不思議な感覚


こんにちは、『時空案内人』の志朗です
お久しぶりですね〜。
おや?覚えていませんか?貴方とはどこかでは会っていますよ♪
ふふふ、貴方は運が良いですね〜。
何度も会えるなんてことはめったにないですよ
さて、前回のひろゆき君は珍しい方でしたね。
あのような方はめったにいないんですよ。
さつきちゃんとは上手く行くでのしょうね〜。
では、今回もしばしの間、不思議な体験を行って下さい
今回の話はちょっと異色ですよ
ふっふっふ・・・・・・
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「よっよせ。わっわたしが悪かった・・・だから、な?」
男は目の前の男に必死で命乞いをしていた。
「・・・・・・」
拳銃を持ったその男は命乞いなど聞く耳をもっていなかった。
「あっあの時は仕方なかったんだ・・・・」
男は更に必死になって命乞いをしていた。
「・・・・・一つ聞きたい。あれをどこに隠した。あれは貴様達がもつものではない」
男はその質問にすぐに答える事は出来なかった。
「そっそれは・・・・あれは別の者が隠した。私はその場所まではわからない」
男がすべとを言い終わるのと、弾丸が打ち出されるのはほぼ同じだった。
「こいつも知らなかったか。次の標的に期待するか」
男は銃をしまうと、次の標的の顔写真をみていた。
「八神信二か・・・・八神雷蔵博士の息子なら何か知っているかも知れんな」
男は先程始末した男の遺体を処分すると闇の中に姿を消していた。

「さぁ〜って。テストも終わったし今日からは遊ぶぞ〜♪」
信二はうきうきしていた。
それもそのはず。今日で期末テストも終わり、明日からは待ちに待った夏休みなのだった。
「何を浮かれてんだよ。それより海に行くって話はどうするんだ?」
「おっと、そうだったな〜。じゃあ、明後日にしようぜ!天気予報だと晴れが続くらしいしな
 こういう事は早めにしようぜ」
親友の健太と夏休みの計画を立ててから信二は学校を後にした。
帰り際に本屋により、立ち読みをし、ゲーセンにより、電車に乗り、家に帰るといういつもと同じパターンのはずだった。
だが、その日はいつもと同じにはならなかった。
本屋を出た信二の前に一人の男が現れた。
「八神信二君だね?」
「え?ええ、そうですけど貴方は?」
そう答えた時、信二は直感的にこの場は危険だと判断し、右にジャンプした。
信二の行動は正しかった。
先程までいた所に弾丸が二発撃ちこまれていたのだった。
「ほぉ、良い動きだ。もっとも偶然かもしれないがな。」
男は信二の方に向き直りもう一度銃弾を発射しようとした。だが、
「きゃ〜!なっなんなのあなたは!だっだれか〜!」
一人のおばさんが大声を上げた。
「ちっ!」
男は舌打ちしながらその場から走り去ってしまった。
(なっなんなんだ?)
信二は恐怖を感じない自分に驚いていた。
銃で撃たれれば普通は恐怖を感じるはずである。
だが、信二はまったく恐くなかったのである。
それどころか、次にどこに撃ってくるのかという事まで考えていた。
(俺やっぱり変なのかな?)
そんな事を考えながら歩いていると自宅についてしまった。
「ただいま〜」
信二は部屋に行き、自分のPCの電源を入れた。
ピポッっという起動音がしてからいつもの画面が現れるはずだった。
だが、今日は見た事も無い画面が現れてきた。
(なっ!なんなんだこれは?)
画面には16歳の誕生日おめでとうという文字と共に父の画像が映っていた。
「誕生日おめでとう、さて、お前は今日謎の男に襲われたはずだ。そして、これからもお前は狙われるだろう
 助かりたいか?」
音声がそこまで流れてから画面上にYES、NOの選択ウィンドウが開かれた。
(なんで親父が今日の事を知ってるんだ?助かりたいかだと?)
信二は少し考えてからYESのボタンをクリックした。
「そうか、では、今から地図を転送する。その場所に今日のPM8時までにいけ、そこにいる志朗という老人ならお前を助けてくれるはずだ」
謎の人物の名前を聞いて信二は少し不思議に思った。
だが、実際に地図が転送されてきたので信二は少し信じてみようと思った。
「さて、もうお前とは会う事もないだろう。元気で暮らすんだぞ」
父の画像がそう言った時少し悲しそうな表情になった。だが、信二はその表情には気づかなかった。

転送されてきた地図には信二達が通う学校の名前が書いてあった。
(PM8時に屋上にいけだって?どうやって進入しろっていうんだよ)
しかし、父が言うにはそこにいる志朗と言う人物に出会わなければ自分の助かるすべはない。
(よし、先に校舎に入っておこう)
信二は家を飛び出した。学校にいる志朗という人物に会うために

「はぁ、はぁ・・・・普段何気なく通っているけど学校って遠いんだな〜・・・・」
信二はそんな感想を持っていた。
しばらくして信二は学校にたどり着いた。
校庭では野球部がまだ練習をしていた。
(今の内に校舎に入らないと・・・)
信二はそっと校舎に入っていった。幸いにして野球部の面々は監督の話を聞いていたので気づかれずにすんだようだった。
校舎に入ると今度は先生達が見回りをしていた。
(これに見つかっちゃうとおしまいだ)
ここでも信二の天才的な感が冴えわたり、見事に屋上にたどり着いたのだった。
屋上をぐるりと見回して信二は疑問が浮かんだ。
(何も無いし誰もいないよな・・・・・一体志朗という老人はどこにいるんだ?)
信二は裏側に行ってみた。するとそこに変な小屋があった。
(??ここに小屋なんてあったかな〜・・・・??)
不思議に思っていると小屋のドアが開いた。
「おやおや、ほんとに来るとはの〜、さあ、急いで入るがええ。奴はすぐそこまできておるぞ」
老人が指差した先には夕方本屋の前であった男の姿が見えた。
男はこの屋上目指して走ってきていた。
信二は慌てて小屋に飛び込んだ。
「ほっほっほ、まさか本当にこの空間を見つけられるとはの〜・・・・・素質があったようじゃ」
老人が笑いながらそう言ってきた。
「あの〜、貴方が志朗さんなんですか?」
「そうじゃよ。わしの名は志朗。時空の案内人をしておるものじゃ。お前さんは時空の狭間にあるこの空間を見つけてしまったわけじゃ
 この空間はあらゆる選択をやり直せる場所じゃよ。ここでは、全ての可能性が現実となる。
 今の自分とはまったく違う人生などというのも可能じゃ。お前さんがさっきの男に襲われなくなる人生というのも可能じゃよ
 ただしルールが有っての。未来は見れぬ決まりなのじゃ。さて、お前さんはどんな世界が希望なのじゃ?」
信二は少し考えた。
(全ての選択がやり直せる?一体何の事だ?それに親父は何でこの人の事を知ってたんだ?)
信二の考えを見抜くように志朗が話しはじめた。
「お前さんの父親は偶然この空間を見つけた一人じゃよ。そして、あの男が望んだ事はこの世界にとどまる事じゃ。
 じゃが、息子だけは無事に生きられる世界に送って欲しいという事じゃった。
 本来ならこの空間での事は全て忘れてもらうのじゃが・・・・・よほど御主を大事に思っておったのだろうて・・・・」
(親父がそんな事を?でも一体親父が何をしたというんだ?)
信二は自分がなぜ襲われているのかを知りたくなっていた。
「なあ、何で俺があの男に襲われるか知ってるか?」
「わしは知らんが原因を見る事は出来るぞ。」
そういうと、信二の前に鏡が出現した。
「さあ、その鏡を覗いて見るがいい。全ての始まりとお主が襲われる原因が見れるじゃろうて」
信二は鏡をしばらく覗きこんでいた。
そして、見終わった時、信二は大きなショックを受けていた。
「そっか・・・・そういう事だったのか・・・・・そんな・・・・」
・・・・・・・・
静かな、何も聞こえない時間がすぎていった。
「・・・・・この研究を無かった事にはできるのかい?」
信二は思い切って質問した。
「それが、おぬしの望みの世界ならば・・・・・」
志朗は静かにそう答えていた。
「・・・・・・そっか・・・・じゃあ、俺の望む世界はこの研究の無かった世界だ。」
志朗は何か言いたそうだったがそれを言わずに一つのドアを出現させた。
「このドアを開ければ、そこはおぬしの望んだ世界じゃ。一度くぐれば二度と戻ってくる事は出来んぞ
 それでも良いのなら開けるがよい」
信二は迷う事無くドアを開けて中の世界に入っていった。
信二が消えた後ドアは静かに消えた。
「・・・・不憫なものよ・・・・向こうの世界ではおぬしは存在できないというのに・・・・・」
志朗はそう言った後静かに闇の中に消えて行った。

(ここは?そうか・・・・俺・・・・自分が存在しない世界にきたんだっけ)
信二は足元を見下ろした。
そこには、いつもと同じ世界が広がっていた。
ふと学校に視線を走らせると親友の健太の姿が見えたのだった。
(健太・・・・海に行くって約束守れなくてごめんな。)
信二は改めて自分の街を見回していた。
(いつもと変らない街。俺がいないだけで他はまったく同じか、ちょっと寂しいな)
次の瞬間、世界が反転した。
どたっ!
「いてててて・・・・」
気がつくとそこは自分の部屋だった。
(あれ?なんで部屋にいるんだ??)
自分は消えてなくなったんじゃないのか?
そんな疑問を持ちながら台所に向かった。
「よう、おはよう。今日もすごい起き方だな〜」
「おっ親父!なんでここにいるんだ?」
「おい!実の父に向かってその言い方はないだろう。ここは俺の家だぞ俺がいて良いに決まってるじゃないか」
信二は混乱していた
『ほっほっほ、おぬしがあまりにも不憫だったんでの〜。ちょっとしたサービスじゃ』
不意に志朗の声が聞こえてきた。
『という訳で記憶を消させてもらうぞ。わしの事は忘れて父親と幸せに暮らす事じゃ』
志朗の声が聞こえなくなった。
「・・・・い。おい!信二!聞いてるのか?」
「えっ?ああ。なに?」
「全く・・・・今日は健太君達と海に行くんじゃなかったのか?そろそろ時間だと思うんだがな〜」
そう言って時計を見せてやった。
「ああ!そうだった〜!まっまずい〜。」
信二は慌てて用意をした。
「じゃいってきま〜す」
元気に飛び出して行く息子を見て嬉しそうに雷蔵は嬉しそうにしていた。
「ありがとう志朗。」
そう雷蔵は空に向かってそっとつぶやいたのだった。

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