扉の向こうの世界 第二話
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最初の物語はどうでしたか?
そう、私と貴方は最初は敵味方だったんですよ。
撃ちぬいた足は痛かったですか?ふふふ
その後の話?
本部へ行った私たちはそこで、甲斐那達が所属する組織のボスに会ったの。
え?その時の話を聞きたい?
珍しいわね・・・出会っただけの話よ?まあ良いわ。
じゃあ、今回もちょっとだけ異世界の扉を開けてあげる。
いってらっしゃい。

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『扉の向こうの世界2』 −特殊能力−

箒に乗りながら薄れいく意識をだましつつ、何とか本部へ到達した。
移動中、何度か襲撃はあったものの、鳳ノ花の狙撃によって難なく敵を撃退することに成功。
つくづく怖い女だ。
射程ぎりぎりと思われる敵に対しても鼻歌交じりで当てやがる。
・・・俺、良く回避できてたな。
「む〜!甲斐君、君本当に彼女と互角にやりあったの?うそだろ?絶対に」
操縦を担当している牛達磨事グランズがそれを見るたびにそういってくる。
「俺もまったく自信が無くなったよ。うそだとしか思えん」
実際、俺もそう思う。
遊ばれてたんじゃないのか?と
「あら、私はかなり本気だったわよ?」
満面の笑顔でそういわれても・・・怖いぞ。
しかし、多分あれは本気でそういってるんだろうな。
となると、俺もなかなか捨てたもんじゃないって事か。



「はい、確かに受け取りました。ご苦労様。傷の治療をしつつゆっくり休んでくださいね」
本部に着くとすぐに俺はボスに呼び出され、輸送物件を手渡した。
「ああ、そうさせてもらう。さすがに意識が・・・げんか・・い・・・」
ばたん。と俺はその場で倒れ意識を失った。
「あらら、しょうがないわね、グランズさん、医務室へ運んであげてくれます?」
「あいよ〜、でわ失礼する」
こうして、俺は医務室のベットの上でご休憩ってわけだ。
「甲斐君、添い寝してあげようか?」
達磨・・・



甲斐とグランズが医務室に向かい、私はミリシャというリーダーと二人で部屋に取り残されてしまった。
ついていけばよかった・・・
「さて、報告は聞いています。鳳ノ花さんでしたね?部下がお世話になりました。あ、自己紹介がまだでしたね
 私はミリシャ。この組織のリーダーをやらせてもらってます」
「私は鳳ノ花よ。詳しい自己紹介は・・・必要ないわよね?」
「ええ、お噂は聞いておりますから。うちの部下も何人か貴方にやられてますしね」
さすが、諜報機関としては世界最高峰の組織。
私の情報もターゲットの詳細もすでに筒抜け・・・か
「それで、鳳ノ花さん。私どもの組織に協力していただける・・・と思ってよろしいのかしら?」
私はしばらく考え込む。
勢いに乗ってここまできてしまったけど、元々組織と言うものは苦手な私。
色々と面倒なことに巻き込まれる前に断った方が良いかしら。
「・・・断ったらどうなるのかしら?」
「別にどうもしません。そのままお帰り頂くだけですわ」
この人、読めないわね。
本気なのかしら・・・それとも、罠?
「ああ、罠とかはありませんよ?本当にどうもいたしません」
笑顔の裏に何かを秘めているのはわかっているのに、それが何かわからない。
ここは、協力して様子を見るのが懸命・・・か。
「・・・とりあえず、甲斐が気に入ってるからね。しばらくは協力するわよ。途中気が変わるかもしれないけど」
「それで、結構ですわ。ようこそ、鳳ノ花さん。ここは世界の情報が集まる地。そして、全ての歴史を正常に戻すための最前線です」
「歴史を正常に戻す?」
「ええ、今の世界は誰かが意図的に改変した世界。改変のゆがみにより、この世界はまもなく崩壊を始めます。
 それを防ぐことを目的としたのが我が組織の目的です」
ずいぶん壮大な目的だこと・・・
まあ、私は私自身が退屈しなければそれで良いわ。
しばらくは楽しめそうね。



「う〜ん・・・重い・・・体が重い・・・って牛!牛が俺に乗っかってる!ってか、どけよ!!」
何でこいつは人の上に胡坐かいて乗ってんだ?てか何で俺がベットに??
「おお!さすが甲斐、回復早いな」
「良いから、どけ!重いんだよ!!」
「も”〜、それがここまで運んでやった恩人への言葉かい?ストンプするぞごら!」
「ああ!やってみろ!!マグナムショットでぶっ飛ばしてやるからよ!」
「この筋肉のよろいを打ち破れるとでも思ってるのか〜!!」
「なめんなよ、俺のマグナムなら余裕でぶち抜くぜ?」
「面白い!ならば、訓練室で試してもらおうか!!」
「望むところだ!!!って、だからどけ!重いんだ〜><」
とこんな感じで、牛と馬鹿やってる俺。
傷の方はすっかり回復したようだ。4時間・・・今回はかなりの重症だったな。
さすが、鳳ノ花って所か・・・
ちなみに、俺の三つある特殊能力の一つがこれ。『超回復力』
他のやつよりも、傷の治りが早い。まあ、そのまんまの能力だな。
ただ発動には条件があって、布団に包まって横になってないと発動しねえんだよ。
おかげで、戦場でこの技能はなかなか発動できない。
そんな環境にいないからな。
ちなみに、後の二つは戦闘技能さ。
内容はそのうち・・・な。
「さて、甲斐も復活したことだし、俺は先に訓練室にいってるからな」
「ああ、首をあらってまってろ」
「ふ、この俺の筋肉に止められぬ弾など無し!」
がっはっは、と豪快に笑いながら去っていく牛。
今夜はステーキでも食うか。
そんな事を考えながら、俺も訓練室へ向かう。
その途中でちょうどミリシャと話終えた鳳ノ花にばったり。
「あら、甲斐。足の方・・・もう治ったわけ?」
「鳳ノ花さん、甲斐さんは超回復力の持ち主ですから」
「へえ〜、あのレアスキル持ちだったんだ。それはすごいわね。私も初めてみたわ」
「発動条件が厄介でな、いつも使えるとはかぎらねえんだよ」
ぽりぽりとほほを掻きながらそっぽを向く。ちょっと照れてるんだよ。文句あるか?
「それで?病み上がりでどこいくわけ?」
「ああ、訓練室だ。牛の挑発を受けてやろうと思ってな」
ふっふっふ、今日こそあの筋肉をぶち抜いてやる。
今まで見せなかった、俺の必殺技でな!!
「面白そうですね、私たちも見学しましょうか」
「そうですね、本部の案内がてら見学しましょうか」
「おう、奴の敗北する姿をみにくるがいい!」



訓練室に入ると牛が仁王立ちして待ち構えていた。
「待っていたぞ甲斐!良くぞ逃げなかった。ほめてやろう!」
「ぬかせ!貴様こそ、覚悟は出来てるだろうな?」
「ふっふっふ、我が鉄壁の守りを打ち崩せると思うなよ?」
「上等だ、今日は手加減無しでぶちぬいてやるぜ!」
熱い火花を散らせる俺たち。
これまでの奴との対戦成績は5勝5敗。
まさに五分の勝敗だ。
「それでわ、私ミリシャが審判をしましょう。二人とも準備は良い?」
「いつでも」
「どこでも」
「ロックンロール!って、また人を選ぶネタを・・・」
さすが牛とミリシャだ。わかってるぜ。
「こほん。でわ、はじめましょう。レディ〜〜〜〜、ゴ〜〜!!」
開始の合図と共に俺はまず右へ走り出す。
奴の正面にいるのは危険だ!
向こうもその辺は読んでいたらしくこちらに向かって突進してくる。
近接戦闘は嫌いじゃないが、こいつ相手にやるのは死刑の同意書にサインするようなもんだ。
「はっはっは、見える。貴様の動きが手に取るように見えるぞ!もらったぞ甲斐!!」
目の前に接近してきた牛の重い一撃が俺にHIT!
・・・したかに見えたが、俺はそれを余裕のステップで回避する。
「何が見えるって?俺の残像でも見えてるのか?」
牛の攻撃を逆方向へのステップで見事に回避した俺はすぐにスキルを発動させる。
「くらえ!マグナムリボルバー!!」
「ぐは!」
ほぼ同時に5発の銃弾を牛のわき腹にたたきつける。
これぞ、俺の必殺技にして、三つの特殊能力の一つ!
通常スキルであるマグナムショットとアローリボルバーの複合スキル。
世界で俺にしか使えない必殺スキルだ。
さすがの牛も耐え切ることは出来なかったようで、見事に気絶してる。
「はい、そこまで〜、勝者、甲斐那」
審判役だったミリシャが勝者の名を告げる。
まあ、これで決着がつかなかったら俺が危なかったんだがな。
このスキル、銃が必ずぶっ壊れる。
なので、これで決まらなかったらあとは近接戦しかなかったわけだ。
「へえ〜、甲斐ったら、そんなスキルをもってたのね。私との戦闘で使わなかったのはどうして?」
拍手をしながらも、目が笑っていない。手加減されたとでも思ってるのか?こいつは・・・
「鳳ノ花さん、使わなかったんじゃ無くて、使えなかったんですよ。甲斐那のあれは、銃をだめにしますからね」
「銃を?」
俺は無言で持っていた銃を鳳ノ花に投げてやる。
鳳ノ花なら見ればすぐにわかるだろう。
「・・・なるほど、一回使用で銃がだめになるのね?」
「ああ、鳳ノ花とやってた時は手持ちは一丁だけだったからな。さすがに銃無しでお前とやりあえる自信は無かった」
「あら?グランズとは銃無しでもやれるわけ?」
「ああ、あの牛は銃を持ってないからな。有れば有利だが、無いなら無いで戦いようがある。やりたくはねえがな」
苦笑してごまかす俺に釣られるように鳳ノ花も笑顔を見せる。
出会ってまだわずかな時間しかすごしていないが、グランズの能力を鳳ノ花は見抜いているようだ。
・・・あと、俺の虚勢も・・・かな。
「にしても、訓練であれ使うのは珍しいわね。なにかあったわけ?」
「別に、たまには使わないと感が鈍るからな。それにあれに耐えられるのはこの牛くらいだよ」
「ま、そういうことにしておきましょう。久しぶりに良い物見れたし、銃の修理費は組織で出してあげるわ」
「お、そりゃ助かる。その銃実は俺の自前物件なんだよ。ラッキー」
「・・・やっぱり、自費で治して貰おうかしら」
ミリシャのつぶやきは聞かないことにして、さっさと牛を医務室に運ぶかなっと。
・・・なんでこいつはこんなに重いんだ・・・
「ふふふ、甲斐。さっきのスキル私も使えるかしら?」
「ああ?どうだろうな。ミリシャに言わせるとあれはかなり特殊なやつらしいぜ?」
「そっか、残念だわ」
「それに、あんな技に頼らなくてもお前の特殊能力ならもっと強力だろう?」
きょとんとした顔をする鳳ノ花。
やけにかわいいなちきしょう。
「知ってたの?」
「この業界であれ知らない奴はモグリだ」
「あらら、滅多に使わないからばれてないと思ったのに」
くすくすと笑う横顔も年相応でなんともかわいらしい。
こんな女が、業界最高のスナイパーだって言うんだから謎だ・・・
「今度、お前のスキルも見せてくれよな」
「手の内は明かさないのがスナイパーの条件よ?」
「俺たちパートナーだろ?」
「・・・そうね、気が向いたら見せてあげるわよ」
「ああ、頼むぜ。相棒」
鳳ノ花の特殊能力。それについてはまた別の機会に話すことにするぜ。
今日は俺もさすがに疲れたからな。

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あとがき
作者 :第二話です。
すちか:また、今回も私が出て無いわね。
作者 :貴方とロン姉様は次回登場します。
すちか:次回の構想があるわけね?
作者 :はい、もちろんです!今回はプロットもありますよ〜!
すちか:へえ〜今回はすごいわね。
作者 :私の頭の中に!!!
すちか:・・・
作者 :・・・
すちか:・・・ねえ、それって・・・どんな人でもそうよね?
作者 :そ、そうとも言いますね(^^;
すちか:大丈夫なわけ?それ
作者 :い、今までもこれで何とかやってこれましたし・・・(^^;
すちか:まあ、良いわ。所で今回は甲斐那さんをかっこよく書きたい!っていってなかったっけ?
作者 :はい!随所でかっこいい風味な甲斐那さんが書かれてますよ〜♪
すちか:その分鳳ノ花さんの出番が少ないわね。
作者 :はい!そう思ったので、途中鳳ノ花さんパートを入れてみました。
すちか:あと、今回会話のやり取りが多いわね。
作者 :話の内容的に会話主体になってます。状況がつかめない方はごめんなさい。
すちか:あと、今回長いわよ?
作者 :それもごめんなさい。書いてたら話がどんどんと・・・
作者 :でも、本人は満足してるので悔いはありません!
すちか:まあ、趣味の世界だし。本人が楽しんでるなら良いけど・・・
作者 :楽しいです♪
すちか:それはなにより。さて、今回はこの辺でお開きかしら?
作者 :そうですね。それでは皆様、次回をお楽しみに〜♪
すちか:次回もよろしくお願いいたします。m(_ _)m(深々)