時空の覇者 第二部 第十一話 和平の行方

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どらという護衛を味方に付けた桃の旅は驚くほど順調だった。
途中で夜盗等にも幾度も襲われたが、どらの剣技の前では夜盗など物の数では無かったのである。
そんな感じだったのでアクア国にはすんなりと到着した。
「ここがアクア国の首都セレスや」
どらが説明してくれた。
「ありがとうございますどら様」
桃はどらに礼を言った。
「変な子やな〜。ま、ええわ。ほならうちはこれでしつれするで」
そう言ってどらは立ち去ろうとした。
「待って下さい。一緒にお城まで来ては頂けませんか?」
「う〜ん・・・遠慮しておくわ、うちはもともと流れの傭兵やしな
 また機会が会ったら雇ってくれや」
どらは城とは逆の方向に向かって去っていった。
どらを見送った後、桃は城に向かって歩き出した。
その桃の後ろから先ほど去っていったはずのどらがひょっこりと現れた。
「さ〜って、報酬貰って次はどこにしようかな」
上機嫌でどらも城に向かい出した。

さて、時間は少しだけ戻るが、アクア国の会議室ではささの話が始まろうとしていた。
「では、まず私の事からお話いたします」
ささが自分の事を話すのはこれが始めてであった。
全員が静かにささの言葉を待っていた。
「私は光の神ルシーズの弟です。魔王カーズの封印が解かれる時それを阻止するために天上界から地上界に派遣されている三人の内の一人です
 私と、たま様、そしてだい様の三人です。ただ、この事を覚えているのは多分私だけでしょう。
 お二人には剣の腕と知識がそれぞれ残っていたようですね」
たまとだいはお互いに顔を見合わせていた。
二人ともぴんと来ない様子であったがささは話しの続きを語りはじめた。
「五年前、カーズ復活の予感がした私はカーズの復活を阻止するために奴の城に向かいました。
 そして、そこで梨木様にであったのです。その頃は安藤正樹と名乗っていましたがね
 彼がカーズ復活の準備を進めていたのを知った私はすぐに止めるように言いました。
 ですが、敵の魔術師マサキの術に落ち私は魔力を封じられ、記憶も無くしてしまいました」
ささがちらりっと梨木の方を見た。
梨木はすこし落ち込み気味にうつむいていた。
その姿を見たささは話しの展開を早めた。
「とまあ、後の事は皆さんが知っている通りです。私自身の話はこのくらいでしょうかね?」
一通り話し終わるとささは椅子に腰掛けた。
さすがに全員が考え込んでいた。
「ささ様。カーズを倒すにはどうすれば良いのでしょうか?
 倒す方法が分ればそれを実行するのが一番の近道でしょうからね」
クラがささに質問をした。
「カーズを倒すには覇王剣を使うのみです。この剣を使えるのは志朗様貴方だけです。
 この剣以外では物理攻撃は無意味です。
 後は、魔術による攻撃ですね。禁断の魔術『エクスクラメーション』ならあるいは・・・・」
ささの答えを聞いてアサが名乗りをあげてきた。
「私が使います!ささ様。その魔術を教えて下さい」
しかし、ささは首を横に振った。
「残念ですがアサ様には無理です。この魔術は・・・・私が使います」
志朗はささのちょっとした変化を見逃さなかった。
(・・・・多分魔術と引き換えにささは死ぬ気だ)
志朗は漠然とそんな事を考えていた。
カーズに対する方法がわかった時マイル将軍が質問をした。
「ガイスト共和国はいかがいたすのでしょうか?カーズの事も重要ですがこちらの国も放っては置けないと思われますが」
「その点は大丈夫だろう。ガイスト共和国からの使者として現在桃姫がこの国に向かっておる。
 おそらく和平の使者だろう。桃姫さえ到着して下されば敵はカーズのみになる」
クラの発言にブルーも驚いていた。
実はブルーは使者がくると言う事は聞いていたがその使者がまさか桃姫だとは思ってもいなかったのである。
そんな話をしていると、一人の兵士が会議室に入ってきた。
「失礼いたします。ただいまガイスト共和国より、桃姫様が御到着いたしました。
 ブルー国王陛下にお会いしたいとの事ですがいかがいたしましょうか?」
「わかった。すぐに会うといたそう。謁見の間にお通しするように」
兵士は礼をするとすぐに去っていった。
ブルーとアサも席を立ち謁見の間に向かった。
志朗達も会議室にいても仕方ないので謁見の間に移動した。
最後に部屋を出ようとしたクラはしばらく地図を見ていたが、 「無事に到着したようですね。保険が利いたかな?」
と、静かにそうつぶやいていた。

謁見の間にてしばらく待っていると桃が入ってきた。
「ブルー国王陛下、お久しぶりでございます。この度は謁見の機会を与えていただきありがとうございます」
「堅苦しい挨拶はぬきでお願いいたしますよ桃姫様。私は窮屈が嫌いな者でしてね」
ブルーがそう言ったので桃もすぐにいつもの調子に戻った。
「そう?良かった。私も苦手なのよね。でも、王様になるなんて出世したわね(笑)」
桃とブルーは昔、同じ魔術学校で学んだ仲だった。
しばらく昔話で盛り上がっていたが、大臣が止めに入ってきたのでいったん打ち切った。
「さてと、桃姫様。本日のご用件をお聞きしたいのですが?」
いつのまにか部屋に戻ってきてたクラが要件を聞いてきた。
「はい、要件は我が国との永続的な和平の事です。
 この戦乱の世を治めるためにもこの申し出をお受け願いたいのです」
ブルーはすぐに了承しようとしたがクラが止めにはいった。
「失礼だが、先に宣戦布告をしてきたのは貴方の国です。
 これについてはそう説明いたすおつもりかな?」
クラの追求を受けて桃は狼狽した・・・・
「そっそれは・・・申し開きはいたしません。ですが国民全てが戦争を望んだ訳ではないのです」
桃が困っているのを楽しんでいるようにクラは笑っていた。
「はっはっは。いや失礼しました。少し試させてもらっただけです。
 気を悪くしないで下さい。これも我が国を守るためです」
クラは桃に謝罪した。
この瞬間にガイスト共和国とアクア国の和平が成立した。
その夜は、和平成立を祝って盛大なパーティーが開かれた。
「しかし、なんだかいつも宴会やてないか?」
志朗がそう言っているのを萌は隣で嬉しそうに聞いていた。
「そうね〜、でも良いんじゃないのかな〜。こんな時だからこそみんな楽しく生きたいんじゃないかな〜」
なるほどと感心しながら志朗は萌の横顔を見ていた。
(やっぱり態度ははっきりさせた方が良いよな)
決心したように志朗は萌に話し掛けようとした。
だが、そのタイミングは梨木によって壊されてしまった。
「萌さん、お久しぶりですね。実に五年ぶりといった所ですか」
「あっ!梨木君。高校の時以来だね。元気でやってた?」
「ええっ、無事に就職して働いてたんですけどね〜・・・・」
暗い会話をしてしまい、二人の間に沈黙が生まれてしまった。
だが、周りはパーティーで盛り上がっていた。
(こういう時の沈黙ってどうしようもないな)
志朗は先ほど持ってきた料理を食べはじめていた。
しばらく、眺めていようとしたがその沈黙はすぐに消えてなくなった。
「そっそういえば梨木君は結婚してるの?」
「ああ、去年結婚したよ。会社で知り合った人とね。さてと、他の人に挨拶してくるとするか」
萌の質問に答えてから梨木は別の人の所へいってしまった。
梨木が去っていった後、志朗は萌の近くにきていた。
「梨木は結婚していたのか・・・・」
「そうね、私たちぜんぜん知らなかったわね」
またしても二人の間に沈黙が出来てしまっていた。
(今言っておかなければ)
もう一度決心した志朗は思いきって萌に話し掛けた
「萌、もし無事にもとの世界に戻れたら・・・その・・・俺と・・・」
志朗がしどろもどろになってるのを見て萌は楽しそうな顔をしていた。
「え?はっきりいってくれないと聞こえないよ♪」
しっかり聞こえていたのだが少しからかいたい気分だった萌は、そう答えていた。
志朗はますます声が小さくなっていった。
「だから・・・・・その・・・・えっと・・・・」
「ふふふ。ごめんちゃんと聞こえたよ。私も志朗君と一緒に・・・・」
二人の様子を覗き見るかのような感じでたっきーと瑠璃は見ていた。
「良いな〜。私もあんな風に言われてみたいな」
瑠璃の一言はたっきーにショックを与えていた。
(あの時いった俺の台詞って一体?)
たっきーがショックを受けていると瑠璃がたっきーの方に向き直ってきた。
「ねえ、私にもいつかきちんと言ってね」
「えっ?」
たっきーはしばらく呆然と考え込んでしまった。
瑠璃とたっきーのペアもどうやら上手くいきそうだなとブルー&アサが貴賓席で思っていた。
その時、クラがブルーの近くにきていた。
「ブルー様、少しお話が・・・・・」
ブルーとクラはそっと会場を抜け出し、テラスで話をしていた。
「クラ様、一体どうしたのです?」
「落ち着いて聞いて下さい。ガイスト国がカーズによって滅ぼされました。
 王家の者はみな処刑されたとの事です」
ガシャ〜ン
ブルー達の後ろで、ガラスの割れる音がした。
ブルーとクラがその方向を見ると、そこには桃がたっていた。
「そんな・・・・お父様が・・・・ガイスト国が・・・・崩壊した?」
桃が信じられないという顔でこちらを見ていた。
「嘘ですよね?まさか・・・・そんな」
「桃姫様。・・・・残念ですが事実です。先ほど偵察に出していた者がそう報告して来ました
 しかし、変なのです。城の兵の半数以上が国境付近でカーズの軍と戦闘中だったというのです
 しかも、一度も戦う事無くただにらみ合いをしている模様らしいのです」
クラの報告を聞いて桃ははっとした。
「クラ様。その軍を指揮しているのは大臣のくうるじゃないですか?」
「はい、くうる様自ら指揮を取っております」
やっぱりという感じで桃は苦い表情になった。
「ブルー様。申し訳ありません。恐らくカーズとくうるはつながっております
 我が国の兵力もそっくりカーズ軍に引き込むつもりなのでしょう」
それを聞いた時ブルーに衝撃が走った。
今でも兵の数では負けているというのに向こうは一気に兵力の増大を図っていたのだった。
(長引けばその分こちらが不利になるか・・・・)
そんなブルーの考えを悟ったのかクラが進言してきた
「陛下。一刻も早くカーズと決着をつけましょう!」
クラの提案はすぐに了承された。
次の日、カーズ妥当のための作戦会議がおこなわれた。
今ここに、カーズとの最終決戦の幕が切って落されたのだった

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あとがき

・・・・・・・
いや〜、小説って難しいね〜・・・・
毎回思うけど話を続けるって大変だ〜♪(でも結構楽しんだ〜♪)
おっと、あとがきだ〜。さてと、がんばるぞ♪
(ちょっと身だしなみを整えている)
え〜皆さん、時空の覇者 第二部 第十一話 いかがでしたでしょうか?
今回はGWを挟んだので作者が前の話を忘れるというハプニングが起りました(笑)
前回の話を読み直せば良いだろとおっしゃる貴方!鋭いですねえ〜
でも、結構大変なんですよ〜(T-T)
という訳で、じっくりとは読まずにちょこっと読んで作って、またちょこっと読んでの繰り返しで作った作品になってしまいました
でも、今回は結構旨くいったな〜と作者としては思ってます。
志朗君と萌ちゃんの絡み、梨木君の良いタイミングでの登場(笑)
たっきー君と瑠璃さんの良い感じの展開。
桃が錯乱しないでブルー&クラと話す場面。
今回は見所たくさんですね(笑)(どうせ誰も読まないと思うけど(T-T))
これを書いている時って、いつもあとがきって欲しいのかな〜?と考え込んでしまいます
ほんとの所どうなんでしょうね〜?いろんな所に見にいってもあとがきなんて書いてないしね。
まっ、私は私という事ですかね♪
では、時空のトークタイムのお時間です♪
今日は誰がくるんでしょうかね〜。

作者「え〜っと今日のゲストは・・・・・いない(T-T)」
ナレーション(瑠璃)「どうするんですか?誰も居ないんじゃ会話できませんよ?」
作者「仕方ないじゃないか〜みんなそこで気を失ってるんだもん」
ナレーション(瑠璃)「(全部貴方がやったんじゃないか)」
作者「うん?何か言った♪」
ナレーション(瑠璃)「いいえ〜なにも言ってないですよ♪」
作者「う〜ん・・・・しょうがない次回作の宣伝でもするか」
ナレーション(瑠璃)「次回作?まだなにか作る気あったんですか?」
作者「どういう意味だ!私は自分が飽きるまでは色々作るぞ!」
ナレーション(瑠璃)「はぁ、そうですか。で次回作はどんなお話なんです?」
作者「次回作は、『もしもの世界(仮)』です。この話は主人公が色々な世界を見てまわるという訳が分らん話です」
ナレーション(瑠璃)「ほんとに訳のわかんない作品ですね〜」
作者「はっはっは、まあ気にしないでくれ♪訳がわかんないのは私の作品では良くある事だから♪」
作者「さて、もう少し説明しよう。人は色々な事を選択して生きている。
   事の大小に関わらず絶えずなにかを選択している、そして、選択された方は現実となって物語は続いていく。
   では、選ばれなかった方はどうなるのだろう?そして、もし選ばれ無かった選択肢の世界が存在したら?
   とまあこんな感じの世界設定にしようかと考えてるよ♪ただ、設定が難しくてね〜(T-T)
   やって見たいけど上手く書けないという状況なんですわ(T-T)」
ナレーション(瑠璃)「はぁ、なんだかすごく難しいですね〜。まあがんばって下さい」
作者「はい。ってそれだけ?他にはなんか無いの?私も登場したい〜とかさ〜」
ナレーション(瑠璃)「その辺は作者の気分ですから、さてそろそろお別れのお時間です。では、次回のお話でお会いしましょう」
作者「まて〜!ほんとに何も無いのか〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ナレーション(瑠璃)「作者の叫びは遥か彼方まで響き渡っていた」

次回予告
ついに、カーズと決着をつける時が来た。
ブルー達はガイスト共和国を解放するために一路ガイスト共和国に向かっていた。
ブルーたちを待ちうけていたのはガイスト共和国の大臣くうるだった。
一方、志朗と萌、ささ、梨木の四人はブルーたちとは別行動を取りカーズの城へと向かっていた
そして、志郎達の前にはにゃんこが復讐の念にかられて待ちうけていたのだった
果たしてブルー達はくうるとにゃんこを倒しカーズの野望を止める事が出来るのだろうか?
次回 時空の覇者 第二部 第十ニ話 光と闇の存在意義
君は時空の旅に出る。
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