時空の覇者 第二部 第六話 カーズの野望

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「今から五年前。そうちょうど志朗様が闇軍団の安藤正樹を倒した直後の事です
 世界は平和を取りもどしました。
 私は正樹の居城を調査するように部隊を編制し派遣しました。
 わずかながらの抵抗はあったものの無事に制圧し、内部の調査に向かったのです。
 そして、兵達は一つの魔法陣を発見しました。
 それは、古の魔術でアクア国の一部の者しか知ら無いはずの魔術でした。
 私はすぐに破壊を命じました。しかしその魔術は発動した後あったのです。
 それから五年もの間は何もおきませんでした。
 ですが、最近になって再び正樹の居城に闇軍団の生き残り達が集まり出したのです」
クラの話を遮って志朗が疑問点を質問した
「その魔術って言うのはどういう効果があるんだ?」
クラは少し考え込んでいた。
「・・・・・これを聞いてしまうと貴方も巻き込まれてしまいますよ?それども良いのですか?」
志朗は無言で頷いていた。たっきーと瑠璃も同じ気持ちだった
「では、・・・その魔術とは魔王カーズの召喚魔術です。
 言い伝えによると一度発動してしまえばその召喚者を倒すまで効力はあると言われています。
 しかし、召喚したものが誰なのか我々には見当がつきません。
 時期的、時間的に考えても召喚したものは正樹であると言う予測は出来ますが正樹は志朗様が倒したはずです
 効力はきれていても良いはずなのですが」
志朗、ブルー、アサの三人はお互いに青ざめていた。
「・・・・生きてるんだ」
志朗はそれだけの言葉をやっと口に出せていた。
その後をブルーが引き継いだ。
「梨木は・・・正樹は生きているんだ地球でな」
ブルーは梨木の事を話しはじめた。
それを聞いてクラは驚いた。
「なんと!では、魔法陣の効力が消えていないのも納得が行きますな」
クラは何かを考えるようにそれ以降黙り込んでしまった。
「・・・・まさか梨木が。魔王カーズか、召喚者を倒す以外の解決策はないんだろうか」
志朗は全員に聞いた。
だが、答えを返せるものはいなかった。
「・・・・一つだけ方法があるかもしれない。だが、現在の状況では絶対に出来ない方法だが」
たまがそう言い出した。
「なにか方法があるのか?教えてくれ」
「ちょっちょっと待てよ志朗。今説明するから」
取り乱している志朗をなだめてからたまは話しはじめた。
「アクア国に秘密の魔術が伝わっているようにウィン国にも一つ古の魔術が伝わっているんだ
 それは、光の神の召喚魔術だ。
 だが、この魔術を使えるのは純潔の女だけなんだ。
 昨日、話を聞いたんだけど今この世界でこの魔術が使えるのは萌だけだと思うんだ
 だが、その萌は・・・・」
「なるほど、萌を無事に救出しないと使えないって事か」
ブルーが納得した。
「・・・純潔の・・・・では私にはもう無理ですね」
アサがそう言った時ブルーの顔が赤くなったのをたまは見逃さなかった。
「そうだな〜ブルーのせいでね」
たまの会心の一言でその場の雰囲気が少し軽くなったようだった。
「あの〜私ではだめなんでしょうか?」
瑠璃がおずおずと名乗り出てきた。
「う〜ん、純潔というのは良いんだけど魔力が低いんだ。君では魔術を発動できない」
たまにそう言われて瑠璃はがっくりと落ちこんでしまった。
「大丈夫だって、瑠璃には瑠璃の出来る事があるさ」
たっきーが瑠璃を慰めていた。
実は、ここにくるまでにも瑠璃は何度か落ち込みかけたがいつもたっきーの一言で元気になれたのだった
「うん!ありがとうたっきー」
瑠璃に笑顔が戻ったのを嬉しそうにたっきーは見ていた。
「さて、当面の目的は萌を助け出す事だな」
ブルーがそう言うと全員が頷いていた。
「陛下大変です!敵が攻めてきました。その数およそ六万」
一人の兵士によって敵の襲来が知らされた。
「わかった。クラ様、指示をって・・・あれ?クラ様?」
「あっあの〜クラ様なら先ほどから戦闘の指揮を取っておいでですが?」
「へっ?そうなの?さっきまでここにいたような??」
兵士に言われて唖然としてしまったブルーの姿を見てアサは面白そうに笑っていた。
他のメンバーも笑い出していた。
「では、迎撃のでますか」
志朗はだいと共に正門の所まで走っていった。
「あっ。待て下さいよ〜私も行きますよ」
たっきーと瑠璃はすこし遅れて走り出していた。
「やれやれ、じゃ俺はクラ様の援護でもしようかな
たまは指揮を取っているクラの所に向かった。
「みんな・・・くそっ!俺も行きたい」
「陛下・・・・」

「いけ〜!アクア国さえ落せば他はすぐに片付くはずだ!」
先発隊の指揮を取っていたのはサリスであった。
サリスの率いる先発隊は約五千の兵で構成されていた。
その軍の統率は見事なものでまったく無駄無くアクア国の首都セレスに向かっていた。
「サリス様、前方に敵の部隊です。数はおよそ二千」
偵察兵が前方の様子を知らせてきた。
「二千?妙だな。こちらは総勢六万はいる。先発隊だけでも五千はいるんだぞ」
(妙だな、アクア国にはにゃんこの軍が一度全滅させられているからな。ここは様子を見るか)
サリスは軍を停止させしばらく休息を取る事にした。
その光景を丘の上で見ていた部隊があった。
志朗、たっきー、瑠璃が率いるアクア国魔術師団第四軍であった。
「驚いたな、ほんとに休息を取ってるぞ」
志朗はクラの言葉を思い出していた。
(志朗様はこの丘で敵をお待ち下さい。敵はこのあたりで休息を取るはずです。その時に一気に攻め込んで下さい
敵は退却するでしょうからそれを10分ほど追撃して下さい)
よくわからない命令だったが志朗はそれにしたがっていた。
「クラ様の策、見事に当たりましたね」
たっきーは感嘆の声を上げていた。
「よし!行くぞ〜!」
志朗の率いる軍は一気に攻め込んだ。
「何事だ!」
事情を聞くためにサリスは手近にいた兵士を捕まえた。
「てっ敵です。丘の上から襲撃されました」
「ばっばかな見張りはどうしたのだ?」
「そっそれが何者かに眠らされていた模様です」
サリスは驚愕の色を隠せないでいた。
(一体いつのまに?まっまさか我々がここで休息する事も読んでのうえか)
「よし、本体と合流するぞ。急げ!」
退却の命令を聞いた兵達は我先にと逃げ出しはじめてしまった。
「よし、敵は逃げたぞ!追え〜」
志朗の軍も追撃を開始した。
だんだんと追いつめられるサリスであったがなぜかサリスには嬉しい気持ちが湧き起こっていた
(なんだ?私はなにを嬉しがっているのだ?)
自分ではわからない感情のためにサリスは混乱していた。
「よし、これくらいで良いだろう戻るぞ!」
志朗の率いる軍はさっと引き上げていった。
「助かったのか?」
サリスは一息つこうと馬を下りた。
そして、散り散りになっていた部下が集まってくるのを待っていたのだった。
「ふ〜、ここまで徹底的にやられるとかえって気分が良いな」
しかし、サリスは自分の休んでいる所がだいの率いる部隊に囲まれている事は知らなかった。
「クラ様の策は見事だな。まさかここまで上手く行くとは。
 良いか敵将サリスは絶対に生け捕りにしろ!突撃〜」
だいの部隊は一気にサリスに向かって突撃してきた。
「なっ!ここにも敵兵がいただと。敵の軍師は一体何者だ?」
必死に抵抗していたサリスだったがさすがに逃げ切れず対に捕まってしまった。
「よし、城に戻るぞ!急げよすぐに本体がくるはずだ」
だいの部隊は城に向かって急いで出発した。
城では、それぞれの部隊が無事に戻ってくるのをクラが待っていた。
既に、志朗の部隊は戻ってきていた。
後はだいの部隊が戻ってくれば全ての部隊が帰還した事になるのだった
「クラ様きました。だい様の部隊です!」
最後の部隊が無事に戻ってきたのを知りクラは安堵のため息をついた。
「クラ様、ただいま戻りました。作戦は大成功です。見事敵将サリスを捕らえてきました」
「おお!それは見事ですな。では、申し訳ありませんがこの鎧と兜を壊して下され。
 私の集めた情報によるとこの鎧と兜が人を操るらしいのです」
だいはすぐに剣を構えて鎧を壊そうとした。
だが、鎧は壊れ無かった。それどころかだいの剣の方が壊れてしまった。
「こっこれは、伝説の金属メタルで出来ているのか。う〜む。これでは伝説の剣でもないと無理じゃな」
伝説の剣、それは五年前志朗が使っていた剣の事である。
正樹との死闘の後、剣は再び二つに分かれ今はアクア国とウィン国が一本ずつ保管していたのであった。
クラは伝令を呼びだした
「ウィン国に行って風神剣を借りてまいれ。頼んだぞ」
伝令はすぐにウィン国へ向けて出発した。
「ごくろうでしただい様。次の作戦まで部屋でゆっくりと休んで下さい」
だいは礼をしてから自分の部屋に戻っていった。

「カーズ様、サリス様の先発隊が敗走いたしました。そしてもう一つ悪い知らせが
 サリス様が敵に捕まりました」
報告を聞いてカーズは激怒していた。
「サリスが捕まっただと!マサキを呼べ!」
「既にお側におりまする」
マサキは闇の中に姿を現した。
「マサキ!貴様なぜサリスを助けなかった!このままでは奴が召喚されてしまうではないか!」
カーズのものすごい剣幕にマサキは臆する事無く返事を返した。
「カーズ様ご安心下さい。サリスには一つ魔術をかけてあります。もし、我々を裏切ればたちまちその魔術が彼女を殺すでしょう」
マサキはそう答えると、不気味な笑い声をあげていた。
マサキの返事を聞いてカーズは少し落ち着いたようであった。
「・・・そうか、よし!マサキよ。にゃんこと共に本隊を使いアクア国を滅ぼしてくるがよい。
 にゃんこよ、今度はしくじるなよ!」
「はは〜。お任せ下さいにゃ。必ずやアクア国を落してみせますにゃ」
マサキはにゃんこの隣で同じように返事をしていた。
そして、二人はアクア国に向けて進軍を開始した。
アクア国に、総勢6万の軍勢が攻めてくるのは時間の問題だった。

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あとがき
・・・・・・・
今回は結構色々あったな〜。サリスは負けちゃうし。アクア国は結構強いし
おや?あとがきの時間だね
(ちょっと身だしなみを整えている)
コホン。え〜皆さん、『時空の覇者 第二部 第六話 カーズの野望』いかがでしたでしょうか?
今回は結構カーズ軍、ブルー軍ともに結構出番がありましたね♪
それに、生徒会長のことがちらっと出てきましたね〜♪
え〜っと今回は新キャラが出てないんですよ(T-T)
参加希望があったのに今まで忘れてしまっていた桃様。申し訳ありません(T-T)
必ず登場させますので、もうしばらくお待ち下さい。
さて、今回はこれと言って書くネタもあんまり無いんでいつものようにゲストをお呼びいたしましょう

作者「今日のゲストは・・・・・・あれ?さっきまでここにいたのに?」
キョロキョロ(辺りを捜す作者)
マサキ「・・・私を探しているのか?」
作者「おわっ!いたんですね・・・え〜改めまして。本日のゲストはマサキさんです♪」
マサキ「ふっふっふ。マサキだ。よろしくな」
作者「(暗い奴だな〜)ええ〜っとマサキさんはかなり早くからご出演されてますね。ここまでの感想はいかがですか?」
マサキ「感想?そうだな。最初は良い奴っぽく登場してたのになんで途中で悪役になったか疑問だ」
作者「(ぎくっ)いっいや〜その件についてはまた今度と言う事で・・・」
マサキ「今度とはいつの事なんだか・・・・」
作者「でっでは、別の質問に行って見ましょう」
マサキ「・・・・・・・」
作者「え〜っと、にゃんこさんとは上手くいってるんですか?」
マサキ「にゃんこか・・・・あいつは緊張感を壊してくれるからな、萌といい勝負だ」
にゃんこ「にゃんてことを言うにゃ!我輩はいつもまじめにゃ!」
サリス「私をこんなネコといっしょにするな!」
マサキ「・・・・なんでお前らがここにいるんだ?」
作者「なっなんで出てきたの?」
にゃんこ・サリス「さっきの発言を撤回させる為だ!。にゃ!」
マサキ「・・・うるさいやつらだ。しかも、しっかり復活しやがって!」
作者「・・・・作者を無視するとは良い度胸だ」
ばきっ!どかっ!ばごん!
ナレーション「マサキ、にゃんこ、サリスは気を失った」
作者「・・・はぁ、はぁ。ったく萌は一度倒れてんだから復活するなよな!」
サリス「・・・いっ今はサリスだから・・・」
バキッ!
ナレーション「サリスはとどめをさされた」
作者「・・・・はぁ、はぁ。ったく。では、次回の作品でまたお会いしましょう♪」

次回予告
ついに萌を敵の手から取り戻す事が出来た志郎達。
しかし、萌にかけられた魔術が萌の意識を奪っていた。
さらに、マサキ、にゃんこの率いるカーズ軍の本隊がセレスに迫る!
またしてもクラの策は成功するのだろうか? そして、志郎は萌を元に戻せるのか? アクア国の存亡をかけた最大の戦いが今始まる
次回 時空の覇者 第二部 第七話 マサキの策略
君は時空の旅に出る。
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