いつか会える誰か


男は走っていた。

別に急ぐ程の用事がある訳ではなかったが走っていた。

ふと隣を見ると、見知らぬ人も同じように走っていた。

自分の友人達も一生懸命走っていた。

自分の前にもたくさんの人が走っていた。

さらに、後ろからもたくさんの人が走っていた。

だが、みんな同じ方向にではなかった。

それぞれが別の方向に向かって走っているのだった。

男の前を横切っていくもの。

男とは逆に走っていくもの。

男から見ると斜めに走っているものまでいた。

隣を走っている人だってまったく同じ道は走っていなかった。

わずかではあったがずれているのだった。

このまま真っ直ぐ走っていけば距離は段々離れていくだろう。

男はなぜ真っ直ぐ走らないのか不思議だった。

だが、走っている本人にしてみれば、それは真っ直ぐ走っているのだった。

そう、誰一人同じ道は走っていないように見えた。

だがそうではなかった。

よく見ると二人で走っている人も中にはいたのだった。

そう、男のすぐ後ろにもまったく同じ道を走る女性がいたのだった

「君は?・・・・」

男が名前を聞こうとした時男は眩い光に包まれていた。

目を覚ました男の顔には朝の日差しが、眩しかった。

ああ・・夢だったんだと思いながら現実の時間の流れにリンクさせていた。

男は夢の中の女性を思い出そうとしたが名前も顔も思い出せなかった。

そして、男はあの夢が自分の人生の事なのでは?と考えるのだった。

一緒に走っていた女性は将来結婚する人なのかもしれない。

などと考えてふと笑みをこぼしていた

「さてと、学校に行くか。急がないと今日も遅刻だ」

そして、男はいつものように学校に向かって走り出すのだった。

夢の中で走ったように・・・・

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