宇宙(そら)と大地をまとめしもの

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ドーーーーーン!
爆発音が後方の艦隊より聞こえてきた。
「なんだ?一体何があったのだ!」
艦長が叫んでいた。
「我が艦の後方のエクスが被弾しました」
「なっなんだと。一体誰が?」
「正体不明機が多数本艦に接近中!」
オペレーターが叫んでいた。
「正体不明機だと。ええい迎撃しろ!」
艦長は正体不明機と聞いて少し不安を感じていた。
今迄正体不明の敵など出会った事がなかったのであった。
(敵の新兵器か?いや、ガイア国とは不可侵条約があるはず)
色々なパターンを考えたがガイア国の軍と考えて間違いないという考えにまとまろうとしていた時、
オペレーターの声が聞こえてきた。
その内容は驚くべき内容だった。
「艦長!敵は、我が軍のマークを付けています。第13独立部隊のものです」
「味方に攻撃されているだとそんな馬鹿な!」
「艦長、敵が突破してきました。」
「くっ、砲撃手は何をやっている!」
その時、敵のリーダー機らしきものから放たれたミサイルがブリッジを直撃。
旗艦の撃沈によってその他の艦隊は指揮系統が寸断されてしまった。
その日、ミラルダ国最強の艦隊、第一軌道艦隊が全滅した。
第一軌道艦隊が全滅して数日の間に戦況は一変していた。
第13独立部隊の指揮官ブリッツは、すばやい行動でミラルダ国の主要兵器を破壊して行った。
対応が遅れたミラルダ国には、どうする事も出来ず。ついに本国の撤退を決定していた。
ここに、世界最強の艦隊を保持していたミラルダ国は事実上の崩壊を迎えていた。
ミラルダを落す事に成功したブリッツはここに地球連合軍を設立。
全世界に対して、地球統一戦争をおこす事を発表した。
これに対し、ガイア国は徹底抗戦の形を取った。
だが、宣戦布告から二年後、圧倒的な戦力差があったにもかかわらず、
ガイア国はブリッツに対して無条件降伏をしたのであった。
二大大国が敗れた後は簡単だった。
各国とも我先にとブリッツの元に降伏して行った。
ガイア国を滅ぼしてから一年という短期間でブリッツは世界を統一していた。

地球で連合軍が結成される中、宇宙では何事もなかったように平和な時が流れていた。
ここ、月面都市ムーンもその一つであった。
ムーンは西暦2000年に起った月面大異変の後に作られた都市である。
所要産業はヘリウム?の発掘で、人工5万人ほどがいる大きな都市であった
月面都市の中では最大の規模の都市である。

「セイラ〜今日は良いのが拾えたぜ」
作業用のクレーンを器用に動かしながら少年はそう叫んでいた。
「やったわ〜♪これで今月は楽に暮らせるわよ♪」
セイラと呼ばれた少女はよほど嬉しいのかその場で踊っていた。
「さすがにリュウセイは良い腕してるよな〜。今度俺にも教えてくれよ」
そんな事を言っているうちにクレーンはセイラの前にやってきていた。
踊っていたセイラだったがクレーンがくると真剣な表情で下のコンテナに積み込んでいた。
「ほら、カイあんたの出番でしょ。なるべく高く売ってきてね♪」
「へいへい。じゃ行ってくるわ」
コンテナを摘んだトラックを運転してカイが今日の品物を売りに行ってしまった。
この三人は、共同でジャンク屋をやっていた。
セイラが情報を集め、リュウセイが物件を拾ってき、カイが街で売ってくる。
「いや〜今日は良い日だね〜♪」
リュウセイがにこにこしながらカイが帰ってくるのを待っていた。
「そうね〜いくらくらいになったのかしらね♪」
セイラもまたにこにこしていた。
しばらくして、カイのトラックが帰ってきた。
しかし、乗っていたのはカイではなかった。
「これを見つけたのはお前達か?」
トラックに乗った男はそう言ってきた。
「あ、はい。そうですけど?」
男が後ろに合図をすると数人の男が銃を持って荷台から出てきた。
「一体何のまねだよ!」
リュウセイは叫んでいた。
「あれは、国家機密の物だ連合国のな。機密を知った以上一緒に来てもらおうか」
二人を荷台に乗せるように指示すると男はトラックの運転席に戻って行った。
リュウセイとセイラはトラックに載せられ軍の基地に連れて行かれた。

基地の中にはカイともう一人、白髪の男がいた。
「カイ!無事だったのか。」
「無事の訳ないだろ!こんな所に入れられて」
「でも、一応無事だったんだから良いじゃないの」
セイラの言葉で二人とも落ち着いたようだった。
「一体何があったんだ?俺にはさっぱり分らないんだ」
カイの話によるとあれは、軍の偵察ポットだったらしい。
しかも、反連合軍の秘密基地に送ったものだというのだ。
「・・・・・という訳さ。」
カイの説明が終わりまた新たな疑問が持ち上がった。
「もう一つ聞きたいんだけど、その人は誰なんだい?」
リュウセイの質問に答えたのはカイではなく本人だった。
「私の名はエイジ、地球から来た軍人だ」
エイジと名乗るものはそれだけを言うとまた黙ってしまった。
「おい、ずいぶんと無口な方だな」
ひそひそとリュウセイがカイにそう言っていた。
「ねえ、それよりこれからどうするの?しばらく様子を見る?それともすぐにここから脱出する?」
セイラの質問に考えている時、エイジが聞いてきた。
「脱出が出来るのか?なら頼む。私も連れて行ってくれ。」
いきなり言われてセイラは困ってしまった。
「いえ・・・私に言われても。ねっねえリュウセイ。」
セイラは助けを求めてリュウセイを見た。
「エイジさん・・・だったよね?なぜ脱出したいんだい?理由もわからないんじゃ協力は出来ないよ」
リュウセイの言葉を少し考えていたが、決心したように話しはじめた。
「私は反地球連合軍『プライム』のメンバーだ。今プライムに危機が訪れている。
 連合軍の機動兵器開発が成功してしまったんだ。我がプライム軍にはあれに対抗する手段が無い
   それを仲間に知らせ無くてはいけないのだ。」
エイジは真剣な眼差しでそう語ってくれた。
「機動兵器?それって一体何なの?」
「・・・・・すまんこれについては詳しく語る事はできない。君たちまでも危険な目に合わせてしまう」
「もう十分危険なんだよね。そこまで聞いちゃうと」
カイがそうつぶやいた。
リュウセイもセイラも口には出さなかったがカイと同じ考えだった。
「ま、いいや。ねえエイジさん。その機動兵器ってこの基地にあるのかな?」
リュウセイが何かを思い付いたらしくうきうきした感じで聞いてきた。
「えっ?あっああ。この基地でテストしていたからな。三機の兵器があるはずだが?」
よく話しの内容がつかめていないエイジはそう答えていた。
しかし、わからなかったのはエイジだけで他の二人はある程度予想はついていた。
「・・・なあリュウセイ、もしかしたら、いやほんとにもしかしたらって思いたいんだけど
 まさかそれを奪って逃げるとか考えて・・・・・いたのねやっぱり」
カイが聞こうとした時、既にリュウセイの目は燃えていた。
「・・・やっぱりね。相手が軍隊でもお構いなしね〜」
セイラもあきれたように言った。
「うおーーー!燃えてきたぜ」
一人で燃えているリュウセイをエイジが止めようとした。
「ばっばかな事は考えるな。ここから出るだけでも大変だって言うのにそんな事が出来る訳ないだろう」
「ねえ、エイジさんその機動兵器動かせる?」
リュウセイはエイジの制止も聞かずに話を進めていた。
「俺は動かせるが・・・・」
エイジもあきらめたようにそう答えた。
「じゃ、一機は大丈夫だね、後の二機を俺達が使えるかどうかだ」
「俺は自分のトラックを取り返すよ。あれには今日の稼ぎがあるんだ。」
カイがそう言った。
「じゃ、みんなでその機動兵器を奪いましょう。その後でカイのトラックを捕獲。
 その後は宇宙に脱出っていう手はずで良いのかしら?」
セイラが聞いてきたのでリュウセイはそれで良いと答えた。
「じゃ、ちょっと待っててね」
手持ちのノートパソコンを器用に扱ってセイラは情報を集め出した。
セイラは労せず基地のパスワードやセキュリティーを突破し機密情報などの取り出しに成功していた。
「あったわ。これね、え〜と型式番号・・・MS−01・・・名称『ハインド』う〜んかっこいい名前ね〜♪」
エイジが驚いてノートの画面を覗き込んだ。
「そんな。ばかな!俺はこの情報を手に入れるのに三ヶ月かかったんだぞ。」
「ふ〜ん。あんたがどうやって手に入れたか知らないけど、情報集めでセイラの右に出るやつはいないぜ」
そんな事を言ってる間にセイラは次々とセキュリティーを突破していった。
そして、最高機密までも盗み出す事に成功していた。
(この、子達は一体?いや、この能力。この子達が協力してくれたら連合をたたけるかも)
エイジはこの三人を仲間に引き合わせたいと考えていた。
「あら?操縦系の事が書いてあるわね。リュウセイ君、これなら私にも動かせそうよ。」
「そっか、じゃあ俺とセイラとエイジさんの三人で奪取しますか」
リュウセイの提案が一同を納得させた時セイラがノートのスイッチを切りバックに入れた。
「お待たせ、全ての警報器、セキュリティーをSTOPさせたわよ。
 ああ、ついでに機密関係の情報にちょっとした細工をしておいたわ」
「じゃそろそろ行きますか。」
リュウセイは真っ先に飛び出していった。
基地の中には大勢の兵士がいたが、なぜか一人もみあたらなかった。
「あれ?兵士がいないぜ?」
「ああ、やっと睡眠薬が効いてきたようだ。つかまった時ちょっと逃げ出してね。
 食事に入れておいたんだ」
カイの見事な気転のおかげで難なく格納庫に到着していた。
そこには三機のハインドとカイのトラックがおいてあった。
「なんか今日は運が良いのか悪いのかわかんない日だな」
カイがそう言っていた。
「良いんじゃないのか?無事に脱出も出来たし、こうしてハインドも三機とも頂いていけるんだし」
エイジがカイの呟きに答えていた。
「一応急いでね。警報器を止めておけるのもそろそろ限界なのよ」
セイラがそう説明している矢先に警報器が鳴り出した。
リュウセイは警報が鳴ると同時にハインドのコックピットに乗り込んでいた。
「これは、わかる。なんとなくだけどわかるぞ」
リュウセイは外部スピーカーのスイッチを入れていた。
「皆、ここから脱出するぞ。急げ!」
エイジもリュウセイと同じ時にコックピットに乗り込んでいた。
セイラは少し遅れていたが何とか乗り込む事に成功していた。
「よし、みんな行くぞ」
エイジのハインドが壁にミサイルを打ち込んだ。
ミサイルによって壁が爆破され大きな穴が出来ていた。
その穴を通り外に向かって三機のハインドが飛び出していった。
その様を見ていた基地の者は何が起ったのかわからずに、ただ呆然としていた。
「何と言う事だ、最高機密のあれが反乱軍の手に落ちるとは」
ムーン基地指令、ゴードは直ちに追撃隊を編成し追撃に向かわせようとした。
だが、基地にあった全てのコンピューターが使えなくなっていた。
「指令!レーダーも使えません」
「どっどういう事だ?一体何があったんだ?ええい!急いで修復しろ!」
ゴードが叫んでいると、またしてもオペレーターの悲鳴が聞こえてきた。
「・・・今度は一体なんだ」
「たっ大変です、我が軍の機密事項が何者かに書き変えられてます!」
その知らせを聞いてゴードは倒れそうになった。
「・・・全部か?」
「はっはい全てのデータが書き換えられてます。修復不能です」
ゴードはそのまま、意識を失った。

「さて、逃げ出したは良いがどこに行こうか?」
リュウセイがセイラとカイに話し掛けていた。
エイジには聞こえないように回線を切っていたのは言うまでも無かった。
「そうね、月にはもういられないしね。」
「う〜ん、地球にでも行ってみるか?」
「いや、地球はまずい。だってこの機体、連合軍の最高機密扱いのやつだぜ」
う〜んと三人でうなっていた時、前を飛行していたエイジから通信が入った。
「ありがとう、おかげで脱出できたよ。しかも敵の機体の奪取にも成功した。
 全て君たちのおかげだよ。」
「いや、みんなで協力したから出来たんだよ。じゃ、気をつけて」
そう言ってリュウセイがどこかに行こうとした時エイジが慌てて引き止めた。
「まっ待ってくれ。君たち行くあてはあるのか?もし良かったら私と一緒に来ないか?」
「えっ?俺達に反連合軍に参加しろってか?」
カイが笑いながらそう答えた。
「・・・う〜んセイラはどう思う?」
こういう時はセイラの考えに従うのが一番良い事だとリュウセイは知っていたのだった。
もちろん、カイもセイラの判断に従うという顔だった。
「・・・・そうね、月にはいられないし、地球も無理みたいだしね。
 いいわ、一緒に行きましょう。」
セイラの答えを聞いてエイジは笑顔になった。
「ありがとう、では私が先行するからついてきてくれ。」
エイジは太陽の方角に向かって飛んでいった。
「やれやれ、あんたはテストでいっぱい乗ったから良いかもしれないが
 俺達は今日始めてこれに乗ったんだけどな〜」
セイラと操縦を代わっていたカイが恨めしそうにつぶやいていた。
カイはエイジのスピードについて行くのがやっとだった。
だが、リュウセイは難なくエイジについて行った。
(何てことだ、本気の私についてこれるだと?すばらしい才能の持ち主だ)
ここに、リュウセイの才能が目覚めはじめていた。
そして、地球と宇宙を一つにまとめた英雄、リュウセイの伝説が始まったのだった。

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あとがき
え〜っと皆さんお久しぶりです。
今回の作品『宇宙と大地を繋ぐもの』いかがでしたか?
今回の作品は、一応これで完結です。
複線は張っておいたんでいつか続きを書くかもしれないですけどね(笑)
ちなみに今回のタイトルですが『宇宙』とかいて『そら』と読んで下さい。
これは、ガンダムとかのお決まりですんで(笑)
今回の作品、おもっいっきりガンダムに影響されてます(笑)。
一度、艦隊物を書きたいと思ってたんですよ。
結構、書いてて楽しいんですが・・・・・
構成とか、話の流れを上手く書けなかったと思います。
ちょっと残念ですね(T−T)
今度はもっと、勉強して連続物に仕上げようと画策してますんで気長に待ってて下さい。
では、時代について本文ではちょっとしか触れてないのでここで説明します。
時は、西暦2500年です。
西暦2000年に月で大規模な地震がありました。
その地震の直後に、月に大気が発生!その成分は地球とまったく同じという設定です。
まあ、どこにでもあるような設定なんで笑って下さい。
以上で説明終わりです。
では、皆さん、また次の作品でお会いしましょう

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