時の果てに 第一話

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ようこそ、時空の狭間に。
私は『時空案内人』の志朗と申します。
あなたは、『もしもあの時ああしていれば』と思った事はないですか?
私はよくそう思う事があります。
あの時、止めておけば・・・・・
あそこで、左にいっていれば・・・・・・
あの時、謝っておけば・・・・・
色々な選択が色々な時におこっていると思います
チョットした事、命に関わる事。大小はさまざまですがいつも何かを選択しながら道を進んでいると思いませんか?
ここではそのちょっとした選択の違いが生み出す今の現実とは少し違った世界を皆様にお届けしています
さて、今回のお客様はどういった世界を見せてくれるのでしょかね〜
では、運が良ければ、またお会いしましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あきら君〜!そろそろ起きようよ〜今日も良い天気だよ〜」
その一言で俺は目を覚ました。

今の声は俺のクラスメートの今田美香の声だ。
家が近所という事もあって子供の頃はよく一緒に遊んだ仲だった

ベットから降りてカーテンを開けると眩しい光が入ってきた。
「う〜ん今日も良い天気だ〜」
「お〜い!あきら〜!起きたのか〜!」
さっきとは違う声も聞こえてきた。

声の主の名は渡辺博だ
俺の幼なじみにして昔からの親友の一人だ。
もちろん家も近所にありよく遊びにいったりもしている。
俺と、博と美香の三人は子供の時からの付き合いなのだ。

俺はふと時計を見た。
「げっ!もうこんな時間かよ」
俺は急いで着替えをすませパンを一枚くわえながら外に飛び出していた。
「おはようあきら君。約束の時間よりは遅いけど何とか間に合うわよ」
「おっせ〜!一体何分待たせんだよ!」
いっぺんに言われてしまい俺には誰が何を言ったのかわからなかった。
「ああ、おはよう」
俺はとりあえず挨拶をしておいた。
それが一番無難だと思ったからだった。
「じゃ、いきましょうか。あかねは現地で待ってるってさ」
「そうか、じゃ行くとするか」
美香がこんな朝早くに起こしに来たのは訳があった
話は昨日の放課後のことである。

「ねえ、明日暇?」
美香が俺に明日の事を聞くなんて珍しいな〜と思った。
普段はそんな事を聞かないからである。
「明日は特に用はないけど?珍しいなお前が明日の事聞くなんて」
俺の答えを聞いて美香は嬉しそうな表情を浮かべた。
「じゃあ、明日遊園地いこうよ♪私券貰ったんだ〜」
美香は目を輝かせながらあきらを見つめていた。
俺は昔から美香のこの目に弱かった。
「わかった、わかったから」
(あしたは美香と遊園地か・・・・悪くないな)
そんな事を考えていると、博が近づいてきた。
「やっぱりね、あきらを説得するには美香にかぎる」
博は笑いながら美香の後ろから現れた。
「あっ!てめえ〜、美香に頼んだな」
「まあ、まあそう怒るなって。このチケット手に入れるの苦労したんだぜ〜」
そう言って博は四枚のチケットを見せた。
そう、こいつはいつも自分と俺と美香とあかねの四人分のチケットをGETしてくるのであった。
そのせいか、俺達四人はいつも一緒に居る事が多かった。
そう、あの変な光を見るまでは・・・・・

「遅いぞ〜。このあたしを待たせるなんて・・・・」
遊園地の入り口の所であかねが待っていてくれてた。
本名は本田あかねと言う。美香の中学校時代の親友である。
「ごめんねあかね。あきら君がなかなか起きなくて・・・」
美香がそう言うとあかねは妙に納得したような表情になった。
「はぁ〜、やっぱりね。いつもの事ですか」
あかねがため息をついた。
「所でどれくらい待ったんだ?」
「え?そっそれは・・・いっ一時間よ」
博の質問はあかねを動揺させた。
この瞬間に俺達はあかねも寝坊した事を悟っていた。
しかし、誰も深く追求はしなかった。
「さてと、ここで話しててもなんだから中に入るとしますか」
中に入ったは良いがすばらしく人が沢山居た。
それもそのはず、この遊園地、先月OPENしたばかりであった
しかも、アトラクションの数が日本一という場所であった。
それに、今日は日曜日である。お父さんが家族サービスと言ってご家族で遊びに来ていたりもする日だ
「いや〜さすがに人が多いね〜」
博は見たまんまの感想を口に出していた。
「ねえ、何をするにも待ち時間1時間以上らしいよどうする?」
美香が全員の顔を見ましてそう言った。
確かにほとんどの所に人の列が出来ているようだった。
俺は辺りを見回した。すると一つだけまったく人が並んでいない所があった。
「なあ、あそこなんで人がいないんだ??」
「あ、ほんとだ、何なんだろうね」
「え?どこだよ」
「向こうって広場があるだけよね?」
博やあかねには見えないようだった。
(どういう事だ?)
俺と美香にしか見えないのだろうか?
そんな変なものがある分けないと思っていた。
「おい、美香にも見えるのか?」
「うん、占いの館みたいな建物でしょ?見えるよ」
俺は小声で美香と話していた。
どうやら俺達だけが見えるらしい。さっきからその建物の前を何人も通っているがそちらを見もしないのである
(よし!行ってみるか)
「ちょっと俺見てくるよ」
「まってあきら君私も行くよ〜」
あきらと美香は二人で走っていってしまった。
あきらと美香の二人が行ってしまって博とあかねはその場に呆然と立ち尽くしてしまった。
「なあ、俺達どうする?」
「そうね〜、とりあえず何かに乗るためにどこかに並ばない?」
二人とも上手くいったぞというような感じで笑顔を浮かべていた。

あきらと美香の二人は建物の前に来ていた。
「よし、入ってみようぜ」
「うん」
あきらが先に入っていった。
中には一人の老人が椅子に座っていた。
「ようこそ、時空の旅人よ。おや?二人もおるのか。珍しいの〜」
老人は、珍しそうに二人を見比べていた。
「ほっほっほ、なるほどお前さん達は同じ時空の者じゃったか。なるほどそれならわかる気がするがの」
あきらと美香は状況がよくわからなかった。
だが、二人とも不思議な安心感があった。
「さてと、お二人さんまあ座りなされ」
老人は二人に自分の前においてある椅子を勧めてきたので二人は黙って椅子に座った。
「わしの名は志朗。時空の案内人をしておるものじゃ。お前さん達は時空の狭間にあるこの空間を見つけてしまったわけじゃ」
ここまで説明されてあきらが始めて口を開いた。
「時空の狭間って何の事なんだ?」
「ほっほっほ、ここの事じゃよ。この空間はあらゆる選択をやり直せる場所じゃよ
 ここでは、全ての可能性が現実となる。科学のかわりに魔法が発達した世界、日本が世界大戦で勝利した世界などなんでも実現可能じゃ
 つまり、簡単に言うとなんでも有りの世界が見れると言う事じゃ。ただしルールが有っての〜未来は見れぬ決まりなのじゃ
 さて、お前さん達はどんな世界が見たいのじゃ?」
二人はあまりの事で理解するまでかなりの時間がかかった。
「・・・・・・・・ねえ、見るだけなの?」
美香が志朗に質問した。
「ほっほっほ、もちろん実際に体感できるぞ。ただし、その場合はこの世界に戻ってこれなくなるがな」
「じゃあ、昨日の放課後に約束した四人で遊園地に行くと言う約束を私とあきら君の二人でくると言う事に変える事も出来るの?」
「もちろんじゃ、では、そこの窓から外を見てみるが良い」
美香はそっと窓から外を見た。
そこにはあきらと二人で楽しそうに遊んでいる美香がいた。
美香はじっと外の様子を見守っていた。
「さてと、お主は何も無いのか?」
老人はあきらに向かってそう聞いてきた。
「俺?俺は別に良いや。それなりに今の生活気に入ってるしね」
「そうか、欲の無い奴じゃの〜」
しばらく外を見ていた美香が急に向き直ってきた。
すこし、うつむいて考え込んでいた美香だったが、あの世界に行きたいと願ったのだった。
「ほっほっほ、この世界には戻ってこれなくなるがそれでも良いな?」
コクンと頷く美香をあきらは必死に止めようとしていた。
だが、あきらの体は何かの強い力に押さえられて動けなかった。
「では、そのドアを開けるが良い」
美香の目の前にすぅ〜っと扉が出現した。
その扉を開いて美香は消えてしまった。
美香が消えた時ようやくあきらは動けるようになっていた。
「てめえ、美香はどこにいったんだ!」
あきらは志郎に殴りかかろうとした。
だが、見えない壁に阻まれて志郎には近づく事が出来なかった。
「ほっほっほ、あの子は自分の望んだ世界に行ったよ。その様子でも見てみるかね?」
志郎は謎の鏡を取り出した。
そこには、あきらと二人で楽しそうに遊園地に来ていた美香の姿があった。
「ほれ、これが今のあの子じゃよ、隣にいるのは別の時空のお前さんじゃな。
 幸せそうにしておるの〜。あの子にはここでの記憶は一切無くなっておる
 さてと、次はお前の番じゃが、見たい可能性の世界は見つかったかの〜?」
「じいさん。俺も美香と同じ世界に行かせてくれ。」
志郎はうなずくと先ほどと同じような扉を出現させた。
「わかっていると思うが戻っては来れないぞ。それと、ここでの事も忘れてもらう。それでも良いな?」
あきらは無言でうなずいた。
そして、あきらもまた消えていったのであった。
「ほっほっほ、あの美香という少女は幸せ者じゃな、さて、次に来るものは一体どういう者かの〜」
志郎はそう言うと闇の中に消えていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー