6日目






ツアー最終日はインドの国際空港内で迎えました。
インドはとにかく手荷物チェックが好きというか、何度も受けました。
最後の最後、インド出国の際の手荷物検査は最もひどかった。

大きなバッグのなかに小さなバッグを入れていたのですが、
トーチがあるだろう!と言ってくる。ミニマグライトね。
捜すのにちょっと手間取って、はいこれと見せましたが、興味なし?
その間、他の係員が荷物をひっくり返していて、ワーヤーロックを取り出す。
なにそれ、問題ないでしょ?と思っていたらライトとロックを渡され、
残りの荷物を再びX線にかけていました。この間ぼくの後には長蛇の列が。

だいたい東洋人や西洋人が自爆テロを起こしたなんて話は聞きません。
あの嫌がらせのような厳しさは国内に向けてほしいですね。

出国したあとはなんともいえない解放感がありました。
まだ飛行機の出発まで十分な時間があったので、
連れ合いと交互に休みながら土産物屋を見て回ったりしていました。
円に換金できなかった600Rsはなんとか使い切りました。

体調の方はようやく便が固まりはじめ、尿も出るようになっていました。
トイレに行ったあとはきついズボンの腰ボタンもはまるようになりました。

1:05発の飛行機は30分ほど遅れて出発。まずは香港へ。
帰りはバンコクに寄らないので余裕はありますが、それでも全14時間以上はかかった。
香港での乗り換えもまたタイトそうだったので急ぎましたが、
結局、香港発の便に遅れが出て10:35のところ、11:30出発となり、
急いで損した感じ。

時間があいたので空港見学など。ちらと見た感じではフォスターなのかな、
と思いましたが帰って調べると、基本設計がフォスター。実施、監理は香港の事務所によるらしい。
ディテールはとてもよく納まっていたので、いい協力事務所に会えた様子。
大きなデザインではヴォールトの斜め方向のラインが強調され、空間に躍動感があります。
八代の伊東さんによる未来の森ミュージアムに近い感じを受けました。



さて、ようやく成田便の搭乗が始まるわけですが、ぼくはもう疲れています。
乗り込むと、機内の温度が低い!寒い!着替えは預けてしまっています。
ブランケットが欲しいと乗務員さんに頼むももう残っていないとのこと。
席は機体部のほぼ中央。窓から吹き上げられた冷気が束になって落ちてきます。
しかも座っている分、床面に近く厳しい。通路を立って歩く乗務員にはわからないのかな。

それでも2時間くらいは耐えられました。食事の時は手元がかじかんで不自由なので、
連れ合いにフォローしてもらいました。ストールも彼女に借りました。
一気に全体が冷えた身体は、反動で逆に熱を持つようになります。
明らかに熱が出ている。しかしどうにもなりません。

列車やマイクロバスなら2時間というのはさしたる時間には感じません。
おそらく視覚的刺激があることと、縛られていないということで。
飛行機の最後の2時間というのは、環境が悪ければ最悪です。
逃げられない、声を上げられない、身体を動かせない、変化がない。

最後には呼吸にまで行き着きました。冷たい空気が入って暖かな空気が出て行く。
これはもうほとんど瞑想法の世界です。しかしその集中も切れる。
成田に着いたときにはもう身体と精神は回復不可能な状態にまで追いやられていました。
見かねた連れ合いがスーツケースを引き、新宿からタクシーに乗ろうという。
うん、助かるけど先々どうなるかは全く見えていませんでした。

成田エクスプレスに乗って新宿に着く直前、トイレで小用をたしたら少し楽になりました。
車内では、日本って静かで微笑みがあっていい国だなーって、ずーっと思っていました。
もしかしたらインドと言うのは、対極にある存在なのかもしれません。
20時前に帰宅したら、ほとんど何もできずにベッドイン。こんなの初めてだ。





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