明かされる事実(前編)
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一夜明けて、首都エリムには珍しく深い霧が立ち込めていた。
世界を聖なる色に染め上げる霧・・・
白・・・それは光の属性を示す色である。
「朝・・・ですね。さて、日課の練習にでもでかけますかね」
晋の字の朝は早い。
辺りがまだ薄暗い時に目覚める。
そして、いつもの様にギターを片手に出かける。練習のために・・・
「・・・そろそろ出てきませんか?」
町を抜けた所で尾行しているものに対して声をかける。
宿を出た辺りからずっとつけられているのには気づいていた。
そして、それが敵でない事も・・・
「さすが、Star Light Forcesのメンバー。こんなにあっさり見破られるとは思いませんでしたよ」
「その名は今は出さないでください。それに、貴方も元メンバーでしょう?蒼さん」
「所詮は元よ。もうすっかり錆付いてしまっているわ」
グラシス川のほとりに腰を下ろし晋の字は持ってきたギターを静かに引き始めた。
やがて、音色に誘われたかのように鳥や無数の動物たちが周りに集まりはじめる。
その動物たちに混ざり、静かに腰を下ろし、流れる川をただ静かに見つめながら蒼は次の言葉を待っているのだった。
「蒼さん・・いえ、Sword Master。もう一度メンバーに戻る気はありませんか?」
「ない」
「・・・そうですか。貴方ほどの方が・・・残念ですよ」
一曲引き終わり、晋の字は改めて蒼と向き合った。その表情は真剣そのものであり、
一切の冗談が入り込む隙もないほであった。
「晋。私が抜けるときに言ったわよね?エンジュの皆に手を出すようなことがあれば、私が許さないって」
「はい、覚えています」
「なら、今回の事はなに?明らかにあの剣士は・・・」
「・・・その先は言わないでください」
蒼の話に待ったをかける。
「ええ、わかっています。今回の事件は我々のミスです。そして、彼のせいでチームは全滅しました
 唯一の生き残りである私は何とかして彼を止めようとここまで来ました。ですが」
そばに落ちている小石を一つ広い、川に向かって投げる。
ぽちゃんと言う音の後、滑らかに流れている川に小さな波紋が一つ出来上がった。
「彼はこの波紋のようなもの。最初は小さな力だった。ですが、今では・・・」
波紋は徐々に大きくなる。
「すでに私の力ではどうすることも出来ないでしょう・・・」
「それで?引退した私を今更引っ張るつもり?すでに私には彼らほどの力はないわよ?」
「ふふ、隠しても無駄ですよ。昨夜、彼女の部下を一瞬で葬ったあの強さはなんですか?」
「・・・見られてたのね」
フィリアの部下として昨夜襲撃してきたものは紛れも無く実力者であった。
普通にやりあったのでは今のエンジュのメンバーでは手も足も出ないほどの・・・
その二人をまるで小枝を折るようにいとも簡単に倒していたのであった。
「彼に壊滅させられた当時のチームの最高の剣士でもあの二人を相手にしては苦戦したでしょうね」
「しばらく離れてる間に弱体化したのね〜」
「世界でただ一人、Sword Masterの称号を名乗ることを許された貴方に比べたら・・・ね」
「Knight of Priestと呼ばれてる方にそういってもらえると嬉しいですわ」
「二人ともかっこいい称号もってるのね。とすると私は Magic Knightかしらねw」
「ゆら〜、それじゃ違う世界の人みたいだぞw」
「じゃあ、シュークは knight of round かしらねw」
「え〜?円卓の騎士?じゃあ、王様役はチロかい?」
いつのまにか、エンジュのメンバーが勢ぞろいしており、それぞれが勝手に称号を付け合う。
昨夜はぐったりしていたチロもすっかり元気に回復しているようで、いつものようにシュークとの
ラブラブっぷりを披露してくれていた。
「み、みなさんいつの間に?というか、いつからここに??」
「晋・・・それ本気で言ってるの?だとしたら、貴方もさび付いたわね」
まったく気づかなかったのは晋の字ただ一人のようである。
ちなみに、蒼は最初から全員の気配を察知していた。さすがSword Masterと言ったところである。
「晋さん、まだまだ修行が足りないね。動物が一杯集まってきた時点で怪しまないと〜」
「い、いえ、ギターの音色に引かれて出てきたのかと・・・」
しるくぅがニコニコしながらそういう。
つまり、まったく最初から聞いていたと言うことであった。
動物にまぎれて会話を盗み聞くと言う見事な変装。
発案者はぽぽえっとらしい。
「どうだゆら!俺の考えに変な箇所はなかっただろう?」
「動物の着ぐるみくらいでだませるとは思わなかったわ」
苦笑いの晋の字。
話に夢中になっていたとはいえ、なんとも間の抜けた話である。
「晋の字さん、教えてください。フィリアさんに何があったんですか?それにどうして私を?」
「チロさん・・・」
真剣なチロを前にどうして良いのかわからず、蒼に視線を向ける。
しかし、蒼は無関係と言わんばかりにぷいっと横を向いてしまっていた。
「・・・ふ〜・・・皆さん関係者になっちゃいましたしね〜。蒼さん、話しても良いですか?」
「だめ!・・・と言ってもくぅとか聞かないと収まらないだろうし・・・しょうがないな〜。良いわよ」
「じゃあ、蒼さんのお許しが出たので・・・まずは私の所属する組織の説明からしますね」

Star Light Forces
いつから有るのかはわからない謎の組織。
一説によれば世界の成り立ちの時からあるとさえ言われている。
組織の目的は世界の危機的な状況を回避することである。
この組織に所属するものはいずれも一騎当千の実力の持ち主のみである。
また、この組織をまとめるものは神すらも凌ぐ実力者と言われている。
先代のリーダーには蒼がついていたらしい。
この組織は秘密裏に活動するため、一般の人にその存在を知られてはいけない。

「とまあ、組織の説明はこんな所ですね。密かに活動しているので一般の方には知られていません。
 何か質問はありますか?」
「はい!」
「しるくぅさん。なんでしょう?」
「私たち知っちゃったんですけど?」
「・・・」
気まずい空気が辺りに流れる。
「あ〜・・・ごめん。先続けて」
「そうなんですよね、皆さん知っちゃったんですよね〜・・・どうしましょう」
秘密組織の存在を一般に知らせた場合、その団員は追放されるのが決まりであった。
だが、現在その組織は壊滅中である。
「良いんじゃない?組織は現在壊滅中だし。もうせっかくだから皆で新Star Light Forces結成しようよ」
「あ!それいいね〜でも、組織名はエンジュね。スター何とかってのはパス」
「OK。じゃあ元Star Light Forcesリーダーの権限で今からエンジュと改名します。
 と言うわけでしるくぅがマスターね」
「な!なんで私??蒼ちゃんがなるべきでしょ?」
「意思の強さというか、魅力の違いだね。私よりくぅのが向いてるよ」
「僕もそう思います。しるくぅさんなら立派に勤められますよ」
エンジュメンバーもうんうんとうなずいている。
結局、もともとエンジュのマスターをやっていたこともあり、
断りきれずに引き受けるしるくぅであった。
「さてと、組織の話はこれで良いですね。次はフィリアさんのことですが・・・」



一方その頃、シオンの元に戻ったフィリアは不機嫌であった。
「お帰りフィー、君が無事でよかったよ」
「シオン、もらった部下二人は使えなかったわよ。どういうこと?」
「あいつらにStar Light Forcesの元団長がいたんだよ。あいつにかかってはあの二人では到底勝てるわけが無い。
 1秒もてば良い方だよ。君でさえ適う相手ではない」
「・・・実際何秒持ったのかしら?」
「二人合わせて0.6秒」
まさに一瞬の出来事だったようである。
やられたことに気づく暇すらなかったであろう。
それほどまでに鋭く、そして早い斬撃だったのである。
「まあ、仕方ないわね。私でさえ姿が残像で見える程度だもん」
「さて、Star Light Forcesのやつらが出てくるとなると今後の活動に影響が出るね・・・どうする?」
「そうね・・・」
少し考えるしぐさをするフィリアのためにワインとソファーが出現する。
ワインはいつものワイン。
ソファーも思い出の品であった。
「このソファー・・・ふふ、シオンったら。これ、初めての時に使ってたものね?」
「覚えてくれていたとは嬉しいね」
「忘れるわけ無いわ。私が貴方のものになった瞬間を見てたものですもの」
しばし、思い出に浸る二人であった。
「ふふ、そうだわ。ねえ、シオン。魔法学校って今どうなってるのかしらね」
「魔法学校・・・ああ、あれね。なるほど・・・そういうことか。良いね」
「でしょう?」
「ああ、きっと上手くいくよ。じゃあ部下に指示しておくとして。フィー」
「部下?私にじゃないの?」
「君とは久しぶりに・・・ね」
「あぁ・・シオン・・・」
ソファーの上で抱き合いながら二人の時間が過ぎていく。
(魔法学校・・・ふふ、お姉ちゃん。次はどういう手で遊んでくれるのかな)
懐かしい思い出がふとよぎる。
「ねぇ・・ぁ・・シオン。私も・はぁ・・行って良いかしら?」
「だめだよ。君は僕のそばにいてくれないとね」
二度と離さないというような感じでフィリアをしっかり抱きしめるシオン。
「部下に指示しておくから大丈夫だよ」
(あの場所に君を行かせるわけにはいかないんだ・・・)
それぞれの思惑が絡み合いながらも魔法学校には危機がせまっている。
魔法学校で何が起こるのか・・・
しるくぅ達はまだ知らない・・・

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あとがき
はい、あとがきです。(///ω///)テレテレ♪壁|▽//)ゝテレテレ
こ、今回はなんか・・・ちと恥ずかしい一面も・・・
ま、まあ!良いです!元気に行きましょう!!!
さて、今回のお話いかがでしょうか?
晋の字さんをメインに持ってきてみました〜♪
それと、蒼さんをものすごい人という設定にしてみました。
本編中の設定から予想するに、神をも超える実力の持ち主ということにw
す!すばらしい!!さすが蒼さんです。
さらに、前回出てきたフィリアの部下AとBの強さの設定をまあ一応話だけ乗せておきました。
結構今回の話もさく!っと出てきたのですが、こういった話の場合だと説明文がとっても難しいですね。
まだまだ修行が足りない!といったところでしょうかw
会話と会話の文間の文章がちと稚拙かな〜と・・・(^^;
しかし!この辺りは数こなしてなんとなく慣れていくしかない!!
と、自己弁護してみましょう(笑)
という訳で、もうしばらくお付き合いくださいませませ。

さて、今後の活動日記ですが。
フィリアはどうなっちゃうんでしょう?
魔法学校にいったい何が起こるのか?
シオンがフィリアを魔法学校に行かせたくないのはなぜか!

そして!これが一番重要で
作者はそんな先のネタまで考えているのか!!!
(え〜・・・考えておりません(^^;)
という訳で、次回もお楽しみに〜♪