その日は星がきれいだった
もう何度となく見ている星なのにとてもきれいに見えた
普段天体観測所で見ている星よりもきれいに見えた
「ねえ、あの星はどんな星座なの?」
隣に座っている娘がそう聞いてきた。
「あれは、天秤座っていう星座だよ。」
私は娘にそう教えていた。
「あなた、流星群はいつくるんです?」
「そうだね〜、後10分くらいかな〜?」
私は時計を見てそう答えてた。
妻は今日の流星群がとても楽しみだったらしく朝からそわそわしていた。
そう、私は今、家族で天体観測をしているのであった。
33年に一度の天体ショーであった。
私たちの周りにもたくさんの人が流星が降るのを楽しみに待っていた
流星が降るたびに歓声があちこちで上がっていた。
「おっ!また流れたよ」
「え?パパ〜どこ〜私見えないよ〜」
娘は必死に空を見上げて探していた
「あっちの方向を見ていてごらん。流星は向こうから流れてくるからね」
娘は必死に探していた。
(仕事と違うとこんなに面白いんだな)
私はそう実感していた。
「あ!流れましたよ。」
妻も楽しそうに流星を探していた。
「ぱぱ〜私も流れるの見つけたよ♪」
「そうか、よく見つけたね〜」
私に誉められたのがよほど嬉しかったのかすぐにまた次の流星を探していた。
(家族で過ごすのも良いものだな〜)
私はそう思っていた。
「なあ、今度の日曜にでも皆で遊園地にでも行こうか?」
私の提案に妻は驚いていた。
「あなた、お休みは取れるんですか?」
「ああ、一日くらい休んでも良いだろう?有給でもつかうさ」
私の言葉が聞こえたのか娘は大喜びで駆け寄ってきた。
「ほんと?約束だよ、遊園地〜♪」
(そうさ、たまには家族と出かけるのも良いさ)
今迄の私は仕事優先で生きてきたため家族と過ごした記憶があまり無かったのだった
「そう、これから色々楽しもう」
「何を楽しむんですか?流星ならさっきから沢山流れてますよ。」
私は気づかないうち声に出していたようだった。
「いっいや何でもないんだ。ははは」
私の乾いた笑いを見て妻も一緒に笑い出していた。
娘は不思議に思ったらしいがすぐに流星探しを再開していた。
(そうさ、これからでも遅くはないさ)
私は、家族の大切さを流星のおかげで思い出したのだった
「さて、日曜が楽しみだな」
妻が私の横で頷くのを見た時、私は不思議と心が安らいでいくのを感じていた。
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