あの時の青空倶楽部 外伝
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『あの時の青空倶楽部 外伝』 −宮様の締め切り前−

カタカタカタ。
今日もキーボードを打つ音が響き渡るこの部屋。
締め切りは明後日。
これに間に合わないと、来週月曜日に生徒に配る校内新聞が出来上がらない。
ここで、賢い読者の皆さんはお気づきとは思いますが、報道部と新聞部がごっちゃになってない?と疑問に思われたはず。
そう、この学園は報道部と新聞部は同一の存在になっているのです。
そして、私が報道部部長、月の環の宮。
毎回、フレッシュなネタをいち早くキャッチし、生徒にすばやく展開。
生徒が望む情報を早く、正確に、そして正しく伝えるのが私の使命!
なんですけどね〜、今回のネタには少々不満が残る。
実は今回は……ネタが無かった。
一面を飾るだけのネタを仕入れることが出来なかったの〜(T-T)
(シェティスさんの恋人発覚のネタは号外でつかっちゃったし……)
先日あった、学園の二大アイドルであるシェティスさんの恋人発覚?!のネタは号外としてその日のうちに出してしまった。
もう一人のアイドルの方は良いネタが入っていないため無理。
この間新たに見つけた第三の候補は、さして話題になる事は無く静かに消えていったみたい。
彼女のリュートは絶対に受けると思ったんだけど、頑なに拒否しまくってたからな〜。
でも、記事としてはとっても面白かった。彼女も今後はマークしておこう。
にしても……
「はぁ」
ついつい、ため息が漏れてしまう。
こんな時のために、噂の発生頻度SSSクラスの『あの時の青空倶楽部』に潜入取材させてるってのに……
「甲斐那はなにやってんのよ〜! 」
「ん? 呼んだか? 」
がらっと部室のドアを開けて入ってきた人物こそ、今私が叫んだ人物、甲斐那だ。
報道部に所属しながら、最近はめっきり顔を出さないこの男。
それもそのはず、現在甲斐那は例の倶楽部に潜入取材中。
しかし、まったくネタを提供してきやがらないのよ、この男。
「甲〜斐〜那〜! あんたは毎日毎日ネタもよこさず一体なにやってんのよ〜! 」
私の剣幕にじりっと一歩後ずさる甲斐那。
「い、いや……あの部屋にいると時間を忘れてな。その、取材を忘れてつい……」
冷や汗をかきながらしどろもどろになっている。
こいつは〜……
「い・い・か・ら・今すぐネタを提供しなさい。10分以内よ! 」
「りょ、了解! すぐに書き上げてきます!!」
まさに一陣の風のようにぴゅ〜と部屋からダッシュで走り去る。
よしっと、これでネタがくればOKね。
「あの〜部長、一面差し替えですか? 」
「うん、あ! 今作ってるやつはそのままお願い。一応保険ってことでね」
「はぁ、保険ですか……」
部員はしぶしぶといった顔で原稿に戻っていったみたい。
ん〜、保険って言い方は悪かったかな〜。


10分後


甲斐那が持ってきた原稿、それを読んでいるのだが、
「へえ〜、新しい施設ね〜、何時の間にこんな情報を仕入れてたわけ?これまだ職員も知らない情報でしょ?」
今度学園に建設が予定されている新しい施設の話題であった。
その施設はショッピングモールや、アミューズメント施設などが入る予定らしい。
学園内にこんなの作っていいのだろうか……
計画の段階ですでにもめている案件だろう事は疑いない。
「ああ、ちょっとしたコネがあるんだよ俺。一応公表して良いって許可は学園長に貰ってるよ」
どうやら、学園長自身も建設に迷ってるらしく生徒の反応を見て決めたいみたい。
こんなのが出来たら私は便利だと思うし、きっと反対する人はあまりいないだろうな〜。
「さっすが甲斐那。伊達に報道部のエースを名乗ってるわけじゃないわね♪ 」
上機嫌でニコニコしている私の前で左手の中指でメガネをクイッと直している。
最近困りだすと良くやるみたい。癖になってきたわね。
実にかっこいい。
以前はコンタクトをしていたようだが、絶対にメガネが似合う!と思い
私が無理やりメガネに変えさせたのだった。
(うんうん、やっぱり甲斐那はメガネが似合うね〜)
内心どっきどきの私である。
「別に俺は報道部のエースなんてものじゃねえよ」
照れたように横を向いてしまうその姿も……良いわね。
「馬鹿ね、リップサービスよ。ま、次もしっかり頼むわよ」
しかし、口から出てくる言葉は思っていることとは別の事。
「ち、かわいくねえ……じゃ、俺は行くからな」
ばたん。
「……部長」
「……言わないで。わかってるから……」
「はぁ、まあ良いですけどね。じゃあ記事差し替えますよ」
「うん、お願いね」
はぁ……
なんで素直にありがとうとか、よくやったわとか言えないのかな〜私って……



その後、発行された新聞の反応は好評であり、施設建設の話は無事に着工されたのだった。
なんと、完成は二ヵ月後と言うから驚きである。
完成後、入り浸る生徒が続出したが、なぜか成績が下がる生徒はおらず、
当初懸念された落第する生徒が出るのでは?といった不安は杞憂に終わった。
この事実の背景には、我が報道部とお店側の暗躍があったのだが、それに関しては秘密とさせてもらおう。



おしまい。

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あとがき
すちか:祝!マビノギ復活おめでとう〜
作者 :ありがと〜><
すちか:で?なんで休んでたの?
作者 :別ゲーに行ってたから><
すちか:わかりやすい事で(^^;
作者 :まあ、そう言わずに
すちか:で?別ゲーは終わったの?
作者 :たまにやってますがずっと向こう!ってのはもう無いですね〜
すちか:ふ〜ん、所で今回のこの外伝ってさ……
作者 :はい、以前お蔵入りさせたSSそのまんまですね
すちか:若干の加筆修正はしてるみたいだけどね
作者 :本当に若干ではありますがね〜
すちか:確かに、お蔵入りする時も手直しして使う!とは言ってたけどさ〜
すちか:さすがにこれは……手抜きすぎじゃない?
作者 :良いんです〜><
作者 :作った時は苦労して作ったんだから〜><
すちか:まあ、それはわかるけどね〜
作者 :ってことで、今回は外伝という形にしました。なので、登場人物は主に二人です
すちか:甲斐那さんと宮様のお二人ですね
作者 :はい、以前からこの二人に焦点を当てた学園編の話を作ろうと思ってたんですよ〜
すちか:異世界編は別物だからね〜
作者 :ですです
すちか:復帰した日にお二人にばったり出会ったって点も強いんじゃないの?
作者 :そうですね、それで今回のお蔵入り物件を思い出しましたから
すちか:もう少し修正するのかと思ってたけどね〜
作者 :作った当時はしょぼいな〜と思ってたんですが、今読み直してみると意外といいんじゃね?と(苦笑)
すちか:それで、追加して完成させたと?
作者 :そういうことです。さすがに本編として出すのはなんだかな〜だったので外伝という形にさせていただきました
すちか:そういえば、本編の続きは書くの?
作者 :そちらに関しては書かない予定でいます。学園編、異世界編共に現状のもので完結です
すちか:学園編は一話読みきりタイプだから良いとして、異世界編は中途半端じゃない?
作者 :最後のやつを番外編ってことにして、あれで打切りって事で一つ……だめ?
すちか:まあ、皆さんの反応しだいってことね
作者 :ああ、それなら問題ないですね。第一誰もよんでn(都合によりキャンセルされました)
すちか:危ない事をいうんじゃな〜い!!!
作者 :ひぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃ><