時空の覇者 第二部 第一話 別れは突然に

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さよなら志朗君」
萌が志朗にそう言っていた。
「まっ待ってくれ、なぜなんだ?」
志朗は必死に追いかけたが萌は闇のかなたにどんどんと遠ざかっていった。
「待ってくれ〜。萌〜!」

がばっと志朗はベットから起き上がっていた。
息が荒く、鼓動がどきどきしていた。
志朗は周りを見まわした。
いつもの、部屋だ。そして隣には・・・ ・・・う〜ん。どうしたの〜、こんな朝早くから」
萌が起きてしまった。
「ごめん、起こしちゃったかな?ちょっと変な夢を見てね」
志朗は変に気を使わせないようにと無理に笑顔を作っていた。
萌は志朗が無理をしているのだと気づいたが何も言わなかった。
「ちょっと待ってて。今お茶でもいれるわ」
「ああ、頼むよ」
萌は台所に行ってしまった。
(一体あの夢は?そんなわけ無いよな。萌がいなくなるなんて)
そう思っていたが志朗は不安になってしまい台所に向かっていた。
台所では、萌が紅茶を入れていた。
その姿を見た時、志朗は安堵のため息をついていた。
「どうしたの?待っててくれれば良かったのに」
「いや、なんとなく君の顔が見たかったんだ」
志朗の発言にちょっとびっくりした萌は恥ずかしくなってしまった。
「あっもっもうすぐ出来るからリビングで待ってて」
萌はおろおろしながら紅茶を入れていた。
「良いよ、出来るまでここにいるよ」
志朗は椅子に腰掛けて萌をじっと見ていた。
・・・・しばらくして、紅茶が出されてきた。
紅茶を飲んで一息ついた所で萌が聞いてきた。
「ねえ、どんな夢見たの?」
萌の質問に志朗は答えようとしたが口に出しては行けない事のような気がした。
「・・・ごめん。何でもないんだ」
志朗の答えにちょっと残念そうだった。
「そう、じゃ、話せる時に話してね」
萌は志朗にそう言ってお茶会は終了した

「アサ様そろそろ、お城に向かいませんと・・・・」
エクセルが、アサを呼びに来た。
アサとは、フォックス大陸にある三大国家の一つアクア国の姫君である。
つい先日まで、宮廷魔術師のブルーと共に行方不明になっていたのだが、
いなくなった時と同じようにふらっと戻ってきたのであった。
心配になったクラ国王はアサに秘密である事を行っていた。
そして、クラ国王の準備も整い、こうしてアサを城に呼んだのだった。
・・・・・・
しばらくして、アサがセレスの都に到着したとの知らせが届いた。
クラは兵士にブルーを呼んでくるように命じた。
ブルーが国王の前に来た時には既にアサが参内していた。
「クラ国王様、アサ姫様。お呼びとの事で参上しました」
ブルーが丁寧に挨拶すると、クラ国王の隣でアサはにこにことしていた。
その表情を見た時「何かあるな?」とブルーは思った。
「ブルーよ、行方不明だった時の状況はアサからも詳しく聞いた。
 よくぞ、娘を守ってくれた。礼をいうぞ」
「はっ、ありがとうございます」
隣で聞いていたアサはますます笑顔になっていった。
「さて、今日おぬしを呼んだのは他でもない。この国の新たな王になる気はないか?」
クラの発言に重臣達がどよめき出した。
もちろん、ブルーもいきなりそのような事を言われて言葉を失っていた。
「静まれ!この国はより魔力の高い者が王につくのが習わしだ。
 ブルーよ、そなたなら出来るはずだ。どうか引き受けてはくれまいか?
 それに、アサも喜んでいる事だしの♪」
「おっお父様・・・・何を急に・・・・わっ私は・・」
アサは照れくさそうにそっぽを向いてしまった。
ブルーは、王の考えをこの一言で理解した。
クラの考えでは結婚してくれれば今迄のようにいきなり消えたりはしないだろうと考えていたのであった。
しかし、そんな簡単に引き受けて良いものだろうかと思案していた所、
「ブルー様は私がお嫌いなのですか?」
悩んでいるブルーにアサが決め手となる一言を放っていた。
「いっいえ、決してそのような事は」
この一言で全てが決まった。
その日、いきなりではあるがアサとブルーの結婚式が行われた。
急に決まったのにしっかり準備がされていたので不思議に思っていたアサとブルーであったが
クラ様が準備を進めていたんですよと言う話を聞いて納得した。
(今日から私がこの国の国王・・・・・責任重大だな)
ブルーが悩んでいるのをアサは知っていた
「ブルー様。一緒にがんばりましょうね」
そのアサの一言が何よりも嬉しかった。
(そうだ。アサ様もいらっしゃる。何としてみるさ)
ブルーは覚悟を決めていた。

結婚式の次の日、アクア国の首都セレスはブルーとアサ姫の結婚の話で持ちきりだった。
「そっか〜、あの二人結婚したんだ。ようやくだな♪」
「ああ、あれから、もう5年か・・・早いものだな」
剣士風の男と、神官風の男が酒を飲みながらそんな事を話していた。
「どれ、じゃちょっと挨拶にでも行ってくるか」
神官風の男が立ちあがると剣士の方もまた、後についていった。
二人は城の方に向かって歩いていった。
城では、新国王誕生のため、色々な引継ぎで大忙しだった。
「う〜ん、出直した方が良いのかな?」
神官がそう言った。
「そうですね、では、宿の手配をしてきましょう」
剣士が宿の手配に行こうとした時、二人を呼び止めたものがいた。
「あの、だいさんですよね?姫・・・ではなく王妃様がお呼びです」
剣士風の男の名前はだいと言った。
元フレイ国、第一王子にしてフレイ国最強の剣士だった男である。
一時期は志朗たちの敵になっていたが、今ではこの世界を救った英雄の一人である。
「わかりました、レンスター様参りましょう」
レンスターと呼ばれた神官はすごい勢いでだいの所に近づいてきた。
「だい君。私の名前はタマって言うんだけどな〜。もう忘れちゃったのかな?」
顔は笑顔だったが、行動はだいの首を絞めていると言う凶悪なものだった。
こくこくと頷いたのを確認してタマはだいの首を離した。
タマと呼ばれた神官は、ウィン国の第一王子である。
だが、王位を継ぐのを嫌って、家を飛び出していたのだった。
そんな彼も世界を救った英雄の一人であった。
現在は、萌が付けてくれたタマと言う名前が気に入ったのかその名前を使っている。
ちなみに、本名はレンスターと言うらしい。
「しかし、レン・・じゃなかったタマ様。国に帰らなくてもよろしいのですか?」
だいはそう言っていた。
実際に、フレイ国とウィン国は滅亡してしまったが、ウィン国のらま女王の努力のかいあって、
復興の兆しが見えてきていたのだった。
しかし、フレイ国は残念ながら復旧作業を行っていなかった。
なぜなら、クラもらまも自国の建て直しで忙しかったからであった。
そのせいでフレイ国があった辺りは夜盗の巣窟になってしまっていたのだった。
「お二人とも、お久しぶりですね」
アサの前に案内されただいとタマはお互いに挨拶をしていた。
挨拶が終わった所で新しく国王になったブルーが現れた。
「やあ、二人ともウィン・アクア戦役以来だね。元気だったかい?」
「ブルー国王様、お久しぶりでございます」
タマがわざとらしくそういうと、四人とも笑い出していた。
その夜は、四人で世間話をしていた。

「今日は何にしようかしらね♪」
萌は、晩御飯の買い出しに来ていた。
志朗と一緒に暮らすようになって、早3年がすぎていた。
萌は一日の中でこの瞬間が一番好きだった。
「今日はカレーにしましょうね♪」
カレーの材料を買い、家に帰ってくると見覚えのあるかっこの人物がそこにいた。
「ふふふふ。探したぞ、安藤様を倒した六人のうちの一人、萌だな?主の命により迎えに来た。
 一緒に来てもらおうか」
「貴方、フォックス大陸の人間ね。どうしてここにいるの」
「貴方を迎えに参ったのですよ。萌様、私と一緒に来ていただきましょう」
魔術士風の男はそう言うと萌に飛び掛かってきた。
必死に抵抗したが萌にはなすすべはなかった。
「しっ志朗君・・・・助けて・・・・」
その時、玄関のドアが開き、志朗が帰ってきた。
「ただい・・・・貴様何者だ!」
異変に気づいた志朗は臨戦態勢を整えていた。
「ふっ、六英雄の一人志朗か、残念ながら貴様には用が無い。さらばだ」
魔術師はそう言うと召喚呪文を唱えていた。
「まて、萌を離せ!」
志朗は飛び掛かろうとしていたが一瞬遅かった。
術は発動してしまい、志朗と萌は再びフォックス大陸に召喚されていた。
だが、一瞬遅れてしまったためか志朗と萌は別々の場所に現れたようだった。
辺りを見まわしたが謎の魔術師と萌の姿は見つからなかった。
「くそっ!やつはどこだ?、それにここは、またあの国に来てしまったのか?」
仕方なく志朗は近くの町まで行く事にした。

街についた時志朗は自分の目を疑った。
魔術学校があったのであった。
しかも、完璧に復元されていた。
志朗が立ち寄ると、生徒達が集まってきた。
伝説の勇者を一目見ようと言うのであった。
「こまったな〜・・・」
志朗が困っていると見知った人物が仲裁に入ってくれていた。
「こら!授業に戻りなさい」
その人物こそ、先の戦乱で死んだと思われたささ校長であった。
「お久しぶりですね志朗様」
「ささ校長こそお元気そうで。ですがあの時がれきに押しつぶされたんじゃ?」
ささの話によると、あの時瀕死の重傷を負ったものの生徒達の回復魔術によって何とか助かったと言うのだ
(う〜ん、さすがファンタジー、何でもありだな)
そんな事を志朗は考えていた。
「今日はどうしたのですか?話によると元の世界にお戻りになったと聞いていましたが?」
ささの質問に志朗は淡々と答えていた。
「・・・・と言う訳です。校長、萌がどこに行ってしまったかご存じないでしょうか?」
「申し訳ありませんが私にもわかりません。ですが、アクア国に行ってみてはいかがでしょうか?
 あの国ならなにか対策を立てられるかもしれません」
アクア国、懐かしい名前を聞いて志朗の脳裏にブルーとアサとクラの顔が浮かんでいた。
(みんな元気かな)
「わかりました。早速行ってみます」
志朗は早速アクア国目指して出発しようとした。
「あっと、ちょっとお待ち下さい。共を一人お付けいたしましょう
 高木君をここへ」
しばらくして、高木と呼ばれた青年が入ってきた。
「紹介します、この学校での一番の魔術師、高木君です。どうかこの者をお連れ下さい」
校長の紹介に続いて高木が挨拶をした。
「高木と申します。ちょっと硬い名前なので気楽にたっきーと呼んで下さい
 今後ともよろしくお願いします」
みょうに明るい性格をしているなと感じながらも志朗は高木と一緒にアクア国に向かって出発した。

一方その頃、謎の魔術師に連れ去られた萌はある人物の前にいた。
「貴方は、なぜ?死んだはずよ」
萌の視線の先には闇魔術師マサキの姿があった。
「ふっ私は死なんのだよ」
マサキはそれだけを言って後は黙っていた。
「それに、・・・・・もうだめ・・・我慢できない・・・きゃ〜♪おっきい猫ちゃ〜ん♪こっちも無事だったんだ〜♪」
相変わらず場の雰囲気を壊す事にかけてはすばらしい技能を持っているなとマサキは感じていた。
「・・・えっと、ひさしぶりにゃ〜」
・・・・・にゃんこも負けず劣らず場の空気を壊していた
マサキが隣で頭を抱えていたのは言うまでも無かった。
「芝居はその辺にして早くやってしまえ」
謎の声が催促するとマサキが鎧兜を虚空から取り出した。
それは、闇騎士として操られていた時のだいが身につけていたものと同じだった。
「これで貴様も我々の仲間だ」
マサキの声と萌の悲鳴だけが響き渡っていた。
今ここに、第二の闇騎士の誕生であった。
「ふっふっふ、これで志朗の動きは止められるな。後は・・・・」
不気味な声が辺りに響いていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
えっと、皆さんこんにちは。(夜の方はこんばんわ♪)
今回の作品『時空の覇者 第二部 第一話 別れは突然に』いかがでしたか?
いや〜まさか第二部作るとは思ってもみなかったんで自分でもちょっと驚いてます。
さて、第二部の設定を説明します。
今回の第二部は、第一部のラストから5年後という設定です。
志朗君は萌と同居してますが結婚はしてません。
ブルー君はアサ姫と本編の中で結婚してますね。
クラ国王は隠居してしまいましたが今度は軍師として登場させる予定です(あくまで予定!)
ラマ女王はウィン国の建て直しにがんばってます。
ささ校長は相変わらず魔術学校の校長です(笑)
マサキとにゃんこは今度は違う人に仕えて悪い事する予定です(一緒にがんばろうね♪にゃんこさん)
だいとタマは二人で旅に出ています。
今回はアクア国に立ち寄っていましたね。
とまあ、こんなとこですかね?(出ていない方いましたらゴメンナサイ)
今回、新たにたっきーというキャラが参加しました。
役としてはブルー君の後がまという形でがんばってもらおうと思ってます
名前の出所はいつものチャットです(笑)
それと、もう少し先になると思うんですがもう一人増えます。
着実に参加人数が増えてきて私はとっても嬉しいです。
さて、今後の展開ですが、今迄は大国しか出てこなかったので今度は小国も出していこうかな〜なんて考えてます
大国が三つとも壊滅状態の時に小国が一気に領土拡大のために攻めてくる。
そして、その全てを志朗君達がまとめて統一国家を作る。
う〜ん外伝に出てきたような設定だ〜(笑)
まっその辺はおいおい考えるとするさ。
さてと、そろそろ時間も無くなってきたな〜
という訳で、次回の作品でまたお会いしましょう
ばいば〜い♪

次回予告
闇騎士となってしまった萌がアクア国に攻め込んできた。
それに呼応するかのように各地で戦争が始まる。
平和だった国がいきなり戦場になってしまい市民は驚き戸惑ってしまう。
国王になったばかりのブルーに果たしてこの戦乱を収める事が出来るのか?
そして、敵になってしまった萌を無事に助ける事が出来るのか?
次回 時空の覇者 第二部 第二話 動乱の時代
君は時空の旅に出る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー