あの時の青空倶楽部 第二話
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ぅ〜頭が痛い。
世間様では今年も風邪が大流行。
服や小物などのおしゃれ関係の流行には一切乗れない私だけれど、
こういった病気関連の流行は真っ先にHITしている。
なにせ市内でただ一人鳥インフルエンザにかかった女なのである。
(健康面にはいつも気をつけてたのにな〜)
気をつけてはいても引くときは引くもの。それが病気と言うやつである。
だが、今回は少々心辺りが無くも無い。
(む〜、先輩が悪いんだ〜あんな・・・あんな!!)
ぼっ!と音がしそうなほどの勢いですちかの顔が真っ赤になる。
昨日の放課後の事を思い出してしまった。
あの後、状況が理解できずに呆然と立ち尽くしてしまうこと3時間。
まだまだ暖かいとはいえ、それでも夜ともなれば冷え込む季節。
そんな所に立ち尽くしていれば風邪の一つもひくってものだ。
そんな訳で、現在すちかは熱をだしてお休み中なのであった。

だがしかし、そんな日でも『あの時の青空倶楽部』は元気に活動を行っている。
(そりゃ当然だよね(苦笑))
「さあ、今日はウレイド森まで散歩に行くわよ〜」
先頭きってずんずん進むは絶対無敵な部長:ロンディネラお姉さま
すちかの風邪の原因を作り出した犯人。
む〜、お姉さまの馬鹿〜><
「な、なんかひどい言われ様をしてる気が・・・気のせいかしら?」
気のせいじゃないです〜><

「今日も良い天気で良かったね♪」
と天使の笑顔を振りまくは絶対可憐は副部長:シェティス様
そのお姿には後光が差すほどの神々しさ!
微笑みかけられれば死人すら微笑むと言う伝説の笑み。
神が作り出したもうた芸術品とはまさにこの御方のためにある言葉!!
「大嘘が炸裂してませんか?10割嘘ですよ?それ」
あの・・・なぜシェティ様は反論できるのでしょうか・・・(^^;

「あんまり遅くならないようにしてくれよ。俺は急がしいんだ」
一応顧問のニルシェ先生と、
「あ、ニルシェ先生。先ほど女生徒から伝言を受けまして、放課後用事が出来ちゃった。ごっめ〜んとの事ですよ」
「な!あ、いや、そうか、わざわざすまんな甲斐」
「いえいえ、先生もほどほどにしておいたほうがいいですよ?」
にこやかに告げる甲斐さん。
ちなみに、甲斐さんは報道部の方にも所属している方で、学園内のいろいろな話に精通しているすごい方です。
以前、取材でうちの倶楽部を訪れた際に気に入ってしまったようです。
ニルシェ先生は歴史の先生で、あの時の青空倶楽部の顧問をしている方。
女生徒といろいろ話題になることの多い、かっこいい先生です。
私はターゲッティングされないみたい。まあ当然っちゃ当然ですがね(苦笑)

「しまった・・・お弁当持ってくるの忘れた!?」
「そう思って私が用意しておいたよ〜。一緒に食べようね」
どこでも熱々なお二人なクーメリさんとなつかぜさん。
クーメリさんは伝説の・・・私の口からはこれ以上は語れません。
なつかぜさんはさらに伝説の・・・これも私の口からは語れません。
お二人の話はいつか別の機会に語られることでしょう・・・

「とりあえず一曲聴きますか?良いのが手に入ったんですよ〜」
と、マンドリンを構えているのは桜蓮寺アツシさん。
漢字が難しいのでアツシさんにしておきましょう(笑))
いつも素敵な演奏を披露してくれる吟遊詩人さん。
どこから楽譜をGETしてくるのか不明ではあるけれど、マニアックなものが多いのは気のせい?

と言った感じで今日も元気に活動してるんだろうな〜。
私も参加したかったな〜・・・(T-T)
と言うことを部屋のベットに寝込みながら考えていると、玄関のチャイムが。
ピンポーン!
(なんだろう・・・今誰もいないから私が出ないとだめかな〜やっぱり・・・)
(でも、変な勧誘だったら嫌だし・・・居留守しちゃおうかな〜)
ピンポーン!
ピンポーン!
再びチャイムが鳴らされる。
(む〜、こうなれば持久戦だ〜><)
ピンポーン!
ピンポーン!
ピンポーン!
・・・
ピンポーン!
ピンポーン!
ピンポーン!
ピンポーン!
(し・・・しつこい・・・もうしょうがないな〜)
私はだるい体を起こして玄関に向かうのだった・・・
「すみません、今両親いないので勧誘はお断りします」
「あ、すーちゃん。やっほ〜私だよ〜」
はい?この声は?
お姉さまのお声に非常に似てますが・・・
「部長、それじゃ逆に怪しいですって。あ、すちかさん、こんにちわシェティスです。お見舞いに来たんですが大丈夫ですか?」
へ?シェティス様??なぜにうちの学園二大巨頭がこんな所に?
それにしても、シェティス様がいて、こんな強攻策に出るとは・・・
珍しいこともあるんだな〜
「と言うわけで、すーちゃん、玄関開けてくれるとうれしいな〜と私は思ってるんだけどどう?」
「あ、ああ!ごめんなさい、すぐに開けますね」
がちゃっ!と玄関を開けたそこにはお見舞いの品だろうか・・・かごを持ったシェティス様とお姉さまが。
「わ、わざわざすみません。ど、どうぞ」
「お邪魔します」
「あれ?すーちゃん一人なの?」
とりあえず、私の部屋・・・で良いのかな。に案内する。
「ちらかってますけど・・・今飲み物持ってきますね」
「すちかさん、病人は寝ててください」
「そうよ〜、私はちょっと弱り気味なすーちゃんを見に来ただけだから♪」
「もう、一番うろたえてたのは部長だったくせに」
「こら!シェティ、余計なことは言わなくていいの」
「はいはい、ささ、すちかさんは寝てください」
「は、はあ・・・じゃあ申し訳ないですが」
私はいそいそとベットに戻る。確かに体はちょっとだるかったからちょっと助かったかな。
しかし、今妙な事を聞いた気が・・・
うろたえてた?あのお姉さまが?
「ふふ、本当ですよ?」
シェティス様がすべてを悟ったように笑顔で肯定してくれた。
(か、顔に出てたのかな・・・)
「すーちゃんの部屋って、予想外の部屋だね。なんかこう・・・」
私の部屋の物色を終えたお姉さまが感想をもらす。
でも、私にはその回答は予想済み!
なにせ、部屋に入れた友達は皆が皆そういうから(苦笑)
「ぬいぐるみとかがあふれてると思いました?」
「そう!そうなのよ〜。でも一個もないのよね〜。書籍は予想通りだったのに・・・」
「部長・・・勝手に本棚まで物色したんですか?」
「シェティ好みも多数あったわよ?」
「え?そ、それは・・・ほんとに?」
シェティス様好みのって・・・一体どれのことだろう・・・
でも、好みな所があるなら、
「良かったらもって行きます?」
「え!えええ!!だ、だめだよちかちゃん!そんな軽はずみな!」
「ほへ?」
「え?あ、その、あ、ありがとう。こ、今度ね今度」
「はぁ・・・」
はて?一体なんなんだろう・・・
妙にツボに入ったらしくお姉さまは大爆笑中だし、シェティス様は真っ赤になってもじもじしてるし・・・
私の本棚にある本といえば・・・恋愛ものばかりだったような・・・
「すーちゃん、良いわ〜その反応。大好き」
「はぁ・・・それはその、どうもです」
今日は珍しいものが見れる日だな〜
お姉さまの爆笑の図にシェティス様の真っ赤もじもじの図
ファンの人たちからすればお宝映像満載だね。
「さ、さて、私は用事があるので失礼しますね。すちかさんもお大事にですよ」
「あ、ありがとうございます。すみません、お構いもせずに」
といって、私はベットから出ようとした所、
「病人は寝てるものです。部長。私は先に帰りますけど、部長も長居はしちゃだめですよ?」
「はいはい、わかってるって、シェティこそ、バイト無理しちゃだめよ?相談はいつでも乗るからね?」
「ふふ、ええ、頼りにしてますよ。それでは」
アルバイト?シェティス様が?
「見かけはお嬢様に見えるけど、ごく普通の家庭の子だからねシェティは。だからアルバイトしてるのよ」
「なるほど、確かに見た目はお嬢様ですからね。シェティス様は」
意外・・・と思ったのは一瞬だけ。
その後はなんか意外な秘密をしっちゃったって思いがより身近に感じられたりして。
ん〜、そんな風に思わせるのはシェティス様の魅力なんだろうな〜
「そうそう、すーちゃん。そのシェティス様ってのもやめてあげて。本人は嫌ってるからその呼ばれ方」
ちょっと真剣は眼差しでそう言って来るお姉さま。
その瞳には一切の遊び心も冗談っぽい感じも見えない。
ほんとに真剣に話してるんだとわかる視線。
「あ、はい。ごめんなさい」
「うんうん、わかってくれてうれしいよ」
私はそんなお姉さまの視線に対して条件反射的に謝ってしまっていた。
だから、私の答えはお姉さまに対する答えではないかもしれない。
それでも、お姉さまはその答えを聞いた後はいつもの笑顔に戻ってくれていた。
「ロン姉さまはやっぱり部長なんですね」
「ん?なんで??」
「皆のことをちゃんと見てる・・・から・・・じゃだめですか?」
「そうかな〜?私は第三者的視点で物事見る癖があるからそう感じるだけかもね」
客観的に物事の全体を見ることが出来る人。
そういった人はリーダー向きなのだと何かの本で読んだことがある。
やっぱりお姉さまはリーダーなんだな〜。
「お姉さ、あ、いえいえ、そうじゃなくて!!ロン姉様じゃなくて!!ぶ、部長はその・・・すごいです」
「なんか色々変な呼ばれ方しなかった今?それに私はぜんぜんすごくないよ?」
「いえ、十分すごいです」
「ま、良いけどね。と・こ・ろ・で・♪」
う・・・この表情はまずい・・・
これは、何か面白そうなことを見つけたときの目だ!
「ねえ、すーちゃん。さっきなんていいかけたのか〜。ほらほら、お姉さんにいってみ?」
「部長」
「あら、とぼける気?」
「・・・ロン姉さま」
「最初に言いかけたやつは?」
「・・・・・・お姉さま(ぼそっ)」
「きこえな〜い♪」
く・・・これは、言わないと開放してもらえない状況だね?そうだね?間違いないね??
「・・・・・・・・・お姉さま」
「はい♪」
くあ〜!満面の笑みで答えるな〜><
や、やばい・・・鼻血でそう・・・。
お姉さま・・・素敵過ぎる〜><
「じゃ、ちゃんと言えたご褒美に良い事してあげよっか?」
そういうと、制服のネクタイをしゅるっと・・・
ちょ、ちょ、ちょっと!ちょっとまて〜い!!
「お!お姉さま!何をする気ですか!だ、だ、だだだだめです!そういうのは別の機会に!」
のぁ〜私は何を言ってんだ〜><
あ!あああああ!!!ほ、本棚の本って・・・あああああああああああ!!!!!!
あ、あれはその、と、友達に薦められてしょうがなく買ったやつで、別に私が買いたかったわけじゃなくて
そ、その、いや、確かに興味はあったけど・・・でも、その・・・私にはまだ早かったというか、
いや、別に早い遅いじゃなくて、どっちかというと私は遅いかな〜なんて思ったりもって、ちっが〜う!
ああ!シェティさんの好みのってあれか!あれのことか!!だだだだだめ!あれは絶対にだめだ〜><
でも、そっかシェティさんあれが好みなのか〜なんか私と通じるものがあるな〜って、そうじゃなくて!!
「うふふ、さあ、すーちゃん、あ・な・た・も・☆」
まったまったまった〜><
それはいかん!いかんですよ!!!
ここここ、これは全年齢対象なんですよ〜大人な方向けじゃないんですよ〜って何の話だ〜!
とととととにかくこれはなんとしても止めないと〜
ああ、でもお姉さまとなら私は別に良いかも・・・ってちがうちがうちがうそうじゃないでしょ私!
「・・・ぷ・・・あははははは、すーちゃんうろたえ過ぎよ〜」
へ?ほへ??ええええ??
「あはははは、お、おかしい・・・だめ、我慢できない。あははははは」
またしても大笑いするお姉さまの図
「・・・お、お姉さまの馬鹿〜〜〜〜><」
「あはははは、ごめんごめん、じゃ、ほんとに襲っちゃおうか?」
「え?」
「・・・ぶ、あははは、冗談。冗談だよ〜」
ぬ〜・・・この人は・・・この人は〜!!!
「さて、大笑いしたところで私も帰ろうかな。すーちゃんも元気そうで安心したしね」
「ええ、お蔭様で元気でました。でましたとも」
「うんうん、やっぱり病気の時でも笑いは大事よ。笑えなくなっちゃったらだめよ」
「お姉さま・・・」
笑顔の中の優しい眼差しを見たとき私は気づいた。
(そっか・・・お姉さまはほんとに心配できてくれたんだ。)
気づいたけど、御礼なんかはいってあげないんだから!
「じゃ、また明日ね。っと、今日もキスしてあげよっか?」
冗談っぽく言ってきたのが私にもわかったので、
「そうですね、じゃあ、今度はほっぺじゃなくて唇にお願いします」
と軽く答えてみた。どうだ!できるわけないだろう!!
と思った私が甘かった・・・
「OK〜じゃ、目を閉じて」
はい?目を閉じる??
徐々に近づいてくるお姉さまの顔。
やわらかそうな唇が徐々に近づく。
え?ちょちょ!
「お、お姉さま!ストップスト〜ップ!!」
慌ててお姉さまを止める私。
それを予想していたかのようにぱちっと目を開いてまた大笑いするお姉さま。
・・・だめだ・・・私はこの人には勝てん・・・
「ああ、面白かった。じゃ、またねすーちゃん」
「はいはい、気をつけて帰ってくださいね」
ちゅっ
だまされ続けていたため、少々油断していた私の右頬に暖かくてやわらかいものの感触が。
「隙が多すぎるわよすーちゃん。じゃ、また、明日ね」
笑顔でさっていくお姉さま。
呆然とする私。
「や・・・やられた・・・」
私はどこまでいってもお姉さまのおもちゃのようだ・・・
でも、そんな状況も
「まあ、いっか。えへへ」
と思えてしまうのだから不思議なものだ。
風邪も治ったようだし、明日は学校に行くぞ〜。
お姉さまの笑顔とみんなと楽しく学べる学校へ。

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あとがき
作者 :ここまで読んでいただきありがとうございます。
すちか:なに?これ
作者 :あの時の青空学園編第二弾です。読めばわかるでしょ?
すちか:うん、タイトルはね。内容は?
作者 :前回書いたやつの続きですね。何かご不満でも?
すちか:無いと思うの?
作者 :思います!(断言)
すちか:へえ〜・・・(黒いオーラが立ち上る)
作者 :・・・えっと、あの・・・
すちか:もう一度聞くわよ。不満が無いと?
作者 :・・・え〜、その・・・こ、この物語は全年齢対象ですk(ドギャン!
すちか:そんな事じゃないわよ!!
作者 :じゃ、じゃあ一体何が?
すちか:はあ・・・もういいわ。で?次回作は?
作者 :次回?次回があるのかな〜
すちか:書くわよね?
作者 :ん〜どうだろう〜
すちか:書・く・わ・よ・ね・?(黒いオーラが噴出中)
作者 :ま、前向きに検討させていただきます・・・はい!