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CUSTOMIZATION

パッケージには、生活シーンでの納まりの良さ、居心地の良さが求められている。 生活の場にもっともふさわしい表情を持つこともそのひとつである。


紅茶ティーパックのパッケージ。

モダーンな化粧箱がシンプルな暮らしを尊ぶ人を魅了する。伝統にねざした食品のそれらしい表情だけでは今日の生活にそぐわなくなってきた。そして、生活者の価値観の多様化がそれに一層の拍車をかける。

暮らしには和風と洋風が両立し、食べものには、和風、洋風、中華風が家庭の食器にまで混在する今日の日本。


文字には三種類の日本語が横と縦書き、そして英文字が加わるにぎやかさ。 さらには世代差がつくり出す伝統様式からモダーン様式の多層化へと。超情報化社会はカストマイゼーションを求める欲望が渦巻いている。




INTERPRETATION

伝統にねざすパッケージの意味は、新しいメディアを得て変換され、新領域にのり出してゆく。

ここに、コーヒーの個別包装がある。

スティック状のパッケージに一回分が入れてある。クリームとシュガーも入っているが、好みで途中をつまんで出せばストレートでも飲めるパッケージ。 このパッケージは変化好きの日本人の嗜好性を反映してか、飛躍的に広まった。

生まれたときからインスタント食品に囲まれて育った世代は、本来それをレギュラー食品と同じ土俵で楽しめるようである。インスタントコーヒーがレギュラーコーヒーに勝てるはずがないと優劣の意識で考える人は、もはや時代遅れといえる。

今、青春を謳歌するニュー・ピープルとは言えない世代だ。 ディスポーザブルの紙カップにお湯を注げばコーヒーを楽しめる。真空パックのカバーを取れば、賑やかなキャッチコピーはとれてしまう。メーカーのやさしい心づかいに愛が光る。

気分転換に飲むドリンクは、飲みたいと思った時がおいしい時。昨日でも明日でもない、たった今それが欲しいと願う人の意志と努力が益々パッケージ事情を変えていく

例えば緑茶のおうすと同様にコーヒーを入れることだって可能である。自分らしく思うがまま、“JUST AS YOU LIKE IT”シェークスピアの言葉が日本のコーヒーに生きてくる。



醤油のミニパックパッケージ。
これは食品に合わせ健康に合わせて一回ごとの新鮮な風味を楽しめる。アウティングや旅先に欠かせない。旅先で外国料理に疲れはじめる頃のホームシックの解毒剤。



ADAPTATION

生きのびるための順応を蘇生という行為でとらえてみる。

焼酎の駒子がある。
このパッケージは、焼酎に起死回生をもたらした。
今、大学生や若者のパーティーに焼酎は欠かせない。一位の人気を持つ酒である。

これまで焼酎に永らく押されていた悪い烙印が、その本来の良さを不幸にもスポイルしつづけてきた。しかし、まったく新しいパッケージによって見事にうちやぶられたのである。

蒸留酒の純粋さは美しい谷川の水けむりに似ている。生命を育む清流と、そこにけむる水しぶきは、常に限りない安らぎの念をもたらしてくれる。
流れる形にフロストをほどこしたボトルは、清流のイメージを喚起し、涼しげな風味を伝えている。また、そのなめらかな曲線の感覚はマドンナのようなイメージを想起する。そして、酔心地をはずませる。

目に新鮮で、手になめらか、そして透明感にあふれる風味を味わう心楽しさが、流れるようなブラッシュストロークの文字を得て官能に語りかけてくる。
しかも、ブラッシュストロークは川端康成の美しくも悲しい小説のヒロインの名でもある。




こちらは、若い女性向けの酒、トライアングル。

酒をメディアに私と誰かさんのトライアングルコミュニケーションを意味する名前をもつ。
イメージは鋭角的な男の魅力。男が知的で紳士に見えるタキシード。ポスターがイメージをバックアップする。

アルコール含有率の表示を大きく前面に掲げた親切なパッケージグラフィックは、酒屋の店頭でも選びやすい。酒屋に長くいたくない女性にもさっとレジまで持ち込めてあっという間に店を後にすることができる。女性に飲みやすい20度のものから売り切れる。

女性向きの口あたりのいいカクテルの作り方リーフレットが好評である。飲み方の手ほどきをメッセージに組み込んだパッケージ。何によらず、新しいことには手ほどきが欠かせない。



男。女。食べ物。そして永遠。
生きとし生けるもの。そして、それらをすべて包み込む風景。




万物はすべて流転し、それを包み込む風景も流転する。




そこでは、パッケージも流転を免れ得ない。




技術と情報が生活を支える静かな安らぎに満ちた人間らしい暮らし。




それは、自らの所産として過去の知恵の奥義を、わけても生活に対する愛情の視点で再び開墾する姿勢の中にこそ発見できるのである。




Again, it's been a pleasure for me to address you today. Thank you for your attention.



Think Visually, Act Graphically!