あの時の青空倶楽部 第六話
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『あの時の青空倶楽部6』 −恋愛事件は大混乱−

「こんばんわ、すちかです。今日は皆さんに先日学園で起こった事件についてお話します」
そう、その事件が起こったのは誰もがいつもと変わらない日常を過ごしていた時におきました。
部室では、アツシさんがマンドリンを奏で、お姉さまが優雅にお茶を飲み、
甲斐さんと鳳ノ花さんが将棋を指している。
そんないつもと変わらない日常を過ごしていました。
そして、事件は唐突におきました。
バタン!
「おい!シェティはいるか?」
顧問のニルシェ先生が息を切らして部室に飛び込んできて早々にそんな事を騒ぎ立ててきます。
「先生、落ち着いてください。シェティならまだきてませんよ?」
お姉さまが落ち着いて対処しつつ、私に目配せをする。
私はこくりとうなずき冷蔵庫からペットボトルを取り出し、コップに水を注いでニルシェ先生に手渡す。
先生はよっぽど慌てて来たらしく、渡されたコップに入っている水をごくごくと飲み干した。
「ふ〜、すまん、少し落ち着いたよ」
「それで?シェティに何か用なんですか?ファンの強奪なら本人に許可取る必要ないですよ?」
「ち・・ば・・そんなんじゃねえよ!それに、俺は教え子に手なんて・・・」
「はいはい、で、一体なんですか?」
ぐるっと部室内を見回し、いないことを確認するニルシェ先生。
だから、いないって言ってるのに。
「ふむ、今日は少ないな?とするとこれからどんどん飛び込んでくるだろう。まあ詳しくは他の奴に聞け」
くるっと背中を向けて部屋から出て行ってしまうニルシェ先生。
相変わらず謎しかないお方だ。
「なんだったんですかね〜」
マンドリンの調律をいったん止めたアツシさんが不思議そうな顔をする。
部屋にいる皆が同じ疑問をもったようで、皆が皆不思議そうな顔でドアを見ていた。
ただ、甲斐さんはこっそりと駒をずらそうとして鳳ノ花さんに手をたたかれていたようだけど・・・



しばらくして、先生の予言通り別の人が次々と部室に飛び込んできた。
「シェ!シェティス様がいずこ!!」
「噂は本当なんですかシェティス様〜!」
「嘘だっていってくださ〜い!!」
「くそ〜、相手は誰なんだよ!お前ら知ってんだろ!正直に吐け!!」
「俺の借金チャラにしてくれるって本当か?」
怒鳴り込んでくる人、泣きながら叫ぶ人、とりあえず騒ぎに来た人。
(騒ぎに来ただけの人はお姉さまが折檻してお帰り願ってますが)
さて、さて、一体これはなんなんでしょうね。
「一体、なんなの?これじゃ今日はここにいると質問攻めにあいそうね」
「どうするんです?お姉さま」
「そうね〜、とりあえず皆でシェティを探しましょうか。この時間ならまだ学園内にいるでしょうから」
「良いね!よし、早速探しに行こう」
「あ、甲斐さんずるい!負けを認めてから行きなさいよ〜!」
どうやら、鳳ノ花さんの圧勝だったらしい。何か賭けてたように思えたけど、甲斐さん踏み倒しか。
「なにやら、新たなサーガが紡げそうですね。僕も探してみますよ」
「じゃあ、見つかったらいつもの喫茶店で落ち合いましょう」
「わかりました。甲斐さんと鳳ノ花さんには僕から連絡入れておきますよ」
そういって、アツシさんはゆっくりと部室を後にする。
優雅だな〜さすが吟遊詩人。
身のこなし一つとっても綺麗なんだよね〜
っと、私もちゃちゃっと探しに行こうっと。
「すーちゃん、一緒に探しに行くわよ」
「はい、でも心当たりあるんですか?」
「生徒会室でしょ?この時間なら。私はファンの子捕まえて押し付けてきたけど。シェティは真面目だから」
なるほど・・・って、押し付け?さぼり?さぼりですか??
裏から操るって豪語してたあれは冗談じゃなかったのかな(^^;
「さて、気は進まないけどいくわよ」
お姉さまと二人で部室を後にする。
向かうは生徒会室。
程なくして、生徒会室に到着し、中を確認すると案の定書類の山に埋もれるシェティ先輩と
お姉さまに押し付けられた書類をテキパキと片付けている男性が。
「おお!さすが、はやさか君。すばらしい」
「あ、ロンディネラさん。もうちょっとで終わりますよ」
「うんうん、いつもありがとうね」
「いえ、僕生徒会の仕事に憧れてましたから!」
二人のやり取りは置いといてっと。
「シェティ先輩。ちょっとお時間良いですか?」
「ん?すちかさんどうしたの?」
書類から視線を上に戻し、手を止めて私の方を見てくれる。
「えっと、なんか今日色々な人がシェティ先輩に聞きたいことが!って詰め寄せてきたんですが、何か覚えがあります?」
え?と動揺したような表情を見せたと思ったら明らかに慌てて書類の山をばさばさと崩してしまったりと
ものすごい動揺を見せてくれた。
う〜ん、レア光景だな〜。
「え?私?な、なんで?思いあたるふし?ぜ〜んぜん無いよ!」
動揺しまくりなシェティ先輩ってのも新鮮だな〜。
「シェティ、ごまかすの下手ね。で、一体何があったわけ?」
「えっと・・・えへ」
「・・・なるほど・・・彼氏が出来たわけね。相手は?」
え?シェティ先輩に彼氏!
そ、それは大問題じゃないですか!!
ファン倶楽部どうなっちゃうの!
そりゃ、皆殺到してくるわけだよ。
「あ、相手は・・・その、倶楽部の・・・えと・・・」
「なるほど、ゆにさんね。おめでとうシェティ」
「あ、ありがとうございます」
ゆにさん!!ガーン気づかなかった・・・
私、相変わらずそういう話弱いな〜。
「なるほど、わかったわ。で?そのゆにさんはどこにいるわけ?となりの部屋かしら?」
その声を合図にしたのか、がちゃと隣の扉が開いてそこから現れたのは噂のゆにさんだった。
お姉さま、なんでそんなに鋭いの?
観察眼がものすごいのか、読みきってるのか。
「さすが、部長。参りました」
「まあね、で?どうするわけ?この状況」
「そうですね、とりあえず公表して僕がぼこられますか・・・」
アイドルの彼氏ってのも大変だね〜
でもまあ、ゆにさんなら大丈夫じゃないかな〜
「さて、そういう事なら私も一肌脱ぎましょうか」
「お姉さま?何する気です?」
「簡単。皆を体育館に集めるだけ。ってことでそこで書類整理から逃げまくってる殿下の出番よ?」
「あれ?ばれてた?いや、さすがロンディネラだね。生徒を集めるか・・・放送の使用許可を出すくらいで良いなら」
「なにいってんの?殿下がやるのよ」
「おいおい、僕の放送で集まると思ってるのかい?」
「シェティに関する重大発表って言えば集まるわよ」
「なるほど・・・って、それなら僕がやらなくても良いんじゃないか?」
「いいから!さっさとやる!!」
やれやれ、と言いつつも兄上の顔は楽しそうなのを私は見逃さないわよ?
まったく、イベント大好き人間なんだから・・・私も嫌いじゃないけど
「さて、忙しくなるわよ。さ!体育館にGO!」
「わ、私まだ書類整理があるんで」
「シェティ、主役がいないでどうするわけ?諦めなさい」
と、こうして、全校生公認のカップル誕生になったわけですが・・・
「ゆにく〜ん、ちょっと顔貸してもらおうか。なに、すぐ済むからよ」
ゆにさんの苦労はまだまだ続くようです。
アイドルの彼氏になった宿命ですね。
でも、シェティ先輩もゆにさんも幸せそうだし。
めでたし、めでたし・・・かな?
「すーちゃんの春はいつ来るのかしらね」
ずっとこないと思います。はい。
ちゃんちゃん♪

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あとがき
作者:シェティ先輩、ゆにさん、ご結婚おめでとう〜♪
すちか:おめでとうございます。
作者:いや〜、めでたいめでたい。
すちか:そうだね〜、でもゆにさんも色々といじられて大変みたいよ。
作者:アイドルの旦那になったのですからそれは宿命です。
すちか:でも、まったく気づかなかったわね〜
作者:まあ、鈍いですから私は
すちか:確かに、学生時代も色々それで大変だったものね〜
作者:そんな昔の話はもう忘れました。
すちか:へえ〜、じゃあ今度暴露してもいいわよね?
作者:ごめんなさい、勘弁してください(><)
すちか:まあ、作者の学生時代はね〜
作者:色々ありましたからね〜
すちか:なんにせよ、シェティスさんとゆにさん、おめでとうでっす
作者:おめでとう〜♪