扉の向こうの世界 第四話
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だんだんこの世界にも慣れてきたかしら?
異世界の扉を少しずつ開く事でいったい何が変わるのか。
それは、貴方自身の目で確かめて。
私は、ただ案内をするだけ・・・
そう・・・もしかしたらあり得たかもしれない・・・
そんな可能性のある世界へ。
さあ、今回もちょっとだけ異世界の扉を開けてあげる。
今回の扉の先は私たちチームが訓練をしてる時の話かしらね。
じゃあ、いってらっしゃい。

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『扉の向こうの世界4』 −チーム−

「・・・α1へ、こちらα3配置完了よ」
「α1了解。α2はどうか?」
「α2も完了。いつでもいけるぞ」
全員配置についたようだ。
弾は・・・OK。
「・・・よし、それじゃ、全員いくぞ!GO!」
俺の合図で全員がいっせいに行動を開始。
狙うターゲットは一人。
しかも、向こうはこちらに気づいた様子もない。
今回はもらったぜ!!
だが・・・
「相変わらず読みが甘いですよ甲斐さん。それで現場指揮が勤まりますか?」
気づかれていないという風に見えていただけだった・・・
ちぃ!さすがはミリシャ!!こうなったら後は勢いに任せるだけか。
牛と俺の突撃で少しでも隙を作れれば鳳ノ花の狙撃でなんとか・・・
「そ・れ・と、読みが外れた後必ず勢いに任せるのも間違いです。読み違えた時こそ冷静に状況を分析しなさい」
隙を作ることすら出来ずに俺と牛はあっさりと倒され、俺は意識が暗転するのだった。



「やれやれ、いろいろと問題の多い子達ですね」
訓練終了後のミーティング時に俺たちをあっさりと倒したミリシャがため息をついて呆れていた。
先日急にチームを組むことになった俺と鳳ノ花とグランズ(牛もしくは達磨)は連日ミリシャの猛特訓を受けていた。
これがきついのなんの・・・
殺されてはロンディネラ先生のお世話になり蘇生、ちょっと休んでまた訓練の繰り返し。
拷問か?と言いたくなるのだが、負けっぱなしはどうもすっきりしないんでな!!
しかし、ロンディネラ先生はさすがに名医だ。
慌てず、騒がず、面倒くさそうに薬を流し込んでは寝にもどっていく。
・・・重ねて言うが腕は最高に良いんだぜ?
骨折位ならこの先生にかかると10分で完治させるというすごい話だ。
・・・どうやってんだ???
それは置いといて、ミリシャの反省会が続く。
「まず、鳳ノ花さん、狙撃位置が定位置になってます、ポイントが限られるように私も動いてますが、
馬鹿正直に最良ポイントからしか撃てないのでは二流です」
「次にグランズさんですが、貴方の突進力は確かに組織内でNo1です。ですが、それに頼り切ってませんか?
攻撃が常に直線的でしかありません。効果的に生かせるように動きを考えるように」
「最後は甲斐さんですが、訓練中も言いましたが読みが甘すぎです。あと、勢いで突っ込む癖は治しなさいと何度言わせますか?
そ・れ・と、もっと視野を広く持ってください。今回の敵が私一人と誰が言いました?」
・・・確かにミリシャ以外の気配は感じていたが。
あまりに弱い気配で、小さい動きだったので動物だと思って気にしていなかった。
あれが誰かの気配だとすると。
「ええ、今回はすちかさんもフィールドにいましたよ。甲斐さんの真後ろにね」
やられた・・・。
事前情報を信じすぎた失態だった。
「まあまあ、すちか君の擬態能力はミリシャだって見抜けない時があるくらいだろ?それを気づけって言うのは酷だよ」
「うっ牛にフォローされるとは」
「も”〜!!人がせっかく良い事言ってやってるのに邪魔するなよ」
「まあ、すちかさんは鳳ノ花さんへのけん制で忍ばせておいたんですがね、でも、指揮官である甲斐さんがそれを見落としてはだめですよ。
あれ?、そういえばすちかさんはどこに??」
そういえば、まだ部屋にきていないな。はて?
「ふふふ、これるわけないわよ。私のけん制射撃に驚いて穴に落ちてたみたいだしね」
「・・・すちかさん、来月も1割カットですね」
あいつ、カットされない月があるんだろうか・・・
「さて、全員の課題が出たところで再訓練といきますか!」
お・・・おにだ・・・



ぼろぼろになった俺たち、元気いっぱいのミリシャ。
うれしそうに担架に乗せて運ぶのはすちか&シェティス組。
そんな日々を送ること一ヶ月。
・・・よく生きてるな〜俺。
何回川のほとりに立ったか、もう覚えていない。
その甲斐あってか俺たちの能力は飛躍的にUPした。
「α2、右にまわれ。3はポイントBへ」
ミリシャの目を牛に向けさせるように指示を飛ばす。
「甲斐君、俺を囮に使う気だね?そうだね??」
「いいから動けよ牛!・・・牛!7時方向足元にすちかだ!!?」
すばやく気配を察知した俺は牛に場所を伝える。
最近は場所の指示さえ出せば牛が勝手につぶしてくれる。
なんとも楽になったもんだ。
「グランズ、そっちは私に任せて、移動中だけど見えたわ。撃つ!」
鳳ノ花のライフルから飛び出した銃弾は茂みに潜んでいたすちかを撃ち抜く。
走りながらの狙撃の癖に正確な射撃だ。
「せ、正確な射撃だ。それゆえコンピューターには予測しやすい!」
「・・・すちかさん、そんなかっこよさげな台詞は回避してから言ってくださいね?」
「は・・・はい、ごめんなさいです。や、やられたので本陣に後退します」
「後一回落ちたら2割カットですからね?」
「うわ〜ん(><)」
哀れなやつ・・・
しかし、これでこっちが有利になったな。
だが、相手はミリシャのチーム。油断は出来ない。
「鳳ノ花、今の狙撃で場所がばれた。ポイントBは破棄してCへ移動」
「すでに向かってるわ。でも、向かう場所はAにする」
「A?そっちは・・・いや、了解した。牛!背後に倒れこめ!今すぐ!思いっきり!!」
「らじゃ〜」
どだん!
「ふぎゃん!!」
よし!うまくつぶしたようだな。
声からしてシェティスと見た!
これはラッキー♪向こうの司令塔をここで戦線離脱させれたのはでかい!
復帰までの2分で決着をつける!
「・・・なあ、甲斐君、背中が気持ち悪いんだが・・・」
「気にすんな。牛の方はポイントHへ、そこで決着をつけるぞ!」
「む〜、まあ良いか。ポイントHへ移動する」
よし、これで後残すはミリシャのみ!



「シェティまでやられましたか、シェティの気配を察知できるようになるとは予想以上ですね〜」
自分のチームが劣勢と言う状態ではあるが、部下の成長を見れてミリシャは嬉しかった。
(これで、私の役目も・・・)
『指令、すみません。最終防衛ライン突破されました』
『了解』
『ミリシャ様〜2分たったので、すちかは復帰しますね』
『わかったわ、それじゃポイント221で待機。気配は消さなくていいわ』
『ええええええ!!!それじゃ見つかってやられちゃいますよ〜って、ポイント221?あの、そこは・・・』
『そ。そこなら見えても問題ないでしょ?』
『ぅ・・・た、確かに問題はないですけど』
『わかったならさっさと動く!』
『わかりました〜・・・しくしく、ミリシャ様の鬼婆(ぼそっ)』
『す・ち・か・ち・ゃ・ん・?』
『ぎゃ〜マイク切り忘れてた〜><』
あの子は後で個別特訓してあげよう。
さてさて、今はこっちの相手をしないとね。



ミリシャは見通しの良い丘の上に立っていた。
狙撃には絶好の立ち位置だが、
「鳳ノ花、撃てるか?」
「やれるけど、たぶん当たらないわね」
「だよな〜、こっちも見えちゃってるもんな〜」
そう、見通しが良すぎたため、射程距離内で隠れて狙撃できるポイントは0なのであった。
「牛がうまく裏から突撃できれば良いんだが・・・たぶんあの気配はすちかだろうな〜」
グランズのいる地点の横にある小島の上には先ほどからすちかの気配がある。
突撃させれば狙撃されるだろう。
鳳ノ花をまわしてもいいが、その間にシェティスが復帰してくるのは目に見えている。
「あいつに指揮取られると厄介なんだよな〜、仕方ない。俺が突撃して向こう側に飛込んですちかの注意を引き付けるから
その隙に牛はミリシャにあたれ。鳳ノ花は援護射撃よろしく」
「わかったわ」
「あいよ〜」
「それじゃ・・・行くぞ。1,2,3,GO!」
俺はダッシュで丘を駆け上がりミリシャにアタック!
する振りをしてその先にいるであろうすちかに向かって射撃。
慌てたすちかは小島から落ちかける。
その隙を見逃さずグランズがミリシャに接近。
接近さえすれば1対1でも遅れは取らないグランズだ。
その間に鳳ノ花が丘の上に移動しすちかに2連射!見事に撃退に成功。
これで、すちかの給料2割カット確定だ。
後は三人同時攻撃でミリシャへアタック!
無事にミリシャを撃破!!
チーム結成以来の初勝利をGETした。



「うんうん、皆さん強くなりましたね。それに甲斐さん良い指揮でしたよ。難点はいくつかありましたがそのあたりは経験ですね」
反省会室ではミリシャは上機嫌だった。
「とりあえず今回で特訓はおしまいです。皆さんお疲れ様でした。次のミッションまでゆっくり休んでくださいね」
「よし!終わった〜。さあ甲斐君のみに行くぞ〜!鳳ノ花君とすちか君も行こう」
「いいわよ。この間の決着もつけてないしね。勝負よ甲斐」
「ふ、俺に勝てるとでも?良いだろう受けてたってやるぞ鳳ノ花!」
「おっさけ〜♪おっさけ〜♪」
「あ、すちかさんはこの後個別指導ですから残るように♪」
「う、うぞ〜〜〜ん><」
「ふっふっふっふ」
と、みんなでわいわいと部屋を出ようとした時、
『指令!例の本の解読が完了しました!!』
シェティスからの通信が入る。
『今から資料をもってそちらに向かいますが、よろしいですか?』
『ええ、了解したわ』
通信を終えたミリシャの表情に先ほどまでの軽い笑みは無くなっていた。
「みんな、突然だけど次のミッションみたいよ」

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あとがき
作者 :ようやく完成〜
すちか:今回はなかなか出来なかったわね
作者 :年末年始進行で仕事が・・・
すちか:どんだけ忙しくても書いてたあんたがね〜
作者 :徹夜、仮眠2時間、徹夜、仮眠1時間、徹夜という過酷なスケジュールでして
すちか:過労で死ぬわよ?
作者 :途中脱落者が何人かでましてね
すちか:でしょうね、労基局に目をつけられるわよ?
作者 :むしろつけてもらいたいですよ
すちか:ま、まあ・・・その話は置いといて
作者 :はい、今回は異世界編の4話になります
すちか:スポット参加だった私が準レギュラー扱い?
作者 :動かしやすいのでちょくちょく出てくるかもです
すちか:それは何より
作者 :さて、内容の話をしますと、今回はチーム戦の訓練中です
すちか:訓練風景ですね?
作者 :です。ミリシャ様の強さについては前回の話と外伝の方で伝えましたので
作者 :今回は皆さんがあのレベルにまで上ってきてもらいました
すちか:あのレベルになると・・・凶悪なんじゃ・・・
作者 :ドラゴンボールの如く敵も強いからOKです!
すちか:敵考えてたの?
作者 :当然♪外伝に出てきたあのお方ですよ
すちか:ああ、あのお方ですか。攻撃できなかったりしてね
作者 :実はすちかは・・・ってのも面白そうですね。
すちか:その辺は任せるわよ。
作者 :はいはい、お任せください♪と言うわけで今回はここまでです
すちか:また次回の作品でお会いしましょう