剣が飛来して刺さっていた。
「ふっふっふ・・・なるほど、奴の言う事は正しかったと見える」
何もない空間から、一人の騎士が現れた。
「きさま、何者じゃ!」
国王が叫ぶと、騎士は国王のほうを向き
「・・・ふっ死に逝くものが知る必要は無い・・・クラ国王よ我が主の為死んでもらうぞ!」
そう言うと騎士は剣を抜き国王に向かって振り下ろそうとしていた。
「まて、俺が相手だ!」
そう叫んだ後、士郎は剣を抜いて騎士に向かっていったのであった。
何度か打ち合っていると不意に騎士が面白くなさそうに剣を収めた。
「どういうつもりだ!」
士郎が、気を抜かずに騎士に向かって問いただすと、
「ゥゥつまらん。所詮伝説の勇者様とやらもこの程度かゥゥがっかりしたぞ」
まったくやる気の無くなったように騎士は士郎の事を無視し、国王のもとに向かって
歩き出していた。
「くっまて〜」
士郎が切りかかると、不可視の力にはじかれてしまった。
「無駄だと言ったはずだ・・・・私の力の前では貴様など虫けらと同じだ。しかし、見こみはある
どうだ、私と一緒に我が主に仕えぬか?そうすれば貴様だけは助けてやっても良いが?」
「ふざけるな!誰が貴様などに!」
「そうか、では死ねー!」
騎士は動けない士郎に向けて、数本のダガーを投げつけてきた。
もうだめだと思った瞬間、
「炎よ!」
ものすごい勢いで炎がすべてのダガーを焼き尽くしていた。
騎士と士郎がほぼ同時に炎が飛んできた方向を見た。
なんと、萌が魔術を使って士郎を助けたのであった。
「でっ出来た・・・私にも魔術が使えるんだ」
「萌・・・おまえ」
「ちっ勇者の片割れか・・魔術を使えるとは・・・・厄介だな
萌が魔術を使えると知って騎士は士郎や萌と距離を取った。
その間に士郎は態勢を立て直し、騎士に向かって剣を構えていた。
「くらえ〜!」
騎士は士郎の渾身の一撃を軽々とかわし、士郎を壁にたたきつけた。
「ふっふっふ、無駄とわかっていてもまだ向かってくるか。気に入ったぞ。
兵が集まってくると面倒だ、今夜は引き下がろう」
そう言うと、騎士は出てきた時と同じように空間に消えていった。
「士郎とか言ったな。国王の前にまず貴様から殺してやるぞ。首を洗って待っていろ
はっはっはっはっは」
虚空から騎士の声が聞こえてきた。

「士郎君。大丈夫?」
萌が駆け寄ってきて士郎の心配をしてくれていた。
「ああ・・・・なんとか無事だけど・・・萌すごいじゃないか!魔術が使えるなんて」
異世界にいた自分たちが魔術を使えると思っていなかった士郎は驚いていた。
「私も使えるかなんてわからなかったわ。でも、なんとなく使えるような気がしたの
でも士郎君のほうこそ剣の使いかた上手かったわよ」
「俺の場合は剣道部にいたからね。剣は一応使える気はしてたんだ。
でも君の魔術は別だよね・・・・なんで使えたんだろう?」
「それは、貴方に魔術の素質があったからでしょう」
ようやく到着したブルーが萌にそう教えてくれた。
「何処に行ってたんだよ!こっちは死にかけたんだぞ!」
士郎が今ごろやってきたブルーに文句を言ったがブルーの表情をみて、何かあったんだと理解した。
「国王様、少しお話が・・・・お人払いを」
妙に神妙な顔つきに何かあったんだと思った国王はブルー、士郎、萌以外の者をすべて人払いした。
「さて、ブルーよ、一体何があったというのじゃ?」
ブルーは国王の問いにたいして、少し間を置いてからゆっくりと語り始めた。
「・・・・実は宮廷魔術師筆頭のマサキ様が、アサ姫を殺害しようとしておりました」
ブルーの話しによると、マサキは何者かに仕えていて、勇者を呼ばれるのを恐れて、アサ姫を
殺害しようとしたらしかった。
ブルーは懸命に戦ったがマサキを倒す事は出来なかった。
だが、マサキは自分から引き下がっていった。
そして、魔術学校に行けという言葉を残して消えていったというのだった。
ブルーの報告を受けて国王は真っ青になった。
「・・・マサキほどの男が裏切るとは・・・信じられん・・・・」
国王は気分がすぐれぬと言って寝室に行ってしまわれた。
「で、こっちは一体何があったんだ?」
ブルーが士郎たちに聞いた。
志朗と萌は、ブルーに事の経緯を話した。
謎の騎士がいきなり何も無い所から現れてきた。
国王暗殺が目的で、剣の腕もすごいものだった
とうの話しをブルーに伝えた。
「・・・その騎士というのは多分闇騎士のことだろう」
「知っているのか?ブルー」
士郎が聞き返すとブルーは知っていると答えた。
「この世界には三つの国が在ったことは知っているだろう。
そのひとつであるフレイ国をたった一人で滅ぼした男だ」
「たった一人で?冗談だろ」
士郎は冗談だと思い笑って聞いていた。
「・・・嘘だと、誰もが思ったさ。だが、事実だったんだよ」
ブルーは淡々と語った。
「奴は必ず国王の前におまえを殺しにくるだろう。気をつけることだ」

次の日、国王のもとに三人が呼び出された。
「・・・・昨夜はすまなかった、今朝から真実を聞こうとマサキを探しているのだが見つからん。
どうやら、ブルーの申す事は正しかったようじゃ。そこで、君たちにはしばらく修行の意味もかねて
魔術学校に行ってもらいたい。士郎殿は魔法剣の修行を、
萌殿は魔術の使い方を、ブルーには有能な神官を探して欲しい」
国王が各自に今後の予定を言い終わるとブルーが国王に質問をしてきた。
「神官ですか?魔術学校に神官はいないと思ったのですが」
ブルーは元魔術学校の生徒だったので魔術学校の内部事情には詳しいのだった。
「近年は神官もたくさんいるのじゃよ。特に去年入学した者の中に優秀な人材がいるという
噂を聞いたことがある。その者をそなたに探して欲しいのだ」
納得したようにブルーはうなずいた。
「俺ももっと修行しないと奴には勝てない・・・あの闇騎士には・・・」
「私も魔術の勉強をして自由に使えるようにするわ」

士郎たちの修行がついに始まろうとしていた。
果たして、士郎たちは闇騎士たちを倒せるのか!
そして、新たにパーティーに加わる事になるだろう神官とは?
次回へつづく
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あとがき
時空の覇者 第四話 裏切りの瞬間 いかがでしたか?
今回からやっと敵さんが敵らしい事をしはじめた感じになってきました。
前回謎だった闇騎士やローブをきた男なんかも正体がわかってちょっと一安心と言ったところでしょうか
さて、今回出てきた単語で魔術学校と言うのがありましたがこの説明は次回詳しくやろうと思っています。
今回の話しは結構長くなってしまったので前後編にしようかと思ったのですが何処で切れば良いかがわからず
結局、一話構成にしてしまいました。
毎度思うんだが、文才が無いですね〜私って(TーT)まだまだ、勉強が必要という事ですね♪
では、今回判明した新設定の説明と新キャラのご紹介と行きましょう♪
まずは新設定から
主人公、実は剣道部主将で、全国大会でも優勝しているくらいの腕前と言う設定です。
萌、なんと魔術師の資質があったらしく魔術が使えるようになります(ただし攻撃魔術のみ)
マサキ、実は闇側の人間だったんですね〜。でもやっぱりなと思った方結構いると思いますよ(笑)
では、次に新キャラの説明をします。
宮廷魔術師、ブルー
今回出てきたのはブルーだけです。チャットで知り合ったお友達です。
私に小説を書き機会を与えてくれた5人のうちの一人です(笑)
・・・なんか伝説の人みたいな感じになってしまいましたが普通の方です。
とても面白い方なんですよ。
さて、今回から(前回も眠ってたけど)アサ姫はしばらくお休みモードです。
クラ国王もちょっとしか出なくなってきます。
不満だ〜!と言う意見もあるでしょうが長い目で見てやってください。
時空の覇者参加希望者が増えました♪
ささっちさんと、にゃんこさんです。
ですが、にゃんこと言う名前をどうやってキャラに反映させようか悩んでます。
どなたかアドバイス下さい。待ってます。

次回予告(?)
魔術学校に修行にきた士郎と萌とブルーの三人はそこで沢山の魔術師や魔法剣士に出会う。
しかし、彼らが探す神官にはなかなか会えないでいた。
そんな時、ブルーの元に謎の手紙が・・・
果たして、その手紙は罠なのか、それとも・・・
次回 時空の覇者 第5話 新たなる力
君は時空のたびに出る

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