あの時の青空倶楽部 第八話
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『あの時の青空倶楽部8』 −報道部−

どこまでも青い空。
輝く太陽。
天高く浮かぶ真っ白な雲。
風に舞う桜の花びら。
春だね〜。
そして、桜が満開とくれば!
「当然お花見よね〜。みんないくわよ! 」
とまあ、そんな訳で今回はお花見に来ております。

部長のロンディネラお姉さまは今日も元気いっぱい。
手にはとっても怪しい物件が……
「もちろんジュースよ? 疑うならすーちゃんも飲んでみる? 」
「いえいえ、信じてますよお姉さま」
内心は疑心でいっぱいだけど。
でも、シェティ先輩も一緒に飲んでるみたいだし、大丈夫だろうな〜
……妙に顔が赤くなってるみたいだけど。
となりでゆにさんが、ばたんきゅ〜になっているのは見なかった事にしよう。
「まあ、せっかくの花見の席です。硬いこと言わずに♪ そうそう新譜が手に入ったんですよ。すちかさん合奏しませんか? 」
「え? 私?? いや〜、アツシさんと合奏なんて無理無理ですよ〜」
クラスTOPの腕前の方との合奏なんて……緊張しすぎで絶対に失敗する〜><
無理な事はやらない。
これが、私の処世術。
逃げてるだけって言われそうだけどね(苦笑)
「すちかさんなら大丈夫だと思うけどね〜」
「うん、私もそう思うよ〜っと、はい王手ね」
「なに! ちょっちょと待った! 」
「待ったは3回まででしょ? もう4回目よ? ってことで今回はだめ〜♪ 」
こら! そこで将棋指してる甲斐那さんと鳳ノ花さん、余計な事を言わないように!
ほら! お姉さまに感づかれた〜(T-T)
「す〜ちゃん、私もきっきった〜いな〜♪ 」
ああ……一番厄介な人に(T-T)
さて、どうやって煙に巻こうかな。
お! そうだ良い事思いついた!
「ごめんなさい、実はリュート持ってきてないんですよ〜。なので残念ですけd」
「はい。すちかさん愛用のリュートですよ〜♪ 」
……
シェティ先輩、なんで? なんで私のリュートを持ってるの??
「こんな事もあろうかと出掛けにこっそり拝借しておきました♪ 」
それは窃盗ですぞ〜><
ぅぅ、逃げ道が無い。
「ほらほら、諦めて演りなさい」
「む〜、しょ、しょうがない……アツシさん、手加減してくださいね」
「手加減……必要なのかな〜。本気で演らないと僕がついていけないと思うんだけど」
んなわけないっしょ。
しかし、リュートも久しぶりだな〜
え〜と、音は……うん、調律はばっちりと。
とりあえず指鳴らしに軽く弾いてみる。
〜♪
〜〜♪
〜〜〜♪
うん、指も追いついてる。大丈夫大丈夫。
あれ? みんな静かになった?
「ん〜、すーちゃんのリュートはいつ聞いても良いわね〜」
「静かに響いてくる感じが素敵です」
「やっぱり手加減とかいらないじゃないですか」
「良いね、ん? もしかして……お! 打開策の手が見つかった。これなら生ける! 」
「あら? 今回は無事に見えたんですね。ふふふ」
こらこら、何を言ってるんだね? 君たちは。
お世辞を言われて持ち上げられても何にもでないぞ〜。
「じゃあ、すちかさん、演りますか。これ、楽譜です」
「ほいほい、えっと、『涙をこえて』あれ?どっかで聞いた事あるような……」
「じゃあ、行きますよ。1,2,3,4」
〜♪
〜〜♪
〜〜〜♪
〜〜〜〜♪
〜〜〜〜〜♪



演奏に合わせた様に風がそっと吹き始め、桜の花びらが優しく舞い、静かな調べが辺りに響き渡る。
さくらも草も観衆のみんなも静かに曲を聴いていてくれる。
そんな中、私は先ほどまでの緊張も忘れてゆったりとリュートを奏でる。
穏やかな気持ちを調べに乗せて聞いてる全ての方に届けるように。
隣ではアツシさんがマンドリンを奏でながら私に合わせるように演奏してくれている。
(さすが、アツシさんだわ)
アツシさんとの合奏は初めてでは無いにせよ久しぶり。
それでも、綺麗に合わせてくれるのはアツシさんの技術の高さの証明に他ならない。
時が立つのを忘れるくらい自然と気持ちの良い時間が流れていく。



〜♪
無事に演奏終了。
(さすがに、この面子の前でなら演奏するのも慣れたけど、やっぱり緊張はすごいわね)
強張った気持ちを開放するように私はほっとため息をついた。
ぱちぱちぱちぱち
一息つくことでようやく拍手されている事に気がつくほど、私は周りが見えていなかったようだ。
「さすがすちかさん、初見の楽譜を見事に演奏してましたね」
アツシさんがにっこりとそんな言葉をかけてくる。
ん〜、初見なのかな〜なんか昔聴いたことあるような気が……
「なんか、昔聴いたことがある気がして。なのでいきなりでも出来ました」
しかし、やっぱり拍手を貰うのは良いな〜。
もう一曲くらいなら……だめだめ!もうこれ以上は無理><
そんな風に一人でニヤニヤしていた所、急に茂みから一人の女生徒が飛び出してきた。
手には、カメラを持っており、表情はもうものすごい笑みを浮かべて……
彼女こそ、エリン学園の伝説的人物であり、報道部部長『月の環の宮』さま。
全ての行動が特ダネに結びつくというレアスキルを持っている伝説の人物。(そんなスキルはありません)
「ふふふ、特ダネをGETしたわよ! タイトルは、エリン学園の歌姫発見、新たなアイドルの誕生か!?よ!
いや〜、たまにはお花見なんて洒落た事もしてみるものね♪ 散歩のつもりが良いネタGET♪ 」
な!なんですと〜!!
演奏してるだけで歌姫ってなれるの〜?
しかも姫って事は私? 私なの〜?
合奏してたんだからアツシさんは!?
あ、でもアツシさんじゃ姫にはなれないな〜
って、違う! そうじゃないだろう!!
にしても偶然花見に来ていただけなのにネタをGETとは、伝説に偽りなし! だね〜。
って感心してる場合じゃな〜い!!
「ちょっと待って! 私許可してない! 」
「あら、良いわね。校内新聞期待してるわよ宮様」
「ふ、任せておいて!もちろん、ネタ提供元のあの時の青空倶楽部の皆様には一番最初にお届けしますからね」
「当然ね」
まちなさ〜い! 当事者の私の意見は無視? 無視なの??
お姉さま! 勝手に決めないで!!
「ひ、人の話を聞け〜〜〜! 」
「じゃ、私は早速原稿書きに戻るわ。甲斐! あんたもくるのよ、ぐずぐずしない!! 」
「お、おう! じゃ、そういうことで、勝負は預けたぜ鳳ノ花♪ 」
「ああ!! また負けを認めていかないで〜! む〜、私のメロンパン置いていきなさ〜い>< 」
ひゅ〜〜
まさに風のように去っていったわね。
「あの、私の反対意見は? 完全に無視? シカトですか? 」
……後日私の反対を完全に無視した校内新聞が全校生徒に配られ、
私は演奏をお願いされる事が爆発的に増えたのだった……
「こ、こんな展開は、私は認めな〜い><」

おしまい。

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あとがき
すちか:……
作者 :……
すちか:えっと
作者 :なんでしょうか?
すちか:……自慢小説?
作者 :んなわけないでしょ
すちか:だって、私思いっきり嫌味なやつじゃない? これ
作者 :そんな事……無い事も、無い……気がする
すちか:謙遜してるのも、自慢に見えてしょうがないんですけど……
作者 :良いんです! 設定には特技がリュートだってあるんだから!!
作者 :それに人前では滅多に演奏しないってなってるんだから!
すちか:まあ、確かにそういう設定があるけどね〜
作者 :それはさて置き、今回は月の環の宮様を登場させるのが目的だったのですが……
すちか:なんかちょい役になってな〜い?
作者 :宮様をメインで書いてた話は諸事情でお蔵入りです(T-T)
すちか:まあ、あれはさすがにね〜
作者 :以前の私なら間違いなく削除してましたね
すちか:今回は何で残したの?
作者 :いつか手直しして使おうかと……
すちか:色々姑息な手段を身につけてきたわね
作者 :(閑話休題)さて、お花見のシーズン到来ですね!(4/20に書いてました)
すちか:そうね〜でも、これを発表する頃はすでに過ぎ去ってるわよ?
作者 :過ぎ去ってますね〜(9/16にサイトにUPです)。ごめんなさい。私の作業スピードが遅いのです(T-T)
すちか:しかし、この時期はお花見に新歓にとお酒を飲む機会が多いですね
作者 :私は最近ワインに凝っております
すちか:以前はまったく飲まなかったのにね〜どういう心境の変化?
作者 :ストレスです
すちか:き、きっぱりと……(^^;
作者 :まあ、飲むといってもワイングラス半分にも満たない量を一杯だけですから
すちか:量飲むわけじゃないのね
作者 :ですです。皆様もお酒の量には気をつけてくださいね。飲み過ぎはだめですよ〜
すちか:さて、〆っぽい言葉も出たので今回はこの辺で。
作者 :次回をお楽しみに〜♪